
まんが家夏福の、「初めての江戸川サイクリング」|夏福ゆるポタエッセイ vol.19
Bicycle Club編集部
- 2025年10月25日
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茨城エリアを中心にサイクリングを楽しんでいる、まんが家の夏福さん。今回は、関東のサイクリストによく知られている「江戸川サイクリングロード」を走ってきた様子をレポートします。
10年目に初めて走る江戸川サイクリングロード
スポーツバイクを乗り始める際に、まずはサイクリングロードで練習をした人は多いと思います。自動車が走っておらず、信号がなく(少なく)ルートが単純で迷いにくい。私も乗り始めはもちろん、初めてビンディングペダルを使うときにもサイクリングロードで練習をしました。
そんな安心感のあるサイクリングロードも、自転車に乗り慣れてくると単調な道に物足りなさを感じたり、目的地が増えルートが限られるサクリングロードでは逆に不便になってしまい走る機会が減ってしまうなんてこともありますが、なるべく自動車や人の少ない道を走りたい私は、ロードバイクに乗り始めて10年目の今でも好んでサイクリングロードを走っています。
地元以外のサイクリングロードを詳しく知ることがなかなかできないので、全国のサイクリングロードを網羅したマップやナビがあったらいいのに、と常々思っています。

さて、今回のゆるポタは江戸川サイクリングロードです。東京近郊のサイクリストなら誰しもが知っている、そして走ったことがあるのではないかと思うほどのメジャーなサイクリングロードですよね。
先ほども書きましたがロードバイクに乗り始めて10年目、そして茨城県からは気軽に輪行できてしまう近さであるのに、これまで江戸川サイクリングロードを走ったことがありませんでした。
なぜかというと…まずは人が多そう。チョロチョロ走っていようものなら走り慣れているローディーさんに「邪魔だよ!」と怒られてしまうのではないか。卑屈ですね。ただでさえ人混みが嫌いなのであえて行かなくても…と避けていました。
そして都会(に近い)というおしゃれなイメージからシュッとしたローディーしか走ってはしってはいけないのではと言う根暗な妄想があったためです。卑屈です。
それがどうして走ってみることにしたのかと言うと、江戸川サイクリングロードを走っている方のyoutube動画がたまたま流れてきたのを観たのがキッカケで、とても楽しそうに走られていて、道も思っていたほどごった返しているわけではないと知り「行ってみたい!」となったのと、10年目にしてメジャーな場所を初めて走ってみるのも企画的に面白いのでは?と単純に思ったからです。
江戸川に「渡船場跡」は10か所以上

初めてということもあり、ここはやはり「江戸サイといえば」なサイクリストご用達の場所をめぐるのがいいかなと寄り道スポットを調べていると、川のあちこちに「渡船場跡」があることに気づきました。ざっと数えただけでも10ヶ所以上。
江戸川には現役の矢切の渡しがあることは知っていましたが、こんなにも渡船場跡があるとは。俄然めぐってみたくなり、江戸川をテーマに走ると伝えていた編集さんに「渡船場をめぐりたいのですが地味でしょうか」とお伺いしたところ「アリです!」とオッケーをもらったので当初の予定をあっさり変更。「江戸川サイクリングロード・渡船場跡めぐり」に決定です。
サイクリストご用達案は変更になりましたが、江戸川からアクセスしやすい場所にサイクルラックが設置されているカフェなどがたくさんあって選ぶのが迷うほど。何度来ても楽しめそうです。

せっかくなので、端から端まで走りたいと思い、左岸側のサイクリングロード入り口最寄りの京葉線二俣新町駅からスタート。早々に対岸にスカイツリーが見えました。都会だ。
サイクリングロード脇にはマンションや住宅が立ち並び、写真には映らないようにしましたが早朝にもかかわらず犬のお散歩やウォーキングにジョギング、半裸で筋トレ、スポーツの練習や試合、川にはたくさんのボートが浮かんで何やらイベント的な催しがあったりと、老若男女で賑わっています。勝手に想像していた進みづらいほどの混雑では無く活気のある感じです。

写真じゃちょっとわかりにくいですが、江戸川と旧江戸川の分岐です。旧江戸川方面へと進むと東京ディズニーランドのある舞浜になります。江戸サイライドといえばそちら側を走るイメージが強いですかね。電車や車でしか行ったことがないディズニーランドに自転車で行けるということに驚きます。
特徴的な自転車止めを通過し、渡船場へ

通りづらいことで有名な自転車止めにテンションが上がりました。

約8kmほど走って「市川関所跡」に到着。グーグルマップには関所跡と出るのですが、設置されている看板には渡し船があったと書かれていました。江戸時代以前から渡し船があり、江戸に幕府が置かれると江戸を守るために渡し場で旅人を調べる「定船場」が設けられ、これがのちに関所となったのだそう。江戸時代を通して江戸川には橋が架けられなかったんだそうです。

市川関所跡すぐそばの市川橋を渡り、右岸側の渡し場跡に向かいます。看板には「小岩市川の渡し跡、小岩市川関所跡」とありました。

右岸を北上中。「江戸川サイクリングロード楽しい!」の一枚。

関所から約3kmほどで寅さんで有名な柴又のあたりまで来ました。この近くに「矢切の渡し」があります。サイクリングロードから少し川側に入っていくと渡船場があるのですが、想像よりもだいぶひっそりとしていました。対岸の渡船場には案内所や立派な石碑があったりと、しっかりした作りになっている模様。
今回はまだ営業時間前だったので乗っていないのですが、ここの渡し船は以前乗った小堀の渡しの大きなアルミ船とは違い、エンジンと手漕ぎでの小さな船のようです。いつか乗ってみたい。
松戸駅近くの和菓子屋「峰月」

葛飾橋まで北上し、対岸へと渡ります。ここでちょっと寄り道。松戸駅近くの和菓子屋「峰月」さんで矢切の渡し最中を購入。船の形をしていて可愛いです。

サイクリングロードへと戻って少々北上。トイレやベンチがある休憩所に常夜燈が立っています。夜になると明かりが灯り、船着場の位置を知らせたと書かれていたんですが、この辺りにも渡船場があったのでしょうか。この常夜燈は舟運復活を願って近年寄贈されたもののようです。

先ほどの葛飾橋へと戻り右岸へと渡ると橋からすぐ近く、土手を降りたところに「金町関所跡」があります。ここは前回の記事でちらっと書いた水戸街道の途中にある関所で、対岸の松戸宿との間には渡船が常備されていたそうです。
この松戸近辺を過ぎたあたりから人口密度が徐々に減り、上流に向かうに連
れてのどかな雰囲気になって行きました。

金町関所跡から500mのところに「小向の渡し跡」の柱が立っていました。わりと近距離に渡し場があったんですね。それともここが金町関所の渡船場だったんでしょうか。
何度も角度や位置を変えて写真を撮るので、よく周りの人から何を撮っているのかと見られることがあります。
ここから先の渡船場跡はこのような柱が立っていて、それぞれ番号が振られており、渡船場の説明と次の渡船場までの距離が書かれています。今回グーグルマップで見つけた渡船場のみをチェックしてめぐっていたのですが、帰宅後写真で番号などを確認したところ、飛ばしている渡し跡があることに気づきました。コンプリートできず残念。
小向の渡し跡の次は「樋の口の渡し跡」、そして左岸に渡って「幸房の渡し跡」とめぐります。
有名な休憩所「みさとの風ひろば」

またまた右岸へと渡って「ここは見ておきたい」とサイクリストに人気だという休憩所「みさとの風ひろば」に寄り道。トイレやベンチ、サイクルラックがたくさんあります。
人気スポットだから人がいっぱいいるかな?無理そうだったら写真は諦めよう…と思っていたら、みなさんメインのオブジェのベンチには座らず、周囲のベンチで休まれている。記念撮影が多いから配慮…?ありがたく写真撮りまくりました。
ちなみに、スタートからこの辺りで約30km。ゆるポタ的にはここからすぐ近くの武蔵野線三郷駅から輪行という手もアリですが、まだまだこの先も渡船場跡が続きますし、今回はさらに北上し江戸川の上流、利根川との分岐にある関宿城跡を目指します。

みさとの風ひろばからすぐ、「丹後の渡し跡」「前間の渡し跡」と続きます。
丹後の渡し跡は対岸にもありますが同じ名前なのでスルーし、前間の渡し跡の対岸になる「矢河原の渡し跡」へ向かいます。ところがサイクリングロードから直接橋へと上がろうとすると、そこにはバリケードとともに立ち入り禁止の張り紙が…。
橋はすぐそこ。バリケードはスカスカなので行こうと思えば行けちゃうけど、それはイカンでしょ…とマップで対岸へのルートを引いてみると、一旦道路に出て橋のたもとから上れと出てきます。しょうがないとぐるっと回り込んで橋へと進むと、そこには有料道路の入り口がありました。
20円の有料道路!?

歩道はあるけど自転車は通っていいのか焦りましたが、よーく見ると「自転車の方は20円をお支払いください」と看板が立っていました。20円!安い!自転車で有料道路を渡るのが初めてだったのでドキドキしながら20円を料金箱に入れ、無断で侵入していませんよと別の意味でドキドキしながら渡りました。

ここからは怒涛の渡し跡。「矢河原の渡し跡」「半割の(南)渡し跡」「六兵衛の渡し跡」「尼谷の渡し跡」「深井新田の渡し跡」と続きます。説明文がおもしろい。
5つの柱を通過し一旦サイクリングロードを外れ、ランチのお店へと向かいます。
「あさひ散道イッチ」でお昼ご飯

あさひ散道イッチさん。テラス席がありその横にはサイクルラックもあります。
食事系やスイーツ系をひとつずつ購入。ボリューム満点で大満足です。江戸川サイクリングロードから2kmほどのところにあり、サイクリストも立ち寄ることが多いのだそう。

サイクリングロードへと戻って、ここからは脇の草に盛大に応援されつつ、ゴールまでひたすら走ります。人ひとり分の幅しかないので、譲り譲られ、すれ違うみなさん挨拶を交わしとても親切でした。怒られなかった。
ゴールの関宿城博物館へラストスパート!

ゴールの関宿城博物館まであと少し。サイクリングロードから直接ゴールの関宿城博物館まで行けますが、手前で下りて「関宿関所跡」へ。この近くには昔、棒出しという水量調節のための施設があったそうですよ。

この辺りにはあちこちに関宿城の土塁や堀、武家屋敷などがあった場所にフィールドミュージアムと書かれた説明板が立っていてめぐりながら当時を学ぶことができます。

ゴールの「関宿城博物館」に到着! スタートからちょうど70kmでした。関宿城は室町時代に築かれたとされ、現在は再現された天守閣部分あります。博物館では河川とそれにかかわる産業や、関宿城の歴史なども展示、紹介されています。
利根川から江戸川への分岐に位置し、トイレやサイクルラック、休憩所があり、どちらのサイクリングロードからもアクセスしやすいサイクリストのオアシスです。
初めての江戸サイライドということもあり新鮮で、さらに渡船場跡や史跡などサイクリングロードから離れることなくめぐることができて楽しめました!

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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