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スペイン一周自転車レースでゴール前3kmでレース中止 ビルバオで何が起きたのか

スペインで開催中のブエルタ・ア・エスパーニャの第11ステージで、ゴール直前にレースが中止となる自体が発生した。その時の現地の様子をスペイン在住の對馬由佳理がレポートする。

ブエルタ・ア・エスパーニャのゴール前にパレスチナ支持派のデモ隊が侵入

レースが中止となったのは、9月3日の第11ステージ。バスク地方のビルバオ市内をスタート及びコ゚ールとするこの日は、獲得標高が3000m以上ということもあり、激しいレースになることが予想された。

しかし、レースがスタートするとニュートラル区間のうちにパレスチナ支持派のデモ隊が道路を封鎖したため、リアルスタートが3分ほど遅れる形で始まることになった。

さらに選手たちがビルバオ市外を走っている間にも、ビルバオ市内のコ゚ール地点にはパレスチナ支持派が続々と集結することに。彼らの目的は現在ガザに進行しているイスラエルを本拠地とする自転車チーム「イスラエル・プレミアテック」をブエルタから除外することだった。

スペイン国内でも高まる「反イスラエル」 第5ステージでも

スペイン国内でも最近特にパレスチナ支持の動きが高まっており、特にバスク地方では以前からパレスチナを支持している人が多い地域でもある。そうした地域でこの時期にイスラエルのチームがブエルタに出走できているということは、非常に受け入れがたいものだったのだろう。ブエルタがバスク地方に来る数日前から、SNSなどでは「ブエルタでパレスチナ支持を訴え、イスラエル・プレミアテックを除外させよう」という呼びかけがなされていた。

ブエルタの中で、パレスチナ支持派による、イスラエル・プレミアテックの選手に対するレース妨害が目立つ形で現れたのは、第5ステージのフィゲイラスでのチームTTが最初。このときは同チームがレース中、数人のデモ隊が道路に飛び出してレースを止めようとした。

第11ステージで起こったデモ隊のコース侵入行為

しかし、今回の第11ステージで集まったパレスチナ支持派の数は、今までのものとは比べ物にならないほどのものだった。ビルバオ市内のメインストリートに設置されたコールまでラスト500m区間を、パレスチナの旗が埋め尽くさんとするレベルで人が集まっていた。そして、この日2回コ゚ールを通過することが予定されていた選手の中から、ミケル・ランダ(ソウダル・クイックステップ)とサンティアゴ・ブイトラゴ(バーレーン・ヴィクトリアス)が、1回目のゴールラインを通過したとき、それは起こった。

コ゚ール前約100m地点で観客と選手を分けていた鉄柵が一部倒され、パレスチナ支持派のデモ隊の一部がコ゚ール前の道路を占有しようとした。幸いブエルタのスタッフが鉄柵を抑えたため、たくさんのパレスチナ支持派がコース上に押し寄せることは回避されたが、選手たちは多くの人を避けながら、1回目のゴールラインを超えることになった。

オーガナイザー側からゴール前3km地点で中止することを発表

選手たちはその後約25kmの周回コースを走って再びゴール地点に現れる予定だったが、パレスチナ支持派による再度のレース妨害を防ぐため、コース上に警察官や警察車両が投入された。そして選手たちが最後の上りに差し掛かる頃、オーガナイザー側から「この日のレースをゴール前3km地点で中止とすること、加えてこの日のステージ優勝者や順位は設定されない」と発表がなされた。またこの日のタイムは、ゴール前3kmまでのタイムが総合時間に加算されることに。

そのため選手の多くはコ゚ールラインを通過せず、直接コ゚ール前の各チームのチームバスに乗り込み、この日のレースを終えることになった。プロトンの中にはここ数日のパレスチナ支持派のデモ行動に対して恐怖を感じている選手も多く、特にイスラエル・プレミアテックの選手やチームスタッフは、日々観客から浴びせられる罵声とやじに苦しんでいるという。

イスラエル・プレミアテックはブエルタ続行、公式発表UCIもブエルタ主催者も現状維持を決断

この日の出来事を受け、ブエルタのオーガナイザーやUCI、そしてイスラエル・プレミアテック自体が、今後のブエルタに向けてどのような判断をするのかが注目された。まず、最初にUCIは「どのような形でも政治的な理由によるレース中止はあってはならない」と公式発表し、同時にUCIは政治的に常に中立の立場であることを表明。

その後イスラエル・プレミアテックが、ブエルタ続行を公式として発表する。そしてブエルタのオーガナイザーも今回の出来事に関して、政治的な意見の表明の自由は認めるものの、選手やレースに影響が出るような行動は許容できないと表明した。

スペイン時間の9月4日午前1時現在、イスラエル・プレミアテック側からはレース辞退の表明はなく、UCI 及びブエルタのオーガナイザーからも、同チームを除外するという発表はない。

動向が注目される今後のブエルタとチーム

しかし今日のレース前の時点で 、選手側からオーガナイザー側にイスラエル・プレミエテックの除外を求める動きがあったことに加え、ブエルタのテクニカルディレクターが同チームの除外を示唆するコメントが出されているのも事実である。

今回のレース中止に関して、パレスチナ支持派はSNS で自分たちの勝利を誇る一方で、イスラエル・プレミアテックがレースを辞めるまで毎日レース妨害をすることを表明しているものもある。そのためレース中の安全対策に関しても不安を持っている選手も少なくない。今後のイスラエル・プレミアテックの動向とブエルタのレースに注目する必要があるだろう。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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