
宇宙HIKEのフィールドワーク、大房岬でのフォトハイクが教えてくれたこと
宇宙HIKE
- 2025年12月06日
2024年12月、写真家 松本茜さんのインスタに突如投稿された、山と写真を楽しむコミュニティー「宇宙HIKE」メンバー募集の告知。このタイトルを見て、未知との遭遇が頭をかすめる。宇宙とHIKEのワードに惹かれ、うっかり申し込んでしまったのが事の始まりだった。
宇宙ハイクの醍醐味

年明けから自分のうっかりに苦しむことになろうとは思いもよらなかった。入会後の案内を読んで、相当なハイレベルゾーンに踏み込んでしまったことに気がついて呆然とした。なんせ私はカメラの操作もままならないど素人。やっていけるのだろうか……不安が拭えない。
そして、ロケットスタートするや否や、数々の試練が始まったのである。フィールドワーク以外の活動が多いなんて聞いてないよーーーぅ!
実践以外の課題ドリルは写真だけではなく、言語化という言葉の壁に直面し、時には人格まで丸裸にされることも。奇想天外案件が続出するのが宇宙ハイクの醍醐味なのだ。毎日ジタバタと慣れない宇宙遊泳にもがきながら、まだ大丈夫だと生存圏にいることを確認する。こうして素晴らしいメンバーに揉まれ、いや、囲まれながら写真のことばかり考える日々に突入した。
大房岬フォトハイク

2025年2月15日 記念すべき第1回目のフィールドワークは、低山トラベラー大内征さんとネイチャーフォトグラファー柏倉陽介さんをゲストに迎え、千葉県富浦市の大房岬自然公園を周遊しながら、写真と歴史を学ぶフォトハイク。水平線に向かって延びる木製の橋が印象的な、ノスタルジックな原岡桟橋からスタート。

隠れビーチでは宝探しのように被写体を求め、空を仰ぎ地面を這いつくばる。お昼時だったため、トンビに襲撃される一幕も!

弁天財の洞窟はとても広く、30人ほどのメンバーが仄暗い洞窟に潜伏するようすに、柏倉さんは一揆の集会のようだと呟いた。大内さんを筆頭に祠に一礼し、士気を高めた我々は次のポイントへ移動する。

だんだんと陽が傾きかけた岬の突端で、思い思いの景色をおさめ、きらめく海に黄昏てみたり穏やかなひとときをすごした。
カメラのレンズを通して見るファインダー越しの世界

最後は夕焼けに染まる原岡桟橋に戻り、1日の感想を述べ合う。宇宙ハイクは撮影時間にこだわるが、語る時間も多く予定が押すことが日常茶飯事だ。桟橋には電球が灯り、フォトジェニック極まる景色が広がっていた。撮るのは今なのに!!ロマンチックな夕日を背にして、宇宙ハイクの民は刻々と迫り来る電車やフェリーの時間に走るのだった……。
茜さんのかけ声で分刻みのタイト撮影に駆け回り、大内さんならではの、歴史の解説に耳を傾け、世界の環境問題に真摯に向き合う柏倉さんのお茶目なギャップに、大いに萌えたり萌えなかったり……笑(尊敬してやまない素敵な方です!)。仲間からたくさんのエネルギーと刺激をもらい、フィルターを通して見る景色がいつもと違って見え、カメラという相棒がいることに、ちょっぴり誇らしく感じて嬉しくなった。
いつか、宇宙ハイクが終わって自分の写真を見返したときに、泣いてしまうかもしれない。上手い下手とか関係なく、自分にとって幸せな記憶が詰まっている写真を残している自信がある。そんな風に思えたのも、大房岬でのフィールドワークが最高の1日だったから。大切な記憶を写真に閉じ込めたと思えた時間だった。
茜さんに投げかけられた「自分が生涯を終える時に眺めたいアルバム」とは、私にとって一体どんなものだろうかと考えてみた。カメラのレンズを通して見るファインダー越しの世界は、人生の挿絵みたいだ。そっと添えられた挿絵から伝わるもの、それはその時の空気や色や匂い、自分と相手の心の温度ではないだろうか。数えきれない温もりを思い出せるように、来る日も来る日もシャッターを押しているのだと、私は思う。
また、あの愛おしい瞬間に再会したくて。
写真&テキスト◎豊岡美世(宇宙HIKE)
Instagram@koharubiyori_m
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PROFILE
宇宙HIKE
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。



















