
マキシス・ハイロード、ロード市場でも高評価を得る新作

安井行生
- 2025年08月31日
5年以上も前の話になるが、マキシスの本社と工場を見学させてもらったことがある(正確には、マキシスの母体であるチェンシンタイヤの本社と工場)。台湾の空港に降りると、オレンジ色のマキシスの広告だらけ。本社は一つの町かと思うほど広く、大きな建物が何棟も建ち並び、開発棟では白衣を着た若い研究者が忙しそうに働いていた。端がかすんで見えないほど大きな工場では、数えきれないほどの加硫機がずらりと並び、もうもうと湯気を吐いていた。OEM含め大量の製品を作っているにもかかわらず、厳重な検品体制を敷いていることにも感銘を受けた。自動車用やオートバイ用、産業機械用タイヤも手掛けているグローバル企業ということは知っていたが、ここまでの規模だとは思っておらず驚いた。
MTB用タイヤでは「マキシスの牙城を崩すの難しい」と言われるほどのシェアと実力を誇るマキシスだが、ロード用タイヤでも実力をつけてきており、性能にシビアなレーサーにも高い評価を得ている。
そんなマキシスのロード用タイヤ、ハイロードは昨年モデルチェンジをしている。スタンダードモデルのハイロードと軽量版であるハイロードSLの2種類があり、それぞれにクリンチャーとチューブレスレディが用意される。

High Road(チューブレス レディ仕様)
価格:10,780円(税込)
- サイズ(重量):700x25C(280g)、700x28C(320g)、700x30C(335g)
試乗レビュー ライター安井行生✕TRYCLE田渕君幸
ここではサイクルショップTRYCLE田渕君幸代表とライター安井行生が試乗レビューをお届け。TRYCLE LODGE MIYAGASE 相模原市を拠点にツアー・オブ・ジャパン相模原ステージでも使われる宮ケ瀬湖周辺のアップダウンのあるコースで試し、その感じたところを対談形式でお伝えする。

田渕:ロードレースやヒルクライムにも使える性能が出ていますが、このタイヤの真価が発揮されるのはファストロングライドだと感じました。走りに安定感があり、グリップが非常にいいので、荒れた路面や下りでの安心感は高いでしょう。さすがMTBタイヤの定番ブランドです。グリップと扱いやすさが美点なので、それらを活かせるロングライド的な走り方に合います。
安井:ミシュランのパワーカップに似たバランスですね。いろんなタイヤを作り慣れているマキシスならではのまとめ方でしょう。突出した性能はないものの、いいバランスに仕上がってます。美点は、性格がすごく素直なこと。入力と反応が綺麗にリンクしているというか、動かしたいだけきっちりと動いてくれます。だから使い始めた瞬間からなにも考えずに操ることができる。目立つ性能ではありませんが、これはタイヤにとって非常に重要な性能です。タイヤとは、転がり抵抗、耐摩耗性、耐パンク性、軽量性、グリップ、ウェット性能、快適性などの相反する各性能をどれほど高いレベルでバランスさせているかで決まります。なにかを犠牲にしてなにかの性能を突出させたタイヤを作るのは難しくないでしょうが、全ての要素をハイレベルでまとめるのは非常に難しい。
田渕:尖がったタイヤのほうが目立って注目を集めるんでしょうけどね。

安井:そう。このハイロードのようなタイヤは、いい意味で印象に残らない。変に意識する必要がないですからね。でも日常的に使うなら、こういうバランスがとれたタイヤのほうがいいです。なにも気を配らずに走り出し、淡々と距離を稼いで帰ってくることができる。それは大きなメリットですよ。
問:マルイ https://maxxis.jp/
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 撮影:橋本謙司 協力:TRYCLE https://trycle.net
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