
登山と山メシづくりをこよなく愛す山シェフHEYさん|低山トラベラー、偏愛ハイカーに会いに行く

大内征
- 2025年10月22日
低山トラベラーの大内征さんが山好きさんと山を歩く、連載「偏愛ハイカーに会いに行く」。山の愛し方は人それぞれ、とはいうけれど。十人十色の偏愛ワールドをのぞいてみれば、これからの山の愛し方とその先の未来が見えてくる、かもね。
今回の偏愛さん
山シェフHEYさん
神奈川県横浜市出身の山シェフ。元イタリアンシェフで、ワインソムリエ、登山用品店のスタッフでもある。登山と山メシづくりをこよなく愛する人物。クッカーやガスバーナーを用いた山での調理ノウハウを伝える講習を主催し、おいしさと自然の融合を追求している。
Instagram:@yamachef_hey
たまたま秘境・雲ノ平で言葉を交わした人が、たまたま超・ご近所さんだった件!
ヘイさんと初めて言葉を交わしたのは、雲ノ平キャンプ場の水場だった。夜明け前に身支度を済ませてテントを撤収し、出発前に水を補給しているとき、たまたまそこに居合わせて立ち話をしたのだ。
その前日はおなじタイミングで薬師岳に登っていて、抜きつ抜かれつの〝デッドヒート〞をくり返した相手だったから顔を覚えていたし、なにしろお互いが男性3人組だったのが印象深かったのだ。
あのとき、先頭を歩くヘイさんの山男然とした背中に、僕はなにか感じるものがあったらしい。山頂に向かって歩いていく姿を撮らせてもらおうと思い、うしろから「背中、いただきますね」と声をかけたことをよく覚えている。
驚いたのは、なんとおなじ地域に住んでいるという偶然。某私鉄の駅を挟んで、南北の位置関係だったのだ。それをきっかけにインスタグラムをフォローし合い、お互いの山旅にエールを送り合って別れた。それが3年前の夏のことである。



それから半年ほど経った真冬の東京で、思いがけない再会があった。吉祥寺で用事を済ませた僕は、いつものコースで登山用品店に寄り道。行動用のインサレーションを手にして試着室から出てくると、マスクをしたストアスタッフが「せいさんですよね?」と顔を覗き込んできたのだ。まだコロナ禍のころだったから、僕もマスクを着用していた。よく気がついたものである。そして、なんとそれが、シェフを辞めて登山業界にジョインしたばかりのヘイさんだったというわけ。これには驚いた。
以来、山の界隈で活動する共通の友人たちとともに山に入ったり、奥多摩をフィールドに活動しているアウトドア業界人の交流会でごいっしょしたりと、よく顔を合わせる間柄となった。こういうのをご縁というんだろうなあ。この年齢になって同世代の友だちができるって、うれしいことだよね。



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