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森とつながる時間をすごす──星のや富士で体験した狩猟体験ツアー

丘陵のグランピングを楽しめる「星のや富士」で、ちょっとディープな“狩猟体験ツアー”に参加してきました。
自然とともに生きる知恵を、まるごと肌で感じる旅。
狩猟はわな猟スタイル。体験のあとは、猟師さんの手料理ジビエを堪能し、夜は星のや富士の森でコース仕立てのジビエディナー。
翌日は、なんと部屋に印伝職人さんが出張してくれて、鹿革のクラフト体験まで!
森と命にしっかり向き合ったツアーをリポートします。

わな猟は、森との“知恵比べ”

森を歩くと、落ち葉を踏む音がかすかに響き、風が木々の間を抜けていきました。案内してくれたのは、地元でわな猟を続ける猟師、古屋永輔さんと滝口雅博さん。

森の途中で立ち止まり、湿った土を指先でなぞりながら「ここを昨夜、シカさんが通りましたね」「これはシカさんが座っていたあとです」と。ほんの小さな足跡や折れた枝から、動物の習性や風の流れを読み取っていきます。

わな猟って、ただ罠を仕掛けて待つだけじゃないんですね。
シカの行動を想像して、風向きや地形を読み、人の匂いをどう消すかまで考える、、、まさに、森とシカの“知恵比べ”。

歩きながら、シカとイノシシとの違いや、肉をムダなく使う工夫などをいろいろ教えてくれました。

命を奪う、その一瞬に立ち会う

子どものシカはわなにかかっていても逃がしてあげます。大きめのシカは脳しんとうさせ、できるだけ素早く血を抜きます。シカにナイフが入った瞬間、深紅の血とともに湯気がふわっと立ち上がり、森の冷たい空気の中に溶けていきました。まるで魂が抜けていくように。思わず息をのみました。けれど、その光景にはどこか静かな“正しさ”がありました。
あっという間に虫たちが集まり、森が命を受け取っていく。
奪うことではなく、巡っていくこと。
その場に立っているだけで、自分もその循環の一部になったような気がしました。
猟師さんの動きには無駄がなく、迷いもない。
森を歩き、命を奪い、解体する。
そのすべての所作に、自然と向き合う真摯な姿勢が宿っていました。

▲けもの道にくくりわなを置き、木の葉や土で隠す

猟師がつくる、森の恵みの一皿

見回りを終えると、猟師さんがその場でジビエランチを用意してくれました。
「これは100キロクラスの雄鹿をさばいて冷凍しておいたものです。ドリップ、出てないでしょう?」
そう言って笑う猟師さんの表情は、ちょっと誇らしげ。仕留め方、血抜き、解体、温度管理──どれも肉のおいしさを決める大事な要素。ベテラン猟師さんのその手際の良さに、驚きました。

鹿肉は、驚くほどやわらかく、噛むほどに森の香りが広がります。朝採れ舞茸の天ぷら、鹿肉と猪肉の燻製も並び、まるで森のフルコース。
おいしいことはもちろんのこと、「命をいただく」って、こういうことなんだな。食べ終わったあと、体の中がじんわり温かくなり、力をもらった感じがしました。

狩ること、食べること、つくること

夜、星のや富士で、再びジビエ料理が登場。鹿革のカップに注がれたスープ、甲州ワインと合わせたロース肉、朴葉味噌とレバーの蒸し野菜……。
目にも美しく、味わいも深いコースでした。

▲鹿革のカップがまたすごい。軽くて持ちやすくて、登山にもぴったり!商品化を心から希望します(笑)。

全国に広がるシカやイノシシが増えてしまったことによる害獣被害。富士北麓も例外ではなく、県と猟師たちにより、個体数の調整を行っています。そして、捕獲されたシカやイノシシのうち、ジビエとして活用されるのは全体の1割ほど。残りは破棄されてしまうのが現状です。

星のや富士では、この地域課題に向き合い、開業以来ジビエを積極的に活用。食を通して“森と人の共存”を伝え続けています。

翌日は部屋で印伝体験です。(甲州)印伝とは鹿革に漆で模様をつける、山梨の伝統技法を職人の山本裕輔さんがていねいに教えてくれます。完成した作品は後日、自宅に届くので、帰ってからも余韻が続きます。星のや富士オリジナルの印伝柄には、森で出会ったシカがモチーフに。製品見本を見た瞬間、昨日の森の空気と足音がふっとよみがえりました。

▲どの柄もかわいくて、色と柄の組み合わせに悩むこと必至!

シカがいて、猟をする人がいて、肉を調理しておいしく食べる人がいて、革を工芸に生かす人がいる。そして、その循環を体験するわたしたちがいる。

命を奪うことの重さではなく、「命をどう受け取り、つなぐか」。星のや富士は、ただのグランピングリゾートではなく、森と人の関係を“おいしく、たのしく”教えてくれる場所でした。

星のや富士

日本初のグランピングリゾート。何もしないで森の中にあるハンモックに揺られたり、散歩したり、アクティビティをするだけで心と体を休められます。なので、2泊3日するのがおすすめです。

▲森にはハンモックがあり、揺れながら、なにもしないというぜいたくな時間を過ごしました。

季節に合わせたアクティビティがいくつもあり、今回、わたしが気に入ったのは「薫る森の蒸留」。天然の木材から抽出される香りを部屋に持ち帰り、森の香りを楽しみました。

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PROFILE

山﨑理恵

ランドネ / 編集部(ADDIX)

山﨑理恵

最近、2人の子どもとその友だちと山登りを始めたばかり。みんなが楽しめるような山登りを計画して満喫している。山登りのほか、子どもと山を自転車(マウンテンバイク)で走ったり、キャンプをしたり、アウトドアを楽しんでいる。

山﨑理恵の記事一覧

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