
飛距離は技術|飛距離アップは筋力だけじゃない 宮里優作が語るクラブの運動量と体の運動量
EVEN 編集部
- 2026年09月29日
The NEXT STAGE|新たな地平へ
変化と進化を繰り返しながら、その先に広がる“新たな地平”に挑む。
宮里優作プロのインサイドストーリー。飛距離に関する独自の見解に基づく発言は、あらゆるゴルファーの飛ばしたい欲を満たす可能性大!

クラブの運動量と体の運動量
今回のテーマは、本号の特集に合わせて飛距離。この話題の提示に当たり、JGTOが集計している各選手の部門別データから、優作のドライビングディスタンスを抜き出し、世代別の平均値を計算してみた。
20代293・24ヤード
30代286・56ヤード
40代285・09ヤード
やはり20代は300ヤードに届きそうな数値ながら、意外に感じたのは30代と40代が僅差だったこと。優作の飛距離が年齢に比例して落ちていないことがわかった。ちなみに、国内男子ツアーの平均値は280から300ヤードの間。加えて、2026年8月末時点で国内男子ツアープロのドライビングディスタンス1位は、316・30ヤードを記録している河本力だ。
「わざわざ調べてもらってありがとうございます。けれどそれ、実は参考程度に留めているんです。というのは、3番ウッドで打っている時もあれば、天候によって飛ばない日もあるので。しかし世代別の結果は自分の感覚とも合っていると思います」
いやまぁ、プロの視点が特別なのは当然だから、このデータが参考に過ぎないと判明しただけでも価値があったことにする。優作が飛距離に関して注視しているのは、それも当然のスピン量とヘッドスピード。これは後述する。
「飛距離、ある程度こだわっています。生前のジャンボ(尾崎)さんも飛ばなくなるのが一番辛いと言っていたので、劇的な変化は起きないにせよ、トレーニングを通じて常に振れる体を作っておきたいですし。しかし世界を見渡せば、PGAのトップ選手と自分では平均40ヤードの差があるんですよね。クラブの番手も変わってくるから、同じコースでも違ったゴルフになります。とにかく飛距離はあって困るものじゃない。平均であと10ヤード飛べば、毎週優勝争いできますよ」
では、スピン量とヘッドスピード。これは、自分の現状を客観的に知るため不可欠なデータだという。
「効率良く飛ばすためにこだわる数値で、僕の適正スピン量は2500〜2600rpm。これ以上だと球がドロップして飛距離が落ちます。ヘッドスピードは51〜52m/sをキープしています。年齢による低下はほぼありません。単純に遠くへ飛ばしたいならヘッドスピードを上げる他になく、それはフィジカルを軸にしたトレーニングを積むしかないのですが、飛距離は技術と僕は思っているんです。
技術には二つあって、一つはクラブの運動量。これはクラブの走らせ方そのもので、いかに脱力できる体の使い方ができるかが鍵になります。
和田正義さんという、僕の父に習った先輩プロのドラコン選手に飛ばし方を聞いたことがあるんです。するとやはり、クラブではなく体の使い方でしょと。地面反力や体重移動を含み、下半身で生み出した力を上半身に連動させることが大事。上体に力が入れば飛距離は出ません。いずれにせよインパクトの瞬間は力が入るので、それまではダラダラと脱力するのがクラブの運動量を上げる重要な課題です」
もう一つの飛距離の技術は、体の運動量。その必要性を優作が語るのは、言うまでもなくフィジカルトレーニングの継続が根拠になっている。様々な客観的数値でも年齢による低下が少ないのがその証拠であり、ベテランの域に入った本人の自信にもつながっていると思う。それとは別に、優作が実践している基本トレーニングがあるという。
「ひたすら素振り。一見地味ですが、ヘッドスピードを速くする練習になります。僕はボールを打つのと同じ回数。100球打つなら素振りも100回。ただし、体のバランスを整えるために右と左を半々。良い音が出せるよう心掛けます」
飛距離の話題になれば、道具も気になる。優作は、近年の傾向についてこんな話をした。
「ヘッドを走らせて飛距離を出すため、最近は軽いクラブを振る選手が多くなりました。それに伴ってシャフトも軽くなっているんですけれど、僕ら世代はパーシモンやメタルを経験しているので、ちょい重めを選びます。シャフトは70g。松山英樹も同じじゃないかな。スイングタイプによってチョイスが変わりますが、僕は軽めだと飛びません」
とにかく飛距離は、あって困るものじゃない
いつものことだが、優作の話は示唆に富んでいるので、この記事を読むだけであらゆるゴルファーが恩恵を授かれると思う。それを承知の上で、より飛距離を求める読者に向けたアドバイスを依頼してみた。
「意識だけで変えられるポイントを挙げるとすれば、右打ちのゴルファーなら左手の握り方ですかね。左手の指3本で握れているか。具体的には、小指、薬指、中指の順で握り込んでいきます。その3本だけでクラブを握れると、右手の力が抜けやすくなります。
グリップを掌の真ん中に置いて、全体的にパッと握っている人が多いかもしれませんが、それだと右手に力が入りやすくなって、シャフトのしなりが終わったところでインパクトの瞬間を迎えてしまいます。要するにパワーロス。クラブの運動量が稼げなくなります。
左手の指3本を意識しながら素振りしてください。重要なのは決して闇雲に振らず、フォロースルーで音を出すイメージをもつこと。インパクトのところで力が抜けている証明になるので、音の出どころを確かめながら練習すれば必ず飛ぶようになる……はずです」
Profile
1980年生まれ、沖縄県出身。
2003年にツアープロデビュー。2013年のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で初優勝を遂げる。2017年にはシーズン4勝を挙げて賞金王のタイトルを獲得。2年間の欧州ツアー(現DPワールドツアー)挑戦を経て、2020年から再び国内ツアーを主戦場にしている。
www.yusakumiyazato.com
[大和ハウス工業所属]
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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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