BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • HATSUDO
  • Kyoto in Tokyo
  • タビノリ

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

まんが家が行く「わたらせ渓谷鉄道沿線サイクリング」|夏福ゆるポタエッセイ vol.20

連載「まんが家・夏福のゆるポタコミックエッセイ」では群馬県から栃木県へ、渡良瀬川の渓谷沿いを走るわたらせ渓谷鐵道沿いのサイクリングをお届します。全体的に上り基調にはなりますが、全長44.1kmと自転車で走るのに短すぎず長すぎない、ちょうどいい感じの距離なのでいつかこの沿線を走ってみたいと思っていました。

群馬・桐生から「わらたせ渓谷鐵道」沿いを北上

群馬県の桐生駅からスタート。7kmほど街中を抜け、大間々駅を過ぎたあたりから山間部へと入っていきます。山あいの渓谷沿いに国道122号が通っており、なかなかの交通量。できれば川を挟んで反対側の、道幅が細く交通量が少ない県道257号を走りたかったのですが、このところあちこちで毎日のように熊が出没しているため、山沿いの人気のない道が続く県道はやめて国道122号をメインに走ることにしました。

大間々駅の次、上神梅駅。とてつもなくレトロな駅舎です。この先終点までは、通洞駅と足尾駅が一部の時間帯のみ有人になりますが、そのほかは無人駅です。上神梅駅も無人駅。写真に写るかつての改札に切符切りの駅員さんが立っていたんでしょうね。

122号を北上しているとメロディーラインがありました。溝を切り込んだ道路の上を一定の速度で走るとタイヤとの摩擦で音が出る仕組みで、スピードの抑制や居眠り防止が目的で設置されている他、その地域にちなんだ選曲で地域活性にも役立っています。こちらのメロディーラインは、勢多郡東村(現在のみどり市)出身の石原和三郎が作詞した「うさぎとかめ」です。

自転車だし聞こえないか…と思っていたら、横を走り抜ける車が奏でるうさぎとかめのメロディーがはっきりと聞こえました。交通量があるのでメロディーライン区間ずっと。

ちなみにこのメロディーライン、北海道での道路工事中に誤って建設機械が通行して傷をつけてしまい、その上を走った際に出た音が誕生のきっかけなんだそうですよ。

レトロな自動販売機に吸い込まれる

さらに北上すると、ゆるくカーブを曲がった先に突如現れる小屋。車やバイク、そしてサイクリストがさほど広くはない駐車スペースにひっきりなしに入っていきます。ここはレトロ自販機が何台も設置されている「丸美屋自販機コーナー」。例に漏れず私も吸い込まれます。

うどん、そば、ラーメン、トースト、ハンバーガーといったレトロ自販機に加え、通常のドリンク自販機や特産品やお菓子、アイスの自販機もあり、眺めているだけでワクワクします。

なかでも手作りの天ぷらが乗っているうどんそばが人気で、具によって中当たり、大当たりがあり、私が選んだうどんには中当たりのさつまいも天が乗っていて、見た瞬間「わっ♪」と声が出ちゃいました。嬉しい。大当たりはなんと海老天! この手の昔ながらの麺類でたまに出会う、お醤油を薄くのばしただけのようなスープかと思いきや、お出汁が効いてて美味しい。少し柔らかめの麺もなんだか懐かしくてほっとするお味です。

麺は普通のうどん麺と桐生市の名物ひもかわうどんが選べたり、青唐辛子入りもあったりと何度来ても楽しめそうです。

列車のレストランでトロッコ列車をお出迎え

神戸駅に到着。「こうべ」ではなく「ごうど」と読みます。こちらもかなりのレトロ感(トップ画像の駅です)。この駅には、かつて東武鉄道日光線を走っていた車両を活用した列車のレストランがあり、それだけでもめずらしいのですが、レストランへは無人の駅からホームへ入り、さらに反対側のホームへと陸橋を渡らなくてはなりません。

お食事メニューもありますが、先ほどうどんを食べたのでこちらではデザートをいただきました。店内にはお客さんが2組ほどでゆったりとしていたものの、厨房では何人もの従業員の方が作業をしていてなにやら大忙しの様子。到着したのが11時半頃だったのでランチタイムの仕込みかな? と想像しながらコーヒーを飲みつつ窓の外を眺めていると、どこかでチャンスがあれば見たいと思っていた、わたらせ渓谷鐵道名物のトロッコ列車がホームへと滑り込んで来ました。

ちょうどケーキを食べ終えたところだったので急いで外へ出ると、昔の映像でしか見たことがない立ち売りで、トロッコ席の乗客にお弁当や軽食、野菜などを販売していて驚きました。もしかすると、先ほどの厨房ではこのお弁当の作っていたんでしょうか。珍しい光景を見れました。

今回、渓谷沿いサイクリングといっても道路からはほとんど川が見えなかったので、より川に近い場所を走る列車の旅もいつかしてみたいです。また違った風景なんだろうなぁ。

ここから一旦少しだけ122号を外れて川を渡り、草木ダムを見に行きます。

道の脇に見えるのは、旧足尾線(現わたらせ渓谷鐵道)で利用されていた琴平トンネル。草木ダム建設に伴い廃線となり、現在は遊歩道として残っています。自然に囲まれた遊歩道は大好きなので気になりますが、やはり最近は熊が怖いので入り口まで行って引き返しました。

