
魔法のような時を心に刻む、いつもとはちょっと違う尾瀬へ
宇宙HIKE
- 2025年12月11日
春から秋まで、さまざまな顔を見せてくれる尾瀬。今回は、知る人ぞ知る「アヤメ平から尾瀬ヶ原への旅」をご紹介します。
いつもとはちょっと違う尾瀬へ
今年の夏は、ワタスゲが当たり年だと聞いてそわそわ。あの白いぽわぽわが大好きな私は、尾瀬のアヤメ平を目指しました。登山のスタートは鳩待峠。山ノ鼻に下る道ではなく、休憩舎の裏側から登山道に入ります。「鳩待ち通り」と呼ばれるこの道を歩く人は少なくて、とても静かです。

森の木々に朝の光が差し込んでいます。昨夜は雨が降ったのか、あたりは露でしっとり。きらきら光る木の葉や雫に心惹かれ、しばし足を止めてシャッターを切りました。


登山を始めたばかりのころは、写真を撮る余裕もなく、ひたすら山に向かっていました。近ごろは写真撮影と山歩きの両方を楽しめるようになったので、何を見ても歓声を上げて写真を撮り、なかなか先へ進めないことも……。

滑りそうな木道を踏み越え、スタートから1時間20分ほど歩くと、最初の湿原・横田代に出ました。タテヤマリンドウなどの湿原の花々が迎えてくれました。


中原山を越え、横田代から1時間ほど歩いてアヤメ平に到着。ワタスゲの白い果穂がふわふわと揺れています。だれもいないのを良いことに、木道に寝転び空を仰ぐ。頬の横には白いワタスゲ。見たかった景色、会いたかった花。
「ここは、この世の楽園かな」


池塘の向こうに見える山は、東に燧ヶ岳、西に至仏山。二座を同時に見られてお得な気分です。友人とベンチに腰を下ろし、贅沢な休憩時間を過ごしました。



さて、名残惜しいけれどアヤメ平をあとにして、富士見峠方面へと向かいました。富士見田代に下ると、小さな池(池塘)があります。池塘の周りの湿原にもワタスゲが白く輝いており、この夏は本当にワタスゲ祭りだなぁと、思わず笑みがこぼれます。


池塘を離れ、竜宮を目指して下ります。長沢新道と呼ばれる長い下り坂。その名の通り、途中から長沢に沿うように道が続き、沢の音が爽やかに耳に届きました。

滑りやすい岩の道を下って行くと、やがて、木のあいだ越しに湿原が見えて来ました。尾瀬ヶ原です。木道を辿って行くと竜宮十字路に到着。尾瀬ヶ原を行きかう人々が憩うベンチがあり、賑やかな街へ出たような気分になりました。

尾瀬ヶ原の風景を楽しむ
龍宮小屋の周りは森になっていて、透き通った美しい流れに囲まれています。木陰でひと休みできるポイントですね。ヤグルマソウが森の木陰にひっそり咲いていました。

流れに架かる橋を渡り、見晴地区を目指して真っ直ぐに木道を進みます。正面には燧ヶ岳の堂々たる姿。今日のお宿は見晴の山小屋。目的地まであと少し!可憐な花たちの姿に癒されながら尾瀬ヶ原を歩いて行きました。






尾瀬小屋ではお洒落なランチを提供しています。食事が美味しいのも尾瀬の楽しみのひとつですね。

山小屋に着いて荷物を下ろしたら、夕暮れの尾瀬ヶ原を散策しましょう。至仏山の向こうに沈む夕日。そよ吹く風。ワタスゲに当たる光も最後のきらめきを見せると、優しい光に変わっていきます。

やがて湿原が夜の闇に包まれるまで、この魔法のような時を心に刻みました。

翌日は、咲き始めのニッコウキスゲに歓声を上げつつ尾瀬ヶ原を歩き、山ノ鼻から鳩待峠へ戻りました。

季節を変えて何度でも訪れたくなる尾瀬。1泊2日でアヤメ平から尾瀬ヶ原を周遊する旅は、ゆっくりと尾瀬を味わいたい人におすすめのコースです。ぜひ、お出かけになってみてください。
【今回のコース】
1日目:鳩待峠~アヤメ平~富士見田代~竜宮十字路~見晴泊
2日目:見晴~東電小屋~ヨッピ吊橋~牛首~山ノ鼻~鳩待峠
写真&テキスト◎Yukari Teragaki(宇宙HIKE)
Instagram@yukari.tera17
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PROFILE
宇宙HIKE
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。



















