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ひと目で分かる⁉ 「電ジャラス自転車」の見分け方! 自転車ツーキニストの疋田智さん特別寄稿

近年街のアチコチで見られる「自転車もどき」の乗り物。TBSラジオ「ミラクルサイクルライフ」のパーソナリティ疋田 智さんが、そんな「電ジャラス自転車」について詳しく解説してくれた。

ルールを守れもヘチマもない? 蔓延する自転車もどき

いやまあ2026年の4月から自転車にも青切符が導入されることになって、ながらスマホ運転だの、遮断機が下りた踏切侵入自転車だのには、反則金が取られることになった。そりゃもうけっこうなことで、自転車ルールはきちんと守らねば、守らせねばならぬ、と、自転車乗りの端くれとしては、心に力こぶを入れているところなんだけど、じつは日本の自転車交通、それ以外に陥穽(かんせい)がある。

もちろん「電動〇〇」の手合いのことだ。ホントの話、都心に増えた。事故も爆増中。実際に危ないし、迷惑だし、傍若無人、ルールなんてちっとも守らない。だいたいがああいうのに乗ってること自体が違法だったりするのだから、ルールを守れもヘチマもない。私はああいうのを総称して「電ジャラス自転車」と呼んでいるが、プレーンに言って、台数は増える一方。事故はその二乗に比例して増えている(ように見える)。

しかしだね。ここでよく覚えておいて欲しいのは、ああした違法自転車、じつはすべてが同じく違法かというと、そうじゃない。驚くべきことに「合法電ジャラス自転車」というのも存在するのだ。

3種の電ジャラス自転車

電ジャラスの種類は、おおまかにいって3種。「違法」「脱法」「合法」がある(全部、危険)。このところの法改正で、このあたり非常に分かり難くなっているので、何がいけないか、それぞれ整理してみよう。

【分類①違法・電ジャラス自転車】
「フル電動」あるいは「違法モペッド」

昨今、最も目に付く、最も危ないのがこれだ。見た目の差異でいうと、何よりスロットルが付いている。右手をひねればパワフルに走り出す。ペダルもあるけれど、踏まなくても走る。多くの場合、ネットのみで販売され、小さく「公道は走れません」みたいな言い訳が書かれている。それもそのはず、日本では完全違法だからだ。

別名で「モペッド」ともいう。MOTOR+PEDALからできた造語である。じつは原付バイクの基本はこれで、元来「小さなエンジンのオートバイは非力なんで、坂道などはペダルでアシストするといいんだよ」という発想から生まれた。本田技研の原点「バタバタ」(1947年)などがこれにあたる。

ところが技術の進歩からエンジンが強力になり、50ccでもスロットルをヒネれば時速50kmなんて楽々出るようになった。その電動モーター版がこれ。原付1種と同等、いやそれ以上の性能を持ちながら、保安部品も、ナンバーも、免許もなく歩道を走ってる。中には1000W(125ccバイクと同等)みたいなハイパワー型もある。危なくて仕方がない。交通ルールも知らない若者(つまり無免許なんだろう)が車道を逆走してたりもする。

ただ、これに関しては話は単純で「ナンバー付けて、免許取って乗れ、アホが。警察も警察だ、取り締まれ」というに尽きる。

【分類②脱法・電ジャラス自転車】
アシスト率オーバー・電アシもどき

これが最も見分けが難しい。なぜなら①と違ってスロットルがないからだ。はたで見ていても「常にペダルを回してるし、一見ちょっとスポーティな電動アシスト自転車」のようだ。だが、猛スピードで楽々坂道を上っていく。これは何かというなら、電動アシスト自転車に課された「時速10キロから24キロまでのアシスト率漸減部分(グラフ参照)」がデキてない。

ネット広告でも「ペダル楽々、一瞬で最高速に」とか「道交法遵守、アシストは24キロまで」などとうたっているのがこれで、この場合、ペダルが単なるスイッチかスロットルになっているだけだと思ってもらって間違いない。多くの場合、EU基準のものをそのまま持ってきているだけだ。有名なMATE.も足かけ3年の間、欧州基準車をそのまま輸入していたのが、先日発覚した(※現在の輸入代理店ではなく、以前の代理店が販売していたもの)。私はしごく納得で、前々から速すぎる、パワフルすぎると思っていたんだよ。現在、HPで呼びかけて改修中。

