
都心から約1時間。五感を解き放つ「冬の飯能」を全身で見つめる山歩き
宇宙HIKE
- 2026年02月22日
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冬休み最終日、快晴の予報を見て行きたい衝動にかられ、出かけたのは「飯能」だった 。この休みは山との向き合い方をじっくり考えた 。2026年に新しいチャレンジをすることを決めた私は、その思いを胸に山を歩いた 。
いつもの山を、今日は「逆」から歩いてみる

都心から電車に揺られること約1時間。埼玉県・飯能駅に着くまでのあいだ、窓から見える青空に心が躍る。向かうのはお気に入りのコース、多峯主山〜天覧山。初心者向けに人気の山だが、今回一番楽しみにしているのは「河原歩き」だ。前日は寒波が訪れたから、キンキンに冷えているだろう。
まずは飯能駅から商店街を抜け、吾妻峡を目指す。普段は山に登ってから河原へ下るが、冬はあえて逆にする理由がある。夏の賑わいが嘘のように、この時期の河原にはほとんど人がいない。川を流れる水の音、砂利を歩く自分の足音、風の音しか聞こえない。芯から冷える寒さだったが、朝日が昇るとふわっと光が差し込む。冬の朝日は、本当に優しい。
自然が作る造形美「氷のアート」

先に河原へ訪れたのは、冬のあるものを楽しみにしてきたから。それは、河原に張る氷だ。落ち葉を閉じ込めた氷の絵画に、繊細な幾何学模様。自然が作り出した造形美に、思わず心を奪われる。凍った表面に小石を投げてみたり、足をふみ込んでみたり。大人げないかなと遠慮気味に乗ってみるけれど、ワクワクが止まらない。氷で縁どられた大きな水たまりに乗ってみたところ、「パァン」と高い音が響いた。氷の下に少し深さがあったようで、その響きが心地いい。
都会ではイヤホンで耳をふさぎ、感覚をシャットダウンしてしまうことがある。けれどここでは、足元に目を凝らし、氷が奏でる音に耳が踊り、冷たい風を肌で受け止める。そうして、五感が解き放たれていくのがわかる。
キラキラと輝く「スワロフスキー畑」

河原を堪能した後は山へ。 登山道に入ると、霜が降りた草や土が愛おしい。朝日の光が差し込むと、一面がスワロフスキー畑のように輝きだした。 しゃがみ込んでカメラを向けていると、地元の方が不思議そうに「何か珍しいものでも?」と声をかけてくれた。「霜が綺麗で」と答えると、笑いながら「そうですか」と過ぎ去っていく。 そんな何気ない会話も里山歩きのよさ。

バックパックも持たずにのんびり歩く地元の人たちを見ていると、この山がどれほど愛されているかが伝わり、山も心なしか誇らしげにしているように見える。山頂に着けば、雪をかぶった富士山や都心のビル群まではっきり見渡せた。空気が澄んでいる冬ならではのご褒美だ。
「宇宙HIKE」への一歩

今回の山歩きは、「宇宙HIKE」への加入を決めた直後のものだ。山で出会う絶景をスマホではなく、しっかり残したくてカメラを始めた 。いわば私の「山の相棒」だ 。歩く喜びを感じた瞬間のまま伝えたいけれど、記録として撮ってきた私の写真で伝わるのだろうか?
宇宙HIKEの主催者・松本茜さんとは、友人が紹介してくれたフォトハイクで出会った。そのときに言われた言葉が忘れられない。
「写真はただ1点しか撮れない」
「死ぬ前にふり返るアルバムに、その写真は入れたい?」
自分の写真をふり返ると、感動した景色はたくさんあっても、「どこに感動したのか」が曖昧な写真も多かった。茜さんと歩いて撮った写真は、見返すたびに愛おしい。しかし、おなじように「1点だけ」を撮ろうとしながら山を歩くと、山頂になかなか辿り着かないということに気づき、ジレンマも抱えた。
2026年、山頂を目指す登山も続けるけれど、これからはのんびり山と対話し、カメラとともに歩きたい 。この飯能を歩いた時間は、そのための大切な一歩 。これから自分の写真がどう変わっていくのか、楽しみで仕方ない。
写真&テキスト◎朝比奈 杏咲美(宇宙HIKE)
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PROFILE
宇宙HIKE
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。


















