
マイナンバーカードで変わる登山の新常識 デジタル庁×山小屋の実証実験がスタート

FUNQスタッフ
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山での遭難が全国で最多を記録する中、マイナンバーカードを活用して山小屋で登山に関する情報をあらかじめ登録することで、登山の安全を高めようとするデジタル庁の実証実験「やまのあかしプロジェクト」が10月6日から始まった。
やまのあかしプロジェクト
この取り組みは、デジタル庁が始めたもので、登山者はまず専用のサイトでマイナンバーカードを登録して登山に関する情報を提出すると、立ち寄った山小屋に用意された端末を使ってQRコードを読み取る。すると、氏名、年齢、住所などの情報が山小屋が把握でき、立ち寄った履歴が残るというもの。
対象は北アルプスと八ヶ岳のあわせて23の山小屋で、実証実験は来年2月末まで行われる予定だ。
(詳細はHPにて)
https://yamanoakashi2025.com/
取り組みの背景は
近年、災害の増加や物価高騰などによって、安全で快適な登山環境の維持や管理に課題が生じてきていることがる。
課題① 登山者増に伴う受け入れキャパシティー、環境への影響(適正利用に向けた課題)
- 登山・整備技術、知識、マナーに欠いた登山者の増加による遭難・死亡事故の増加
- 特定の国立公園、国定公園への人気集中(駐車場キャパシティーオーバー等)
課題➁ 山小屋運営費用の増大、担い手不足(観光資源保全、遭難時救助費用等)
- 山小屋が中心となり登山道の補修・遭難者救助費用を負担する現状
※国・地方自治体の補助財源を活用するも限定的 - 担い手人員不足、物価高による調達資材、運送費等のコスト増
課題③ 登山者情報の適時把握と遭難・事故時の初動対応
- 登山者情報把握に用いる登山計画書(登山届)の提出率は現状低く、提出方法やデータ形式・フォーマットが統一されていない現状
- 登山計画や、位置情報等の情報不足で救助の初動が遅れる場合がある
記者会見では期待の声
2025年10月6日、長野県茅野市で行われた記者会見には、デジタル庁の鳥山高典 企画調整官や今井敦 市長、それに山小屋を運営している事業者を代表して、八ヶ岳観光協会の米川岳樹 会長と槍ヶ岳山荘グループの穂苅大輔 代表取締役社長などが参加した。
▼山小屋を訪れた人がわかる記録が管理されるため、万が一の遭難の際、迅速な救助体制が取れること
▼経営環境が厳しさを増す山小屋へ寄付や募金がスマホ上でできること
▼山域の自治体で登山者のデータの利活用が容易になること などのメリットに期待が寄せられた。
関係者の声
デジタル庁 鳥山企画調整官(写真の左から2番目)
「登山者が、マイナンバーカードを用いて、山小屋や自治体とつながることがどんどん広がっていけば、登山者は、(遭難した際の)救助の情報共有が楽になる。また、山小屋にとっても、登山者の情報を把握できるようになるし、経営につながる募金や寄付を集めることができるようになる。自治体にとっても、関係人口の把握につながることができる。自治体、山小屋、登山者がつながることで、エコシステムのようなものにこの取り組みがが発展すればいいなと意図しています」
茅野市 今井市長(写真の左端)
「八ヶ岳には、登山口がたくさんございます。統一した方法でやっていった方が良いのだろうという形で議論を周辺自治体も含めた協議会で進めていたところであります。こうした実証実験をしていただけるということは大変ありがたい。デジタル化によって登山計画の提出率が高まることによって、もしもの時に救助活動にも非常に効率的に行えるという形で救助される可能性も高まってくるのではないかと期待をしております」
八ヶ岳観光協会 米川岳樹会長(写真の左から3番目)
「現場で感じているのは、登山口や目的地、下山口がどこということがきちんと言えないお客さんが増えています。一度やっぱり原点に戻っていただいて、登山計画をきちんと出していただいて、楽しい山に来てもらいたいと思います。また、今回の取り組みでお客さんの情報共有ができるようになると思うんですけど、八ヶ岳にたくさん来てもらえるようなホスピタリティーの向上、新たなサービスをして、さらにまた八ヶ岳のファンになってもらいたいなと思います」
槍ヶ岳山荘グループ 穂苅大輔代表(写真の右から3番目)
「北アルプスの山小屋は民間事業者ではありますけど、国立公園事業者として様々な公益的な役割を担っております。特にこのコロナ禍以降ですね、さまざまな登山の在り方、山小屋の在り方が変わってきている中で、とても経営環境としては厳しい状況になっております。例えばし尿処理の問題、年々ヘリコプターの物資輸送料金は高騰し続けています。北アルプスの方ではすでにトレイルプログラムという登山者からの協力金を募る仕組みがありますけれども、今回この実証実験を通して、トレイルプログラムに参加するということもできますので、まあそういったあの現状をぜひ多くの方に認知していただきたいなと思っています」
登山前にスマホで事前準備ができる
1. スマホでサクッと事前準備
専用サイトでマイナンバーカードまたはパスポート番号でID登録し、以下の手続きをオンラインで完了:
- 山行の基本情報入力
- 安全登山マナーチェック
- 誓約書の提出
完了すると「入山準備完了証」がデジタル資格証明書として発行される。
2. 山小屋でスマートチェックイン
山小屋到着時、デジタル資格証明を提示するだけで:
- チェックインが完了
- 立ち寄り履歴が自動記録
- オリジナルノベルティがもらえる特典付き

3. 新しい支援の形で山小屋をサポート
サイト上から簡単に:
- 山小屋への直接募金(オンライン決済)
- ふるさと納税形式での寄付
- 「募金完了証」の発行
【やまのあかしプロジェクト】
期間:2025年10月6日〜2026年2月(予定)
対象エリア:北アルプス、八ヶ岳の一部のエリア
(詳細はHPにて)
https://yamanoakashi2025.com/
※別途、「登山計画書」の提出が必要となります。入山前に必ず提出してください。ながの電子申請サービスコンパス(日本山岳ガイド協会)YAMAP ※登山保険への加入や位置情報・地図サービスの利用もご検討ください。(例:ココヘリ・ヤマレコ)
(オンラインでの提出先)- BRAND :
- FUNQ
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