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三俣山荘がつなぐ山の風景。道直し体験レポート

登山道は、自然にあるようで、じつは人の手が加わっているもの。その背景や裏側を知りたくて、編集部加藤が、三俣山荘の道直し作業に参加。石を並べ、土をならす体験のなかで、これからの道への思いを重ねました。

道直し体験で見えた、山の未来と景色

道直しという言葉は知っていても、実際にどんな作業をするのかはよく知らなかった。けれど、山を歩くたびに「道があるから、この景色のなかを歩ける。この道を作った人はすごいな」とその存在のありがたさを幾度となく感じてきた。その道を守る取り組みに少しでも関わってみたい。そんな思いが参加のきっかけになった。

今回の道直しの舞台は、北アルプスの三俣山荘。7月初旬、1日約10時間の長い道のりを経て、ようやく標高約2,500mに建つ山小屋に到着した。

オリエンテーション

夜のランプの下、オリエンテーションで教えてもらったのは、三俣山荘が向き合う道の現実と道直しプログラムについて。

「三俣山荘は交差点のような場所。鷲羽岳に登ることもできれば、黒部源流にも下りていけるし、黒部五郎岳に延びる道もある。ほうぼうに道が広がっていて、バラエティに富んだ場所です。そのぶん、いろんな特性の道があって、作業も知識も多様さが求められる。けれど、ふもとから遠いので地元と呼べる山岳会や組合などの手伝いもなく、山荘のスタッフだけで細々と整備してきたんです」。

そう話すのは、三俣山荘の代表である伊藤敦子さん。三俣山荘が整備を行なう道の総距離は約40km。ふもとから遠く、人や物資を集めることも簡単ではない。体制は持続的とは言いがたいが、それでも「歩きたくなる道」をつないでいきたい。その思いに耳を傾けながら、私は自分が普段なにげなく歩いていた登山道の背景を想像し始めていた。

▲三俣山荘到着日は小屋開けとおなじタイミング。食事の準備や快適にすごせる環境づくりなど、道直し作業の有無にかかわらず、このプログラムは山小屋スタッフのみなさんの存在があってこそ。みんなで囲むごはんは格別!

スタッフである石川吉典さんの「人が歩きやすくするための登山道整備もあるけど、僕らが目指すのは、人が歩くことを前提にしながら、あるべき自然の姿に近づける『道直し』。それが、風景をつないでいくということなんです」という言葉も胸に残った。

私たち登山者が歩くことで、登山道が少しずつ傷ついている。だれかひとりの責任ではないけれど、山を愛するだれもが考えるべきことだと感じた。

自然観察会

翌朝は「自然を見る」ことから。三俣山荘手前にあるハイマツのトンネルは、まるで緑の洞窟をくぐるよう。しかし、石川さんの説明にはっとさせられた。

「もともとは、ハイマツが生えている高さに草原が広がっていました。それが人の往来によって道が削られて、トンネル状になったんです」

ひとり、またひとりと歩くことで、道は徐々に深くえぐれていく。私たち登山者が楽しんできた登山の足跡が自然を変えていた。次に見せてもらったのは、ヤシの実の繊維でできたネット。年かけて土に還る素材で土留めを作り、ネットのあいだに土が溜まることで、植物が再生する土台を作るのだという。

普段は入れない草原で特別に休憩をとった。一歩ふみ出すと足が柔らかく沈み込み、湿った土と植物のにおいがふわりと立ち上る。いつも歩いている固い道とは違う。これが、この山の本来の姿なんだ。

▲コバイケイソウは水が豊かな場所であることの目印。荒廃した道が回復する過程として、土壌が生まれたあとに草が再生。次いでハイマツのような樹木が根を張ることで、土壌の保水力が高まる。こうした循環によって、生態系や高山植物の広がりをつないでいきたいという

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ランドネ 編集部

ランドネ 編集部

自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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