
【完全攻略】茨城最高峰が牙をむく。国内最難関クラスの山岳ライド、Okukuji「X」へ挑戦!

Bicycle Club編集部
- 2025年09月12日
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2025年10月18日(土)・19日(日)、アスリートの挑戦スピリットを掻き立てる、サイクリングとトレイルランニングを組み合わせた過酷で美しいイベント「Okukuji 「X」(奥久慈クロス)~Ride&Trail~」が開催される。その舞台は、豊かな自然と厳しい地形が同居する茨城県・奥久慈。18日のサイクリング部門は、徳川御三家の城下町・水戸からスタートし、クライマーの前に巨大な壁として立ちはだかる県内最高峰・八溝山(やみぞさん)を経て日本三名瀑・袋田の滝が位置する袋田地区へと至る125km。また、19日のトレイルランニング部門は、大子町から日本最大級の吊橋・竜神大吊橋や1,200年の歴史を誇る西金砂神社を巡り再び大子町に戻る54kmの道のりである。
このレースは単なるロングライドではない。自らの限界と対峙する”サバイバルレース”だ。エントリー期間は2025年9月30日(火)まで。己の脚と精神力を試し、唯一無二の達成感を掴み取れ!
2日間でライドとトレランを楽しめるイベント「奥久慈クロス」
- イベント名:Okukuji 「X」~Ride&Trail~
- 開催日:【サイクリング】2025年10月18日(土)、【トレイルランニング】19日(日)
- 申込期間:2025年6月30日(月)~2025年9月30日(火)
- コース:(サイクリング)水戸 → 八溝山ヒルクライム → 大子(袋田)、(トレイルランニング)大子(袋田)→ 竜神大吊橋 →大子(袋田)
- 距離:(サイクリング)125km、(トレイルランニング)54km
- 総獲得標高:(サイクリング)2,350m、(トレイルランニング)2,788m
- 募集定員:サイクリング部門・トレイルランニング部門(以下「各部門」)500名
- 参加費:各部門10,000円 / 名 ※クロス部門(両部門参加)18,000円/名
- 部門:男子(18-39歳、40-49歳、50-59歳、60歳以上)、女子(18歳以上)
- 順位:各部門についてはゴール順に順位を決定。
クロス部門については、サイクリング、トレイルランニングそれぞれの部門の順位をポイントとして合計し、少ない方から上位とする。 - 表彰:クロス部門・各部門 上位3名。年代別表彰有
特に、両部門を制覇する「クロス部門」は、まさに究極の挑戦だ。クロス部門の覇者には賞品として、常陸牛100kgとレースの舞台である茨城県北部地域の新米が贈呈される。まさに覇者にふさわしい賞品といえるだろう。
サイクリング部門のスタートは水戸城大手門から

本大会は非常に過酷なレース。完走するためには、レース当日の動きをシミュレーションし、万全の準備で臨むことが重要だ。
八溝山タイムトライアルが挑戦者を待ち受ける、サイクリング部門を紹介しよう。
タイムスケジュール
- 4:30 駐車場オープン
- 5:00-6:00 受付・荷物預かり(於:茨城県三の丸庁舎 馬場跡・調練場跡)
- 6:10-6:30 開会式
- 6:30 スタート(於:水戸城大手門)
- 9:30 第一エイドステーション 道の駅かつら 通過制限時間
- 11:10 第二エイドステーション 美和地域センター 通過制限時間
- 13:10 第三エイドステーション 大子おやき学校 通過制限時間
- 14:00 八溝山タイムトライアル計測開始地点 通過制限時間
- 15:15 八溝山タイムトライアル計測終了地点 通過制限時間(タイムトライアル区間:6.4km)
- 15:30 表彰式(於:袋田滝本町営第二無料駐車場)
- 16:30 ゴール制限時間
八溝山タイムトライアルは、スタート開始時刻に制限が設けられている。計測開始地点まで、どのようなペースを刻むか入念な調整が求められている。
Okukuji「X」コース徹底解剖
全長125kmのコースは、大きく4つのセクションに分けられる。それぞれ特徴が大きく異なるため、各区間の特性を理解し、戦略的に走ることが求められる。八溝山のふもとに至る前から、サバイバルレースは始まっている。
コース
※コースは変更になる場合がございます。予めご了承ください。
第1セクション:歴史の街から里山へ(スタート~50km地点)

茨城県の県庁所在地である水戸市。かつては水戸徳川家の居城であった水戸城で、最も格式高い門が大手門だ。水戸徳川家の威光が残る門からのスタートは、これから始まる激闘を前に静かな高揚感に包まれる。スタートすると、序盤は那珂川沿いの平坦基調な道が続き、ウォーミングアップには最適だ。数台ごとにまとまり時間を空けてスタートするため、最初は小集団での走行となることが予想される。ここで周りのペースに惑わされ、無駄に体力を使うことは避けたい。


最初のエイドステーションは、30km地点の道の駅かつら。ゆったりした那珂川の流れをはじめとする自然あふれるロケーションに囲まれながら小休止。徐々に姿を現す里山のアップダウンに備えることが必要だ。50km地点にあるエイドステーション、美和地域センターに到達する頃には、コースは本格的な山岳ルートの様相を呈し始める。10%を超える勾配の区間もあるため、油断は禁物だ。
第2セクション:決戦の地へ(50km~87.0km地点)


第二エイドステーションの美和地域センターを出発すると、いよいよアップダウンが連続する区間に突入だ。最初に待ち受けるのは「タバッコ峠(標高:約350m)」。アイヌ語が由来ともいわれる個性的な名前を持つ峠が、挑戦者の登場に歓喜する。続いて登場するは「アップルライン(標高:約400m)」。道幅が広く、走りやすい区間だ。
この区間は、大小のアップダウンが連続し、着実に脚を削ってくる。
景色を楽しむ余裕を持ちつつも、心拍数とパワーをコントロールし、後半の八溝山ヒルクライムに向けてエネルギーを温存することが最重要課題となる。


二つの峠を抜けると、第三エイドステーションである大子おやき学校に到着する。77.5km地点のこのエイドが、八溝山タイムトライアル前にある最終補給ポイントだ。ここで補給食とドリンクを十分に摂取し、決戦の地・八溝山の麓、87.0kmの計測開始地点へと向かおう。
第3セクション:決戦・八溝山ヒルクライム(87.0km~93.4km地点)

ひときわ大きな鳥居が見えてきたら、そこがOkukuji「X」真のスタート地点だ。
全長6.4km、平均勾配8.5%というスペックは、数多のヒルクライムレースと比較しても高い難易度を誇る。87kmの道のりを超えてから、己の限界との戦いが始まる。
第4セクション:八溝山から袋田へクールダウン(93.4km~125km)

八溝山ヒルクライムの後は下り基調。再び大子の町を通り、ゴールの袋田を目指す。走り切った仲間とクールダウンしながら久慈川沿いの景色を楽しもう。ゴール制限時間は16:30。制限時間が近づくと、だんだん日も傾いてくるため、ライトの準備は忘れずに。
【必見!】八溝山タイムトライアル完全攻略法

サイクリング部門の勝敗を分ける八溝山。八溝山を攻略するためには、山の知識に加えて、フィジカル、機材、そしてメンタルの三つが不可欠である。
八溝山とは?
茨城県、福島県、栃木県の三県にまたがってそびえる、茨城県最高峰(1,022m)の山。その名前は、八方に深く谷が刻まれていることに由来する。山頂には八溝峰神社、中腹には、坂東三十三観音第二十一番札所である日輪寺があり、古くから信仰の山としても知られている。
八溝山タイムトライアル計測区間データ
- 距離:6.4㎞
- 獲得標高:539m
- 平均勾配:8.5%
- 最大勾配:13.4%
攻略ポイント1:徹底したペース配分とギア選択

平均勾配8.5%という数字に惑わされてはならない。勾配は一定では無く、序盤から10%近い勾配が続き、中盤には13%超の激坂区間が出現する。3km地点から4km地点は特に勾配がある区間のため、決して序盤で突っ込んではならない。パワーメーターや心拍数を目安に、淡々とペースを刻むことが重要だ。

機材面では、リアスプロケットは最低でも最大30T、可能であれば34Tを装備したい。ミッドコンパクトクランク(52-36T)やコンパクトクランク(50-34T)との組み合わせは、この激坂において強力な武器となるだろう。
攻略ポイント2:補給戦略

計測開始の20~30分前に高エネルギーのジェルを1本摂取し、ヒルクライム中のエネルギー切れを絶対に避ける。また、ボトルの中身は吸収性の高いドリンクで満たしておきたい。ヒルクライム中は心拍数が上がり、固形物の摂取は困難になり吸収も間に合わないため、事前のエネルギー補給が全てを左右する。
攻略ポイント3:テクニックとメンタル

勾配が緩む短い区間ではシッティングで脚を休ませ、激坂区間ではダンシングを効果的に織り交ぜることで、特定の筋肉への負担を分散させる。そして何より、「まだいける」という過信を捨て、冷静な意志を持つことが、この難関を制覇する最大の鍵となるだろう。
また、今大会では「下山用荷物預け」が用意されている。ゴール会場で返却する荷物とは別に、八溝山タイムトライアルの計測区間終了後に受け取る荷物を受付時に預けることができる。標高が1,022mある八溝山からの下山は長い。急激な天候や気温の変化が予想されるため、下山用の防寒着や雨具などを用意し、十分な防寒準備をして参加してほしい。
袋田(ゴール地点)へ
八溝山を下ると、フィニッシュ地点まで約20kmのライドだ。サイクリング部門のフィニッシュ地点は袋田の滝近くの袋田滝本町営第二無料駐車場だ。預け荷物を受け取ることができるので、着替えや輪行袋を受け取ろう。会場は、翌日に実施されるトレイルランニングのスタート地点にもなるので、クロス部門の参加者は大子町内の宿泊が便利だ。また、袋田の滝は日本三名瀑の一つ。高さ120m、幅73mの大きさは圧巻だ。大岩壁を四段に落下する様子は迫力がある。ぜひ見てから帰りたい。

遠征参加者のための宿泊ガイド
レースに集中するためには、拠点となる宿泊施設の選択も重要だ。うれしいことに茨城県内には「サイクリストにやさしい宿」が充実している。Okukuji「X」参加者にオススメなサイクリストにやさしい宿を紹介しよう。
ホテルテラスザガーデン水戸(前泊におすすめ)

スタート地点である水戸市内にあり、JR水戸駅からペデストリアンデッキで直結という最高の立地。輪行でのアクセスも容易で、バイクは組み立てた状態でクロークに預けたり、ホテル貸出しのカバーを掛ければ部屋に持ち込むことも可能。当日に慌てることないよう、前日のうちにバイクを組み立てて最終チェックを行おう。全室シモンズ製ベッドでレース前の休息の質を高め、無料のサウナ付きスパで身体を最高の状態に整えることができる。万全のコンディションでスタートラインに立つための最適な選択肢だ。



DATA
住所/茨城県水戸市宮町1丁目7-20
TEL. 029-300-2500
客室/164室
駐車場/180台 1,000円(税込/泊)
チェックイン/15:00~
チェックアウト/11:00
備考/大浴場、レストラン、サウナ、コインランドリー、フィットネスジム、Wi-Fiなど
https://www.hotel-terrace.com/
御前山ビレッジ(チーム参加におすすめ)

コース中盤に位置し、自然に囲まれた静かな環境が魅力の複合施設。自社栽培の「常陸秋そば」を味わえる蕎麦店「まち庵」や、日本では珍しいエストニア製の薪サウナを完備する。宿泊施設は全3室と小規模だが、洗濯機も備え付けられており、少人数グループで滞在し、レース前の戦略会議や情報交換を行うには最適だ。レースとは少し離れた場所でリラックスしたい場合に良いだろう。また、当施設は第一エイドステーションである道の駅かつらまで車で数分の好立地。選手だけでなく、選手のサポーターや、応援に駆け付けた方々の宿泊場所としても適している。



DATA
住所/茨城県常陸大宮市野口2560-8
・第一エイドステーション 道の駅かつらまで車で4分
・水戸城大手門まで車で40分
TEL. 0295-58-6877
客室/3室
チェックイン/15:00~18:00
チェックアウト/11:00
備考/サウナ、BBQ、洗濯機(洗剤無料)、キッチン、調理器具、Wi-Fiなど
https://www.gozenyama-village.com/
袋田温泉 思い出浪漫館(後泊におすすめ)

ゴールの先にある、最高のご褒美。ライドを終えた身体を、日本三名瀑・袋田の滝を望む名湯で癒すことができる。最大の魅力は、pH値8.9を誇るアルカリ性単純温泉、通称「美人の湯」だ。源泉かけ流しの渓流露天風呂で、酷使した筋肉を芯から癒すことができる。夕食は、奥久慈しゃも、常陸牛、揚げたての天ぷらなどをライブキッチンで提供する豪華バイキング。勝利の美酒ならぬ「美人の湯」に浸り、奥久慈の美食を心ゆくまで堪能する。これ以上の贅沢はないだろう。温泉で疲労を回復させ、レースの思い出を語り合う時間は、何物にも代えがたいものとなるだろう。


DATA
住所/茨城県久慈郡大子町袋田978
・袋田滝本町営第二無料駐車場まで自転車で2分
TEL. 0570-200-418
客室/75室
駐車場/100台
チェックイン/15:00~
チェックアウト/10:00
備考/大浴場・露天風呂、レストラン、リラクゼーションスペース、バー、売店、Wi-Fiなど
https://www.roman-kan.jp/
Okukuji「X」は過酷なレースだ。しかし、挑戦した者は、奥久慈が誇る豊かな自然や絶景と、自らの限界を突破した者だけが味わえる圧倒的な達成感を得ることができる。サイクリストとしての誇りを胸に、奥久慈の激坂へ挑もう。
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- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ 文:相原晴一朗 写真:ハシケン
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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