これ、欧州と日本のレギュレーションに差があるのは、日本だけが「自転車の歩道通行」を許しているからだ。自転車専用道と自転車レーンがほぼ完備したあれらの地域の自転車を日本にそのまま持ってくると危なくて仕方がないのだ。だが、脱法と言われても本当は違法。一時流行った「脱法ドラッグ」と同じだ。

【分類③合法・電ジャラス自転車】
合法の「特定小型原動機付自転車」

これこそが昨今話題の法改正で新たにできたカテゴリーだ。現在蔓延している電動キックボードにサドルを付けたもので、ママチャリ系からオラオラ系まで形も色々。別名もいっぱいあって「電動シートボード」「電動サイクル」「電動スクーター(電スク)」などという。よく見るとペダルがない。

見るからに危なっかしいんだけれど、じつは2023年の法改正で、これらが合法となった。だから①の違法フル電動と違って、小さなナンバープレートが付いている。ナンバープレートが付いているのに無免許OK。しかも自転車と同じシチュエーションにおいて歩道通行も可能。法のククリは次の通りだ。

  • 自転車と同じ走行スペースを通る(自歩道なら歩道も可)
  • 制限速度・車道は時速20キロ、歩道は時速6キロ
  • ペダルなし、スロットルを操作して走る
  • パワー600W未満
  • ナンバープレートあり。免許不要、ヘルメットは努力義務

驚くべきは600Wというレギュレーションのことだ。一般的な電動アシスト自転車が概ね200W前後であることを考えるといかにハイパワーであることかが分かるだろう。もちろん無免許。それが歩道も車道も走行可能となっている。

このハイパワー電動スクーターに関して、どうにも首をかしげるのは「車道は20km/h、歩道は6km/h」という制限速度だ。乗ってみると分かるが、車道を20km/hで行くのは正直コワいぞ。物理的に20km/h以上出ないようになっているのに、後からハイスピードのクルマがバンバン抜いていくから。

ところが、じゃあ歩道に乗るか、と歩道モードにすると、今度は6km/hしか出ないことになっている。これは遅いぞ(笑)。しかも2輪車だからふらついてマトモに運転できない。それもそのはずこの6km/hというのは「電動車いす」と同じスピード制限なんだから。

結局どうなるか。多くのユーザー(「多く」どころか100%)は、歩道を20km/hモードで爆走することになる。正直、ド迷惑。危険。そして、困ったことに、これらのシェア電ジャラスに外国人観光客がバンバン乗っている。無免許で。日本の交通ルールも知らず。

なぜ電化を急ぐのだろう?

思い起こせば1993年、世界初の電動アシスト自転車は、ヤマハ発動機のPASからスタートした。それは警察庁および運輸省・建設省(当時)などとの長年の協議の結果、生まれたものだった。

日本の交通状況、車道歩道の差異ほか、いろいろなことを考えて、電動アシストのあり方(人力センサーが必須なこと)や、アシスト率(時速10kmから漸減して時速24kmでゼロになる)など、慎重に考えた結果である。この頃の日本のお役人たちはアタマは固いが、バカではなかったのだ。

合法・電ジャラスに乗る筆者

それがなぜか今になってガラガラ崩れ始めている。なぜそんなに電化を急ぐのか、なぜ殊更に日本の道路をカオスにしたがるのか。日本の道路交通と自転車には昭和45年の道交法大改悪というのがあって、そのとき以来「日本のチャリンコは歩道」という世界でも類例を見ないガラパゴス化が進んでしまった。

あのときと同じだ。2023(令和5)年の道交法見直しは「道路行政痛恨の大改悪」として歴史に残るだろう。

筆者プロフィール 疋田 智

「自転車ツーキニスト」として、さまざまなメディアで情報を発信する業界のご意見番。TBSテレビ Media Technology局 GM職プロデューサーのほか、TBSラジオ「ミラクルサイクルライフ」(日曜よる6時半)パーソナリティを務める。『疋田智の自転車ツーキニストでいこう!』 https://hikitabike.com/#google_vignette

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電動アシストスポーツ自転車、eバイクの総合情報。選び方からフルカタログ、旅行&キャンプなど楽しみ方、通勤&通学など使い方。注目モデルインプレなどまるごと分かる!

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