
【山×スケッチ】スケッチを始めて 山の稜線がもっとよく見えるようになった|山時間に文化を取り入れる
ランドネ 編集部
- 2026年02月02日
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山は歩くだけの場所じゃない。そこで点てる一服、書き留めるひと文字、描く一枚が、山旅を豊かにしてくれます。山×文化という新しいすごし方を、3名に提案してもらいました。
教えてくれたのは

絵描き 伊藤佳美さん
八ヶ岳麓在住。アウトドアブランド勤務やスイスでのガイド経験をもつ。個展のほか、オーダーメイドの山を描く「妄想と山とわたし」を各地で開催。
紙袋もきっぷも立派な画材。描き方に正解はない

スケッチと聞くと構えてしまいがちだが「描けるタイミングがあれば描く」くらいの気軽さで十分。天気がよく時間の余裕があるときに線を走らせるだけで特別な体験になる。絵描き・伊藤佳美さんも、ふもとでの制作と山でのスケッチは別モードで行なうと話す。
「家では完成を目指しますが、スケッチは〝いま、このとき〞を描くもの。途中で終わっても問題ないし汚れても大丈夫。写真を撮る感覚で楽しめばいいと思います」

「完成しなくてOK」という気楽さこそ、スケッチの魅力だ。
「描きたいと思った瞬間にさっと描くのがいちばん。エネルギーや思い出が線に乗るから。スケッチとそうじゃない絵は、良し悪しではなく空気感が違うんです」
山で描くのは、必ずしも雄大な稜線や草花である必要がない。
「描くのは、見えた景色だけじゃなくていいと思っているんです。山で描いたこと自体が楽しいから。落書きみたいなグルグル模様でも、雲の形でもいい。きれいな色を見つけたら、その色を塗り並べるだけでも楽しめます」

専門道具がなくても大丈夫。飲食店の紙ナプキンや紙袋、ロープウェイのきっぷも画材になる。
「ポストカードに描いて友だちに送るのもすてきです。サイズ的にも挑戦しやすいですよね。太陽が山頂の真上に上がった、おもしろい花を見つけた、みたいに、印象的なことを並べるだけで十分」
山でのスケッチを始めてから、稜線がくっきり見えるようになったという。いっぽうで、景色の迫力に圧倒されるときは、あえて見ながら書かないこともある。
「山にはかっこいい線がありすぎて、気持ちが引っ張られることもあるんですよね。だから、あえて写真を撮って、それを見ながら描くこともあります。写真だと迫力が少し消えるじゃないですか。フラットになるというか」
そう聞くと、山で描こうとして手が止まることも怖くない。見たまま描いても楽しいし、写真をはさんで整理してもいい。山の形や光、驚きや高揚感を、自分の線として残せば、いつもの景色が少し違う解像度で見えてくるはずだ。

山でスケッチを楽しむための基本アイテムは?

まずは家にあるペンでOK。固形水彩絵具も◎
佳美さんは固形水彩絵具を愛用。コンパクトで、少し時間が空いても水を含ませればすぐ復活するのが便利。「色鉛筆やボールペン、鉛筆でも十分。偶然居合わせた人に借りたペンで描くのも思い出になります」(佳美さん)
伊藤佳美さんおすすめの山
①甲斐駒ヶ岳[山梨県・長野県/南アルプス]
- 標高:2,967m
- 歩行時間:北沢峠~駒津峰~甲斐駒ヶ岳~駒津峰~仙水峠~北沢峠/約7時間15分
なだらかな稜線が多い南アルプスではめずらしく、鋭い山容をもち、独立峰のようにたたずむ。その美しさで日本百名山や日本百景など、数々の名山リストに名を連ねる。スケッチ目的で登頂するもよし、甲斐駒ヶ岳そのものを描くのもよし。
②日向山[山梨県/南アルプス]

- 標高:1,660m
- 歩行時間:矢立石登山口~日向山~雁ヶ原矢立石登山口/約3時間
花崗岩が風化して生まれた、ビーチのような明るい砂地の山頂が特徴。コースタイムが短めで歩きやすく初心者にもおすすめ。展望もよく、のんびり座ってスケッチをするのにもぴったりのロケーション。
③マウントフッド[アメリカ合衆国/オレゴン]

- 標高:3,429m
- 歩行時間:ポートランドから車で約1時間30分
佳美さんの旅のドローイング集『旅のShippo』第2作を作る旅で出会った場所。ここでのスケッチは「山の絵が初めて作品になった」と実感した記念すべき一作に。周辺で観光やハイキングができる。
④槍ヶ岳[長野県・岐阜県/北アルプス]

- 標高:3,180m
- 歩行時間:(1日目)上高地~槍沢ロッヂ/約5時間、(2日目)槍沢ロッヂ~殺生ヒュッテ~槍ヶ岳山荘/約5時間、(3日目)槍ヶ岳山荘~槍ヶ岳~槍沢ロッヂ~一ノ俣~上高地/約8時間
佳美さんが2025年に登頂し「いま、いちばんスケッチをしに行きたい」と感じている一座。唯一無二の鋭い穂先が特徴的で、晴れていれば山頂から富士山や甲斐駒ヶ岳、八ヶ岳までぐるりと見渡せる。
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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