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アウトドア好きなわたしたちができること【#13 ナチュラグラッセ】

オーガニック植物や無農薬植物を主原料とし、植物の力を最大限に引き出す処方にこだわっているコスメブランド「 ナチュラグラッセ」。15年前からは製品の元となるハーブを自社で育てる試みをスタートし、製品に活かす研究が続けられています。八ヶ岳を望む茅ヶ岳山麓にある、ハーブを栽培している農場を訪ねました。

明野ハーブ農場

<お話を伺ったのは>

山口 浩さん

学生時代に農業を学びながらも卒業後は他業種に就職。30数年前に縁あって植物化粧品を扱うネイチャーズウェイに入社。研究開発部署や工場長を経て、農場責任者に就任。開墾から携わり、エキス研究と並行して管理している。

ハーブの成長だけではなく、環境にもいい効果をもたらしたい

ーーハーブ農場は、いつからどのような経緯で始まったのでしょうか。

山口 2009年に開墾を始めて、ハーブを植え始めたのが2010年なので、もう15年になりますね。ブランド立ち上げ時は海外から取り寄せている原材料もあり、おなじハーブでも産地が3カ国あったりして、オーガニック認定はされているものも、どこのものか、だれが育てたのかもわからない。真のオーガニックを目指すなら、自分たちの目が行き届いた自信のもてる原材料を使いたい、という思いから農場を始めました。

場所については縁があってこちらでお世話になることになったのですが、気候的にもハーブ育成に適したすばらしい場所だと思っています。

▲明野ハーブ農場がある土地は富士山、南アルプス連峰、八ヶ岳連峰に囲まれた茅ヶ岳の南西部に位置する、標高800mの丘陵地。日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きいので、過酷な環境下にも耐えうる生命力の高いハーブが育つ

ーー現在は何種類のハーブが育てられているのでしょうか。

山口 いまの季節は雑草も勢いがあってどれがハーブだかわかりにくいですよね(笑)。季節の関係もあって全部が植えられているわけではないのですが、化粧品の成分として採用している9種類と栽培テスト中の植物が10数種類。この農場での栽培に適さないハーブもありますし、栽培が安定しない種類もあるので、取捨選択が難しいんですよね。

▲農場では20種類のハーブを栽培しており、製品の原料として使われている。写真1枚目は美容成分を豊富にもつ植物として注目されている「オウゴン」。根から有効成分を抽出できる。虫も多く、 ハチもパッと見ただけで6種ほど飛び交っていた

ーー農場自体は2010年に有機JAS認証を取得して、ハーブも2012年に認定を受けています。

山口 有機栽培は使ってよい自然農薬もあるんですが、この農場ではいっさい農薬を使わずに育てると決めています。虫は見つけたら都度人の手で駆除。もちろん大変ですよ(笑)。でも農薬を使わなくなると害虫だけじゃなくて益虫も増えるんですよ。だから虫の居場所になる雑草も完全に排除するのではなく、ハーブが侵食されない程度に刈って残すようにしています。

食物連鎖ができて、私たちの手を使わずによくなったこともあるので、雑草をどこまで排除するかは試行錯誤しています。

▲取材時は「エキナセア」が満開。免疫力を高める効果があり、根から有効成分を抽出できる。種ができ始めると土の栄養が種に移ってしまうので、一部を除いて刈り取っている。刈り取った部分は土に返して栄養に

ーー農場には社員や取引先の方も訪れているそうですね。

山口 社員には全員、入社してからできるだけ早い段階で「農場研修」を受講し、土づくりや雑草抜き、ハーブ収穫体験の機会を設けています。完成した製品だと、原材料となるハーブは写真や文字でしか表現されないので、製品にどのように作用しているのかが実感しにくいんですよね。研修では収穫したハーブの加工も行なっているので、社員も自分の手で工程に触れることにって、製品に対する理解や思い入れにも変化が出るようです。

取引先や一般の方も限定イベントとしてご招待することもあるんですが、体験後に「より商品を大事に使おうと思った」「容器を切って1滴残らず使うようになりました」なんてお声を聞いたりすると感極まっちゃって。こちらの思いが伝わっていることが実感できて本当にうれしいです。触れて知るって、やっぱり大事なことだと思います。

▲役職や配属部署に関わらず、ナチュラグラッセ(ネイチャーズウェイ)では社員全員が参加必須の農場研修がある。訪れたあとは、製品への理解度と思い入れもより深まるそう。 取材時は広報担当の花沢さんも農場に出社

 

ーー農場のハーブは、日本の気候に合わせて決めているのか、化粧品として使える成分のあるものを選んでいるのか、どちらでしょうか。

山口 どちらも、ですね。まずは国産のものを探して植えてみたり、自分の興味がある、調べていて可能性があるハーブは育ててみたいと常々思っています。

でも、やみくもに育てても研究チームや営業からOKが出ないと採用にならないので、当初は既存の成分をよりよいものに置き換える提案をしていました。いまは現場ではどういった成分が求められているのかを聞き出しながら、タイミングを見て適切なハーブの提案や、有効性がありそうな成分をもつハーブが使えないかの提案もしています。

自然環境に柔軟に対応。愛され続ける製品を生み出す

ーー精油は大量のハーブから抽出するイメージですが、化粧品に使う有効成分はどのように採取しているのでしょうか。

山口 ハーブエキスの抽出方法はいろいろありまして、ナチュラグラッセではさとうきび由来の抽出液に浸漬する方法が主流です。浸漬法は有効成分をじんわり抽出できるのと、水溶性だけでなく油溶性の成分も抽出できる「いいとこどり」のメリットがあります。

またハーブはいろいろな成分が混ざっているので、有効成分のなかには少しクセがある成分もあり(野菜でたとえるとアクやえぐみのイメージ)、ユーザーの体調が悪いときにそのクセの成分に反応してしまうと、化粧品としての効果が正常に作用しないこともあります。開発部では、テストや濃度調整などをして、肌への作用のバランスを取り、製品のクオリティを維持してくれています。

▲製品のクオリティを一定に保つため、つねに成分チェックを行なう。製造の現場でも多くの工程は人の手で行なわれている。ハーブによって活用する部位は異なるが、植物油やアルコールに浸けて有効成分を抽出、製品に配合

ーー製品のクオリティを保つための苦労はどういうところでしょうか。

山口 オーガニックコスメは自然由来なので、おなじ材料とマニュアルで作っても、環境によって仕上がりが微妙に違ってしまうところです。

昔、私がイギリス研修で習ってきたことを日本でやってもおなじような仕上がりにならず苦労しました。トライアンドエラー後にわかったのは、おなじ材料でもイギリスと日本の気候の違いで、製造工程のタイミングが異なっていたんです。ただ原材料のほとんどを国産にしても、いつもおなじように作れるわけではありません。季節や天候によって成分の抽出倍率や配合量を変えたりなど、現場での微調整は日々あります。その調整具合もマニュアル化できるものではないのが、オーガニックならではの難しさであり、おもしろさでもありますね。

ーーこの先、たとえば3年先、5年先と、農場をどのようにしていきたいかイメージはありますか。

山口 植物は私たちが種を蒔いたところから移動ができないので、植物にとってこの場をいい状態に整えていくこと、その延長線上の生物環境もコントロールし、活発化させるのが日々の課題ですね。それが実現すれば、もっとスケールの大きい環境にも貢献できると考えています。

また、ひとりでも多くの人が製品をとおして、おなじように自然環境に思いを馳せたりなにかを感じてもらえたらうれしいですね。

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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