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山を歩いていたら、苦手が好きになっていた。山に背中を押された、故郷・沖縄への旅

沖縄行きの飛行機が高度を上げるにつれて、私はカメラを構えて窓の外を眺めていた。狙いは富士山。空の上から眺める富士山が大好きなのだ。快晴の青空に期待が膨らむ。なんだかいい旅になりそうだと、地元沖縄へ思いをめぐらせた。

山が変えた、旅のスタイル

たっぷりと雪を被った富士山が現れ、飛行機が進むたびに角度が変わり、どんどん表情を変えていく。雪をまとった山頂から、街を抜けて海へと続く大地……その姿に惚れ直し、今年もあの頂まで登ろう、そう心に決めた。

山を登るようになってから、旅のスタイルが変わった。かつては観光名所のフォトスポットをめぐり、記念写真を集めていくような旅が多かったように思う。当時はとても楽しく、いまでも良い思い出だ。

でもいまは、できるだけ多くの場所を回ることよりも、興味を惹かれた場所をのんびり歩いて、1日の時間の移ろいとともにその場所を知るスタイルを好むようになった。思い出を作る旅から、心が満たされる旅へ。そしてゆっくり歩くから、自分の変化にも気づけるようになった。

苦手が好きになる、山の不思議な力

今回の旅先は、生まれ故郷の沖縄。帰省ではなく、あえて「旅」をしに行った。

山を歩くようになって、自らの変化に気づき驚くことがある。たとえば、子どものころ苦手だった地図と歴史。登山を始めてから毎日のように地図を眺めては、次はどこを歩こうかとわくわくし、その山や土地の歴史、文化について調べるようになっていた。そんな自分に気づいたとき、苦手意識でフタをしてしまっていた地元の歴史に触れてみたくなったのだ。

琉球の歴史に思いをはせる

この旅で向かったのは、座喜味城跡と勝連城跡。どちらも世界遺産に登録された城跡で、琉球の歴史に翻弄された場所だ。

まず向かったのが、座喜味城跡。曲線を描く石積みの美しさに息を呑んだ。訪れたのは夕暮れ時。少しひんやりした風が夕日の光を優しく運び、日が沈む海に吸い込まれてしまいそうな、そんな不思議な錯覚に包まれた。

風と海と、城跡の記憶

翌日は勝連城跡へ。丘にそびえ立つ姿は圧巻で、快晴の沖縄を360度見渡すことができた。かつてこの城の主人は、どんな思いでこの景色を見下ろしていたのだろう。人々の生活と歴史の物語に、静かに思いをはせた。

城跡の一角に、神人(かみんちゅ)と呼ばれる女性祭司が祈りを捧げていた場所があった。そこに1本だけ立つ木と、太陽、風、そしてその奥に広がる海。なぜだか本当に神様がいるような、不思議な神聖さを感じた。

そういえば沖縄の祈りの場所には、いつも木と海がそばにある。風が葉を揺らす音、海と空の青、常緑の木々。沖縄がいつも心地よく感じるのは、このすべてがいつも揃っているからなのかもしれない。

いまも変わらない、好きな景色

旅の途中、夜明け前に海岸を散歩した。うっすらピンク色に染まっていく海面をぼんやりと眺めていたら、子どものころの記憶が蘇ってくる。

海辺でキャンプをしていたとき、家族が目を覚ます前に、ひとりテントを飛び出して波打ち際を歩いていた。色が変わっていく海を眺めるのが好きだったのだ。あのころも、いまも、心惹かれる景色は変わらない。そんな自分に気づき、くすっと笑いがもれた。

ふと気づいたことがある。城跡を訪れるのは今回が初めてではない。子どものころから、王様や武将が選んだ高い場所からの眺めに憧れていた。見晴らしの良い丘の上から広がる景色が、たまらなく好きだったのだ。

登山に馴染みのない場所で生まれ育ったのに、山に惹かれる気持ちはずっとそこにあったのだと思う。

山に出会って自分が変わったと思っていた。でも本当は、好きなものの周りをずっとぐるぐるしていただけだったのかもしれない。それに気づいたとき、山の神様がそっと肩を叩いてくれた気がして、山が、一層愛おしくなった。

 

写真&テキスト◎朝比奈杏咲美(宇宙HIKE)
https://www.instagram.com/sami_yama.tabi

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PROFILE

宇宙HIKE

宇宙HIKE

Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。

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