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登山ガイド・松田浩和さん「多様な自然に囲まれ、その魅力を発信」|山のガイド名鑑 File.6

ガイドの世界で活躍する人々にフォーカスする連載。第6回は登山ガイドの松田浩和さんをインタビュー。

大学山岳部の日々から一転。自然をじっくり味わってもらいたい、自然のなかでのできごと一つひとつを経験としてもらいたいと屋久島でガイド業に邁進。そして屋久島の未来を考える。

屋久島でとっておきの時間をすごしてほしい

――登山との出会いは?

松田さん:長崎大学に入ったとき、「いちばん変な人たちがいる部に入ろう」と思い、ワンダー・フォーゲル(WV)部に入りました。合宿で五竜岳に登り、稜線からの眺めに「こんなにたくさんの山があるんだ」と驚きました。登山は一生楽しく遊べる行為だと思ったんです。

その後ほかの勉強をしようと考え、「山が近い、登山ができる」という理由で信州大学に編入。信州大学山岳会(他大学でいう山岳部)は、ヒマラヤに登ったり活気ある活動をしていたので、迷わず入会。年間120日くらい山に登っていました。個人的にも山に入るので、合わせると200日くらいですか。とくに僕は釣りや山菜採りが好きで、沢に分け入って遊ぶことが多かったです。

▲屋久島の醍醐味のひとつ、沢遊び。もぐったり、泳いだり登ったり

――屋久島移住の経緯は?

松田さん:長崎大学WV部時代に屋久島で合宿したんです。瑞々しい森や海と山の豊かさに感動しました。けれど、それから移住までには、道のりがありました。

大学卒業後、ヒマラヤ登山に行きました。けれど肺に不調があり、チームを離脱することになります。カトマンズへとヘリで搬送されるとき、雄大なヒマラヤの景色を眺めながら登れない悔しさを味わっていました。けれどそれ以上に僕のなかに強い気持ちがありました。それが「あの屋久島に戻りたい」という思いであり、帰国後再訪しました。それからはとんとん拍子です。

植物は自分の環境にあったところを見つけ、育っていく。僕の屋久島移住もまさにそんな感じでした。種が飛んでいき、屋久島という心地よい場所を見つました。

――ガイドの仕事で大切にしていることは?

松田さん:縄文杉をタッチして帰ってくるツアーではもったいないと思います。日帰りでは「あと30分でバスが出る」など時間に追われます。千年の歴史がある屋久杉の森を歩くのに、30分に追われるって滑稽でしょう。僕が好きなのは、山のなかに泊まってじっくりと味わうツアーです。縄文杉だけでなく、独特の雰囲気のある永田岳や、垂直分布が見られ屋久島らしさを味わえる西部林道など、ゆったりとした時間をもちたいです。

ガイドはシェフでもあると思っています。屋久島にはおいしい野菜、魚、肉があります。僕は米も作っています。キャンプをしながら地元の食材でおいしい料理を食べたら幸せですよね。自分で作った米であれば、どうやって山の水を引き稲作をしているのか話すこともできます。また屋久島の森や海や川の旬をフルコースで味わってもらうという意味でも、ガイドはシェフのような役割です。

体験はいっときのものかもしれませんが、時間をかけ深めて経験にしてもらいたい。経験になれば血肉となり自分のなかに残っていくと思います。

僕が主催する「くまげキャンプ」は子どもが対象。となりの種子島、口永良部島と屋久島を併せて熊毛郡になります。3島それぞれ自然環境も文化も異なりますが、子どもたちには全部知ってもらいたい。島内外の子どもが対象ですが、それぞれ生活環境が異なるので、刺激があります。

▲夏に開催するくまげキャンプ。島内外の子どもたちを対象にしている。すぐに仲よくなり、自然のなかですご す1週間があっという間にすぎる
▲笹狩りや登山道整備は、屋久島の登山ガイドの大切な仕事。自分たちのフィールドの手入れは自分たちで

――これからの屋久島は?

松田さん:空港の拡大や大型ホテル開業など、開発は進みます。屋久島には先人たちの思いを継いだ「屋久島憲章」があります。屋久島の自然、文化、生活を後世に残すためのものであり、重要な局面では屋久島憲章に立ち帰りたいと思います。外からの意見や要望ではなく、島をどうしたいのか自分たちの考えを確立することが大切です。屋久島山岳ガイド連盟では早くに役職の代替わりをします。

屋久島の森は深いですが、1本の木が倒れるとそこに光が差し、林床が豊かになり次の木々が育ち、幼木も老木も入り交じります。まさに屋久島の自然のように、先輩方は僕たちを導いてくれます。

松田浩和さん

1991年、滋賀県生まれ。長崎大学WV部、信州大学山岳会で登山を覚える。卒業後、2015年に屋久島に移住、登山ガイドの仕事に就く。おなじ移住者の女性と結婚。妻、娘、犬と暮らす。3,000坪になる山林を購入し、わくわくを計画中。田んぼを借りて米作りにも力を注ぐ。屋久島山岳ガイド連盟副代表、屋久島観光協会理事

  • 資格:日本山岳ガイド協会公認登山ガイドステージⅠ、日本レクリエーションカヌー協会公認指導員
  • 得意分野:自然のなかに泊まって自然をじっくり味わうツアー
  • 好きな山域:黒部川源流、永田岳
  • 好きなアクティビティ:米作り
  • アウトドア以外の趣味:趣味とは言いがたいが子育て

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PROFILE

ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

ランドネ 編集部の記事一覧

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