
宮里優作最終盤に語った集中力と苦しい時期を支える思考法|EVEN連載 The NEXT STAGEより
EVEN 編集部
- 2025年12月23日
変化と進化を繰り返しながらその先に広がる“新たな地平”に挑む宮里優作プロのインサイドストーリー。
繰り返し語られてきた「やるべきことをやる」の真意を今さらながら痛感した今季最終盤。
集中の継続は大前提。
長く話を聞いているのに、今もって優作の心情を理解できていないのかもしれない。そんな悔やみ交じりの疑念を抱いたのは、それこそ今さら不適当な質問を用意したように思ったからだ。

来ている時、来ていない時。または来そうな時、来なさそうな時。1ラウンドが長時間に渡るゴルフには様々な局面が訪れるが、各場面でいかに集中力を保とうとするのか。そこにメソッドのようなものはあるのか。
以上の質問を初球に選んだのには理由がある。インタビュー直前の11月第3週に開催された「三井住友VISA太平洋マスターズ」。その初日が5バーディ・ノーボギーの1位タイ。見守る側にすれば、シーズン後半でいよいよ来たんじゃないかと、沸き立つ気持ちを抑えられなくなった。
だが、2日目以降はスコアが伸びず、というより下降の一途をたどり、最終的には5オーバーの56位タイまで沈んでしまった。その直近の結果に限らず、今季は2位タイでフィニッシュした5月の「中日クラウンズ」以外でトップ10に入っておらず、いわば苦しい試合が続いている中、結果に対して集中力が切れることはないのだろうか。その点をたずねたかった。

ところが、最初の返事からして意表を突かれた。
「太平洋マスターズの初日5アンダー。あれは、まったく手応えのないものでした」
早くもこの時点で、見守る側とプレーする側の観点の、あまりの違いを思い知らされることになった。
「良いところからのパーセーブが保てたなら、内容的には納得できたかもしれません。けれどパターは入らず、あの日はたまたまつながっただけで、調子が良ければ誰でも出せるスコアだったと思いますよ」
誰でも出せるスコア?
「自分に手応えがないのに良い結果が出ることはよくあるんです。そんな時こそ大事なのは、悪くなってきた時でもスコアをまとめること。それができるほどの調子が出ていなかったから、ボディブローを喰らったみたいに、徐々に順位を落としていったんじゃないですかね」
特に調子が出なかったのは、ショートゲームだったらしい。
「何にせよ、スコアメイクの鍵を握るのはショートゲームですからね。ここが滞ると、つながりの良さを感じることができません。4日間を通してスコアがつくれないのは、そこに原因があります」
言うまでもなく、優作の自己分析は常に冷徹だ。それを知っていながら、しかも芳しくない成績で終えた直後、本人の口から分析結果を引き出すつもりがなかったのなら、やはり質問の仕方は間違っていたのかもしれない。などとしばし無言で反省していたら、優作から言葉を継いでくれた。
「よい結果が出ているからと言って、油断することはないんです。ゴルフは一寸先が闇。最終日の18番ホールが終わるまで、何が起こるかわからないし、何が起きてもおかしくはない。その過程で集中を切らすことはありません。苦しいゴルフが続いている最中でも、それは同じです。自分のメンタルが強いとは自負できませんが、メンタルの調子そのものは大して変わらないんです。とにかく、目の前のショットを頑張る。時々でやるべきことをしっかりやる。すべての集中力は、そこに向けられていると言って良いでしょうね」
やるべきことをやる。これは優作がよく口にするセリフだが、その意味を正しく理解していなかった可能性を、暗に指摘されたような言葉が続いた。
この続きはEVEN1月号Vol.207にて
プロの世界ならではの集中力の維持の大切さや、ゾーンに入りやすくするトレーニング方法など、気になるインタビューの続きは是非本誌を手に取ってその目で確かめて欲しい。
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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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