
沢田時がタイのUCIグラベルワールドシリーズで独走勝利! 泥区間でライバルを圧倒し、日本人初快挙
せいちゃん
- 2025年11月03日
11月1日、タイ・カンチャナブリで開催されたUCIグラベルワールドシリーズ「DUSTMAN」男子エリートクラスにおいて、沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)が圧巻の独走勝利を飾った。熱帯の過酷な環境下、130kmの長丁場でシクロクロスやMTBで培った卓越したバイクスキルを発揮。UCIグラベルワールドシリーズでの日本人初勝利という歴史的な快挙を成し遂げ、2026年のUCIグラベル世界選手権への出場権を獲得した。
熱帯雨林の泥区間で抜け出し、独走へ
熱帯雨林のシングルトラック、サトウキビ畑を抜ける高速区間、そして川を渡るポイントも含まれる、全長130kmの本格的なグラベルレース。スタートが切られると、序盤のグラベル区間を終えた時点で沢田を含む5名の先頭パックが形成された。メンバーには、過去にUCIプロコンチネンタルチーム所属し、同シリーズでの優勝経験もあるトビアス・コングスタッド(PASレーシング、デンマーク)やリック・ノーベル(ユニバースサイクリングチーム、オランダ)といった強豪が含まれ、序盤からハイレベルな展開となった。
レースのターニングポイントとなったのは、深い泥が続くテクニカルなセクション。ここで、マウンテンバイクXCの全日本王者である沢田が、その真骨頂を発揮する。ライバルたちがバイクコントロールに苦しむ中、卓越したテクニックで主導権を握り、一人、また一人とライバルをふるい落としていった。
最終的にコングスタッドとの一騎打ちとなったが、沢田はテクニカルな泥区間と下りでさらに差を広げ、残り約40km地点でついに単独トップに立つ。レース終盤には茨に接触してサングラスを失うアクシデントもあったが、冷静に対処。そのまま力強いペダリングで独走態勢を維持し、後続に3分以上の大差をつけてフィニッシュラインを駆け抜けた。
「それぞれの経験をミックスして走り切れた」沢田時が語る勝因

歴史的勝利を飾った沢田は、レース後に喜びを語った。「泥区間で周りより優位に走れたことが流れを変えました。シクロクロス、マウンテンバイク、ロードレースと、それぞれの経験をミックスして走り切れたレースです。まさかこのシリーズで優勝できるとは思っていなかったので、本当に嬉しいです。そして今回の勝利で、2026年UCIグラベル世界選手権の出場権を獲得することができました。応援いただいた皆様に感謝します」。
日本からは、阿部嵩之(ヴェロリアン松山)が5位、高木英行(CTジャイアントストアアッセン・NWVG)が6位に入り、過酷なレースを走り切った。
ロードレースだけでなく、シクロクロス、MTB、そしてグラベルと、あらゆるカテゴリーで日本のトップレベルを走り続けるオールラウンダー沢田時。その多様な経験が見事に結実した今回の勝利は、日本のグラベルレース界にとっても、新たな扉を開く大きな一歩となるだろう。
UCIグラベルワールドシリーズ DUSTMAN 2025 男子エリート リザルト
1位 沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン) 4時間7分51秒
2位 トビアス・コングスタッド(PASレーシング、デンマーク) +3分17秒
3位 リック・ノーベル(ユニバースサイクリングチーム、オランダ) +10分42秒
5位 阿部嵩之(ヴェロリアン松山) +27分7秒
6位 高木英行(CTジャイアントストアアッセン・NWVG) +1時間4分0秒
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 編集:バイシクルクラブ編集部 文:相原晴一朗 写真:宇都宮ブリッツェン
SHARE
PROFILE
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている



