琴平トンネルから先はしっかりと上り坂が続きます。途中道をそれてダムの下へと行くために一旦下ることになるのですが、ここを上り返さなければならないのか…と思いつつ一気に下る。

草木ダムでは迫力の展望が待っている

下った先に展望スペースのような場所があり、目の前にダムが見えたので写真を撮っていたら、展望スペースの横の建物(わらべ工房という木工工房のようです)から出て来た男性に声をかけられました。「もっと下に行くとダムの真下まで行けるよ」と指をさす先には確かに道が続いていて、よく見たら数人観光客も。一瞬『さらに下ると上り返しが…』と思ってしまいつつも「すごい迫力だから見たほうがいいよ~!」とオススメいただいたので、お礼を言って下りてみることに。

すごかった。目の前にダム! 展望スペースでも十分迫力があったのにさらに圧倒されました。教えていただけてよかった~。ほんの数十メートル、全然大した距離じゃないのに一瞬でも躊躇ってしまってすみません。

先ほど下ってきた坂を上り返し、さらに上ってダムの上へ。

ダムの上からもいい眺めです。

堤体を渡って122号へと戻り、少し北上すると「草木ドライブイン」に到着。

このドライブインも古き良きレトロドライブインで、お土産売り場も食堂も昭和の香りが濃厚なうえに、敷地内には寝釈迦や七福神の巨大な石像があったりとクセが強めで楽しいです。

名物のよもぎまんじゅうと舞茸せんべいを購入。よもぎまんじゅうは小麦粉の生地なんですが、モッチモチでよもぎの香りが強く、これは名物になるわけだと納得の美味しさ。もうワンパック買えばよかったと後悔しました。舞茸せんべいは試食をいただいて、ひとカケラだけでもめちゃくちゃ香ばしくて思わず買ってしまいました。試食はほんのり温められていて、それが香ばしさを増していたようです。甘すぎずサクサク食べてしまって危険です。

草木ドライブインを後にし122号を北上していると、街灯にうさぎとかめを発見。

沢入トンネルを抜けた先で栃木県へと入りました。

さらに進むと122号から分岐し、足尾町へと入ります。ちなみに、122号を直進すると日光のいろは坂の入り口あたりへと出るのですが、私にとってはわたらせ渓谷といろは坂は知ってはいても、それぞれ違ったルートからアプローチする場所だったので、その二つの場所が一本の道で繋がっていると知った時は感動しました。

日本一の足尾銅山、終着駅の間藤駅へ

足尾といえば日本一の銅山の町として知られています。慶長15年に備前楯山で初めて銅が発見され、以降江戸幕府直営の銅山として栄えました。昭和48年に閉山後、銅山内にトロッコで入り見学ができる足尾銅山観光や、近年では足尾銅山記念館が開館。町のあちこちには鉱山関係の施設や建造物が残っており、さらに当時の様子を写した写真パネルが設置されていたりと、町中を散策しているだけで1日楽しめそうです。

通洞駅近くに足字銭鋳銭座跡の石碑がありました。看板には、正徳4年以降産銅量が減退し、困窮を救うため幕府に対して寛永通宝を鋳銭することを願い出、寛保2年から延亭4年までの6年間に約22万2千6百貫文鋳造された、と書かれていました。足尾で鋳造された寛永通宝1文銭は、背面に「足」の字が記されていることから「足字銭」と呼ばれているのですが、お金を「おあし」というのは、足字銭の足の字が語源とも言われているそうです。

その足字銭の形をしたお菓子を販売している「安塚菓子店」に立ち寄りました。すると、表に止めた私の自転車を見たご主人に「ビアンキ? 私も昔ビアンキに乗ってたんだよ」と話しかけられビックリ! 保管してある自転車を見せてくださいました。なんでも体調を崩されて乗れなくなってしまわれたそうです。自転車の写真も載っけていいよ! とのことだったので、お言葉に甘えて掲載させていただきました。カラフルなカラーが素敵。スポーツバイクに乗っていると、普段スポーツバイクに馴染みのない方から声をけられることはよくあるのですが、ビアンキに乗っていた方に出会えるとは。嬉しかったです。

購入した足字銭最中は、香ばしい最中種の中に上品な甘さのあんこがたっぷり入っていて、寛永通宝そっくりな形が可愛い。ちゃんと裏には足字銭の「足」の文字が刻まれていました。お客さんの中には、群馬や栃木の遠いところから自転車で自走で来る人もいるんだよ、とおっしゃっていたんですが、サイクリングの途中に美味しいお菓子をいただけるなんて、坂も頑張って上っちゃいますね。足字銭最中と並んで「あんこ玉」も人気なので、今度はそれをいただきにまた訪れたいです。

甘いものを食べて、ゴールの間藤駅まではあと一息。途中おしゃれな建物の足尾銅山記念館の前を通ります。

わたらせ渓谷鐵道終点、間藤駅に到着しました。交通量の多い国道をメインで走ることになったのは少し残念でしたが、個性的な立ち寄りスポットや歴史を感じられる場所がたくさんあり、とても楽しめました。

SHARE

PROFILE

Bicycle Club編集部

Bicycle Club編集部

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

Bicycle Club編集部の記事一覧

No more pages to load