
マルチェッリが写真判定でクリストフを下し今大会2勝目|ツール・ド・ランカウイ

せいちゃん
- 2025年10月01日
2025ペトロナス・ツール・ド・ランカウイの第3ステージが9月30日、ゲリクからパシール・プティーまでの198.2kmで開催された。序盤に設定されたティティワンサ山脈の厳しい登りを含む今大会最初の山岳ステージは、最終的に集団スプリントにもつれ込み写真判定の末、マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア)がアレクサンダー・クリストフ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)をタイヤ幅の差で下す劇的な今大会2勝目を飾った。
序盤の山岳で明暗、デクラインが脱落
マレーシア半島を横断する今ステージは、序盤からカテゴリー3、2、1と続く3つの山岳ポイントが設定され、総合争いの行方を占う重要な一日となった。
レースが本格的に始まると、山岳賞ジャージを狙うベン・カーマン(セントジョージコンチネンタル、オーストラリア)とチームメイトのダニエル・ホワイトハウス(イギリス)や、登坂力のあるジャムバルジャムツ・サインバヤル(ブルゴス・ブルペレット・BH、モンゴル)、パトリック・エディ(チームピクニック・ポストNL、イギリス)、ワジム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム、カザフスタン)という5名の逃げ集団が形成された。彼らは山岳ポイントを巡って激しいバトルを繰り広げ、最終的にエディが新たな山岳賞ジャージ着用者となった。
一方、メイン集団では大きな動きがあった。前日のステージを制したアーヴィッド・デクライン(チューダー・プロサイクリングチーム、オランダ)が、序盤の登りで早々にメイン集団から脱落。これを見たライバルチーム、特にXDS・アスタナチームとウノエックス・モビリティがペースを上げ、デクラインの集団復帰を阻止する戦略に出た。このペースアップにより、メイン集団は大きく人数を減らした。
僅差のスプリント、マルチェッリが制す
130km以上を残して山岳区間を終えると、平坦路でスプリンターチームによる本格的な追走が開始された。一時4分近くあった逃げ集団との差は着実に縮まり、残り約70km地点で吸収。その後は、総合優勝を狙うアーロン・ゲイト(XDS・アスタナチーム、ニュージーランド)が中間スプリントでボーナスタイムを稼ぐなど、緊迫した展開が続いた。
最終局面、ウノエックス・モビリティがクリストフのために完璧なリードアウトトレインを組む。クリストフがスプリントを開始すると、マルチェッリがその背後から絶好のタイミングで飛び出し、2人が横並びでフィニッシュラインへ。肉眼では判断がつかないほどの僅差となったが、写真判定の結果、マルチェッリの勝利が確定。クリストフのキャリア99勝目はお預けとなった。
レース後、マルチェッリは「クリストフのような偉大なチャンピオンから勝利を奪うのは複雑な気持ちだが、勝ちは嬉しい。写真判定を待つまで分からなかった」と、僅差の勝利を振り返った。
この結果、マルチェッリは総合首位のグリーンジャージとポイント賞のオレンジジャージを堅守。ベストアジアンライダー賞は、逃げ集団で健闘したプロンスキーがチームメイトから引き継いだ。
新城幸也のコメント

『今日の作戦は失敗に終わった。198kmのロングステージで、残り130km地点に1級山岳。平均勾配4.4%とキツくはないが、15km登るので、重量級スプリンターにはちょっと厳しい登り。
フィリッポが越えられれば良いが、遅れてしまった場合はネオと僕とで集団まで引き戻すことになった。頂上から残り130kmとフィニッシュまでは距離があるので。残念なことに頂上残り2kmぐらいで集団から脱落したので、頂上まではギリギリのペースで登り下り坂で全力で集団を 追いかける。
10kmぐらい追いかけたぐらいで、集団まで追い付いたところで、フィリッポがメカニックアクシデントで自転車を交換することになってしまった。
集団はフィリッポを追い付かせたくない、イタリアのプロチームが牽引していて、バイクを交換して戻ってからも追いかけたが、追い付くことは出来なかった。
また1人今日もチームからリタイアが出たので、明日からは4人で戦わなければならない。 実質スプリントアシスト出来るのはネオと僕だけなので、3人列車でフィリッポに望みを託して頑張ります!』
リザルト
1位 マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア) 4時間28分4秒
2位 アレクサンダー・クリストフ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)
3位 アーランド・ブリクラ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)
4位 マヌエル・ペニャルベル(チームポルティ・ビジットマルタ)
5位 エンリーコ・ザノンチェッロ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)
6位 ミゲルアンヘル・フェルナンデス(エキポケルンファルマ、スペイン)
7位 ロレンゾ・マンザン(トタルエネルジー、フランス)
8位 マルク・ブルステンガ(エキポケルンファルマ、スペイン)
9位 ヴォイテヒ・クミネク(ブルゴス・ブルペレット・BH、チェコ)
10位 ファビアン・リーンハルト(チューダー・プロサイクリングチーム、スイス)
個人総合成績
1位 マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア) 9時間57分59秒
2位 アーランド・ブリクラ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー) +16秒
3位 アーロン・ゲイト(XDS・アスタナチーム、ニュージーランド)
4位 アドリアン・メール(ユニベット・ティテマ・ロケッツ、フランス) +18秒
5位 アレクサンダー・クリストフ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー) +20秒
6位 イバン・コーボ(エキポケルンファルマ、スペイン) +21秒
7位 エンリーコ・ザノンチェッロ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア) +22秒
8位 ワジム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム、カザフスタン) +23秒
9位 タナカン・チャイヤソムバット(タイランドコンチネンタル、タイ)
10位 セドリックバッケ・クリストファーセン(ユニベット・ティテマ・ロケッツ、ノルウェー)
ベストアジアンライダー賞
ワジム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム、カザフスタン)
ポイント賞
マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア)
山岳賞
パトリック・エディ(チームピクニック・ポストNL、イギリス)
ステージ敢闘賞
ジャムバルジャムツ・サインバヤル(ブルゴス・ブルペレット・BH、モンゴル)
チーム総合成績
XDS・アスタナチーム
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている