
マルチェッリが今大会3勝目、地元ヒーローのロスリがロングエスケープ|ツール・ド・ランカウイ

せいちゃん
- 2025年10月01日
2025ペトロナス・ツール・ド・ランカウイは10月1日、トレンガヌ州の州都クアラ・トレンガヌから同州の海岸沿いを南下してケママンまでの141.5kmで第4ステージが行われ、マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア)が集団スプリントを制し、今大会3勝目を挙げた。レースの大半を逃げ、残り20kmから独走した地元マレーシアチャンピオンのムハンマドヌルアイマン・ロスリ(トレンガヌサイクリングチーム)は、ゴールまで残り4kmで吸収され、故郷での大金星はならなかった。
地元ヒーロー、ロスリの果敢な逃げ
トレンガヌサイクリングチームの地元であるトレンガヌ州を舞台にした今ステージは、海岸沿いの平坦なレイアウト。レースは序盤から活発に動き、スタート直後にムハンマドヌルアイマン・ロスリ(トレンガヌサイクリングチーム、マレーシア)、ヴォイテヒ・クミネク(ブルゴス・ブルペレット・BH、チェコ)、ヤウヘン・ソバル(成都DYCサイクリングチーム、ベラルーシ)の3名が逃げ集団を形成した。
ロスリは3つの中間スプリントのうち2つを先頭で通過し、ポイントとボーナスタイムを着実に獲得。総合リーダージャージのマルチェッリを擁するXDS・アスタナチームが中心となってメイン集団が2分前後の差でコントロールする中、レースは終盤へ。クミネクは3つ目の中間スプリントを終え集団に戻ったが、残り約20kmでロスリが「地元で何かを成し遂げたかった」と、共に逃げてきたソバルを突き放し単独アタックを敢行。地元トレンガヌ州の声援を背に独走を開始し、縮まっていたメイン集団との差を一時は1分40秒まで広げ、ステージ優勝への期待を抱かせた。
スプリンターチームの壁、混沌のスプリントをマルチェッリが制す
しかし、集団スプリントを狙うスプリンターチームがこれを許さなかった。XDS・アスタナチーム、ウノエックス・モビリティ、チューダープロサイクリングチームなどが組織的な追走を開始すると、猛烈なペースアップによりロスリとの差は急速に縮小。英雄的な走りを見せたロスリだったが、ゴールまで残り4km地点で無念にも吸収された。
最終盤は、ゴール地点ケママンの市街地に設定されたテクニカルなコーナーが続く混沌とした展開に。各チームのスプリントトレインが激しく主導権を争う中、マルチェッリが巧みな位置取りから抜け出し、力強いスプリントで集団の頭を取り勝利を掴んだ。2位にはマヌエル・ペニャルベル(チームポルティ・ビジットマルタ、スペイン)、3位にはアーランド・ブリクラ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)が入った。
レース後、マルチェッリは「チームが完璧な仕事をしてくれた。今日は前から仕掛ける異なる戦略を試した」と語り、今大会3勝目を喜んだ。一方、果敢な走りでステージを大いに盛り上げたロスリは、この日の敢闘賞を獲得した。
この結果、マルチェッリは総合首位のグリーンジャージとポイント賞のオレンジジャージを堅守。ベストアジアンライダー賞はワジム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム、カザフスタン)、山岳賞はパトリック・エディ(チームピクニック・ポストNL、イギリス)がそれぞれ守った。翌日の第5ステージは、今大会唯一の山頂フィニッシュとなるクイーンステージで、総合争いが本格化する。
リザルト
1位 マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア) 3時間17分56秒
2位 マヌエル・ペニャルベル(チームポルティ・ビジットマルタ、スペイン)
3位 アーランド・ブリクラ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)
4位 エンリーコ・ザノンチェッロ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)
5位 マルク・ブルステンガ(エキポケルンファルマ、スペイン)
6位 ロレンゾ・マンザン(トタルエネルジー、フランス)
7位 モハマドイザットヒルミ・アブドゥルハリル(マレーシアプロサイクリング、マレーシア)
8位 アーヴィッド・デクライン(チューダー・プロサイクリングチーム、オランダ)
9位 アーロン・ゲイト(XDS・アスタナチーム、ニュージーランド)
10位 ミゲルアンヘル・フェルナンデス(エキポケルンファルマ、スペイン)
個人総合成績
1位 マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア) 13時間15分45秒
2位 アーランド・ブリクラ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー) +22秒
3位 アーロン・ゲイト(XDS・アスタナチーム、ニュージーランド) +26秒
4位 アドリアン・メール(ユニベット・ティテマ・ロケッツ、フランス) +28秒
5位 ヴォイテヒ・クミネク(ブルゴス・ブルペレット・BH、チェコ) +29秒
6位 マヌエル・ペニャルベル(チームポルティ・ビジットマルタ、スペイン) +30秒
7位 アレクサンダー・クリストフ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)
8位 イバン・コーボ(エキポケルンファルマ、スペイン) +31秒
9位 エンリーコ・ザノンチェッロ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア) +32秒
10位 ワジム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム、カザフスタン) +33秒
ベストアジアンライダー賞
ワジム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム、カザフスタン)
ポイント賞
マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア)
山岳賞
パトリック・エディ(チームピクニック・ポストNL、イギリス)
ステージ敢闘賞
ムハンマドヌルアイマン・ロスリ(トレンガヌサイクリングチーム、マレーシア)
チーム総合成績
ウノエックス・モビリティ
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている