
【山×野点】山でひらく、わび・さびの世界。お茶で体も心もほっとする|山時間に文化を取り入れる
ランドネ 編集部
- 2026年01月03日
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山は歩くだけの場所じゃない。そこで点てる一服、書き留めるひと文字、描く一枚が、山旅を豊かにしてくれます。山×文化という新しいすごし方を、3名に提案してもらいました。
教えてくれたのは

登山ガイド 久保田伸子(やまっちゃ)さん
登山企画・講習会を行なうYAMADOOR主宰。山の草花や苔が好き。高校時代は裏千家茶道部に所属。Instagram(@yama_yamatcha)で山での野点を紹介
じつはとても相性がいい 茶道の精神と山
「初めて野点をしたのは高尾山。すごく気持ちよかったんです。心が豊かになるというか」
そう話す登山ガイドの久保田伸子さん。野点とは、野外で行なう茶会のこと。久保田さんは全国の山を歩きながら、軽やかに茶道具を取り出し、一服を楽しむ茶道の背景をひもとくと、山での野点がしっくりなじむ理由が見えてくる。


もともと茶道は、武士の密談や、戦から心身を開放させる手段だった。その後、千利休が「わび・さび」を確立し、質素で静寂、不完全な美を尊ぶ思想が誕生。足りないなかにこそ心の豊かさがあるという考えだ。茶室に飾る花も、ワレモコウやコスモスなどの季節の野花。自然に咲くようにさりげなく生けるのが原則。つまり自然が広がる山は、壁のない大きな茶室ともいえる。

「茶室での茶道はすごく集中できます。山ではそのよさを活かしつつ、もっとワイワイ。行動食をげて、みんなでシャカシャカと点ててにぎやかに楽しみます」
山で抹茶を選ぶ理由には、情緒だけでなく合理性もある。
「抹茶は葉っぱそのものを飲むのでゴミが出ない。ビタミンやカテキンが豊富で、体にもいいんです」


ガイドウォークなどで野点を体験した人の反応はいつも明るい。
「多くの人は茶道に触れる機会がないので喜ばれます。声をかけてくれた初対面の人といっしょに楽しむこともありますよ」


一度きりと思って相手に最善を尽くしてもてなす、茶道の一期一会。それが、山でも息づく。
「使い切れる個包装の抹茶もあります。まずは所作にこだわらず気軽に試して味わってほしいです」
山でいただく抹茶は、風や光、においとともに体に染みこむ。雄大な茶室で、一服してみよう。
山で野点を楽しむための基本アイテムは?

器はなんでもOK 丈夫で軽いものを
抹茶と器、茶筅、お湯があればOK。器はシェラカップや折りたたみカップ、使い捨てボウルで十分。茶筅は軽いプラスチック製も便利。お湯はガスで沸かしたり、山専用保温ボトルなら適温で手軽に。
久保田伸子さんおすすめの山
①白砂山【山梨県/昇仙峡】

- 標高:920m
- 歩行時間:昇仙峡ロープウェイ山頂パノラマ台駅~白砂山~白山展望台~昇仙峡ロープウェイ山頂パノラマ台駅/約1時間20分
野点には、白砂山に向かう途中にある白山展望台がおすすめ。その名のとおり、白い砂に覆われた美しい場所で、正面に南アルプスを望みながら楽しめる。羅漢寺山を経て向かうのも◎。
②陣馬山 【東京都・神奈川県/高尾】

- 標高:855m
- 歩行時間:陣馬高原下バス停~新ハイキングコース入口~陣馬山~新ハイキングコース入口~陣馬高原下バス停/約2時間20分
電車とバスでアクセスしやすい陣馬山。山頂が広く、テーブルやベンチも多いため野点がしやすい。近くの小仏城山や景信山も同様の理由でおすすめ。
③弘法山 【神奈川県/秦野】

- 標高:235m
- 歩行時間:秦野駅~弘法山公園入口登山口~浅間山~権現山~弘法山~善波峠~吾妻山~弘法山登山口~鶴巻温泉駅/約2時間50分
弘法山公園は初心者でも歩きやすい。晴れていれば富士山が見え、春は桜、秋は紅葉と、日本らしい景色を堪能して野点ができる。駅からのアクセスもよく、下山後に温泉で汗を流せるのもうれしい。
④長尾平 【東京都/奥多摩】

- 標高:708m
- 歩行時間:御岳山駅~長尾平~御岳山駅/約1時間
御岳山の頂からほど近くにある長尾平。ケーブルカーと整備された道でアクセスできるため初心者も安心。東屋やベンチがあり、グループ山行でも野点しやすい。眺めがよく開放的なのも魅力。
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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