
雪で山から遠ざかる季節に聴きたい、記憶をたどる山のプレイリスト
宇宙HIKE
- 2026年02月19日
下界では移動中に音楽をよく聴く私も、山に入ると、自然を味わいたくてデジタル音から離れる。
目の前に広がる大地の色。樹々のあいだから差し込む木漏れ日。鳥のさえずりや、風に揺れる葉の音。そして、自分が地面を踏みしめる足音。ほかのすべてを閉じて、自然の音に集中したい。ただその気持ちだけで歩いている。
けれど冬になり、山から少し距離を置く季節がやってくる。雪や寒さを理由に山を休む人も、きっと少なくないだろう。ちなみに私は、完全にそのタイプだ。
そんな冬の日には、次にまた会いに行く山を思い浮かべながら、過去の山行にそっと思いを馳せる時間が生まれる。写真を見返したり、お気に入りの登山誌を眺めたりしながら、あの稜線の光や、息を切らしながら登った感触を思い出す。
その記憶に寄り添うように、もし音楽を聴くとしたら——。
記憶にそっと寄り添う、ふたつの音楽

じつは、すでに頭の中に思い浮かんでいる音楽がある。おもに、ふたつの作品から構成されている。
ひとつは、ランドネでも紹介されたことのあるスーパー登山部。( https://www.funq.jp/randonnee/article/1027424/
)もうひとつは、NHKドラマ『山女日記』のサウンドトラック。窪田ミナさんのNHK WORKSだ。
早朝、出発前に聴きたい曲

窪田ミナ「ベルクハイル」
朝、目覚めてから準備をしている時間。この曲のテンポとメロディーを聴くと、これから始まる一日へのわくわく感が自然と高まってくる。「今日はどんな山行になるだろう」と、気持ちが軽く前向きになる一曲だ。
友人と登山道を歩くときの曲

スーパー登山部「風を辿る」
イントロの軽快さと、伸びやかな歌声。「よぉーし、登るぞぉ~!」と背中を押してくれるような一曲。となりに並んで歩く友人との会話や笑い声とも、不思議とよく合う。
苦しい登りで背中を押してくれる曲

スーパー登山部「頂き」
この曲の「頂き」は、必ずしも山頂そのものを指しているわけではないと思う。それでも私は、この曲を登山の風景に重ねて聴いている。
「頂きだと思って近づくと道まだ続くと気づいて嫌になる」
そして、
「頂きだと思って近づくと道まだ続くと気づいてほっとする」
という歌詞には、登山中に何度も味わう感情がそのまま重なった。すぐにバテてしまう私は、前半の歌詞で思わず「わかる……」と涙目になりつつ、後半では、登山の折り返しが近づくことへの少しの寂しさから、「まだ続く」ことにほっとしてしまう気持ちも分かってしまう。この感覚に共感する人は、きっと私だけではないはずだ。
モルゲンロートを眺めながら聴きたい曲

窪田ミナ「山女日記」
ドラマのオープニングに使われていたこの曲。夜明けの澄んだ空気、昇ってくる太陽、差し込む光。そのすべてが、ストリングスと歌声にぴたりと重なる。広がる景色が壮大であればあるほど、思い出すだけで胸がいっぱいになり、思わず涙がこみあげてきそうになる一曲だ。
下山後、温泉へ向かう車内で流したい一曲

スーパー登山部「スーパー銭湯もある」
タイトルと状況が、これ以上ないほど一致している。ゆるやかなレゲエのリズム(いわゆる夏っぽいレゲエとは違う)、無事に下山できた安堵感、そしてどこか懐かしいメロディー。気づけば「タラッタラッタッター」と口ずさんでしまっている自分がいる。
と、私の場合はこんな感じだ。
みなさんは、次の山行を思い浮かべながら、どんな音楽を聴きたくなりますか?
写真&テキスト◎佐藤 郁(宇宙HIKE)
https://www.instagram.com/iku_sato2014?igsh=eXg4bTYwd2o5ZXQ4&utm_source=qr
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PROFILE
宇宙HIKE
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。
Photographer 松本茜主催、山と写真のコミュニティー。 宇宙を旅するように山へ登り、旅や写真を使って「自分」にフォーカスする。 ユーモア溢れるメンバーが集まり、日々楽しみながらいろんなフィールドで活動を続けている。


















