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ロサンゼルス五輪、日本の自転車出場枠はトラック・BMXはメダル射程、ロード・MTBは大陸枠が生命線に

国際自転車競技連合(UCI)は12月10日、2028年ロサンゼルス五輪(LA28)における自転車競技の予選システムと出場枠を発表した。パリ2024大会の方針を継承し、全種目でジェンダーパリティ(男女同数)が採用される一方、ロードやMTBでは国別ランキングによるボーダーラインが厳格に設定された。

LA28は2028年7月14日から30日にかけて、ロサンゼルス周辺で開催されるが、その開催に向けて2026年から始まる本格的な選考期間を前に、2025年12月時点での日本代表の現在地と、LA28に向けた「枠取り」の展望を解説する。

トラック:短距離は「世界2位」の衝撃、中長距離は“9位”からの脱出が至上命題

日本のトラック競技での活躍を説明する日本自転車競技連盟ハイパフォーマンスディレクター(HPD)の三瓶将廣氏

トラック競技(計190名)の出場枠は、2026年から2028年の成績に基づく「UCIトラック・オリンピックランキング」で決定される。ここで鍵となるのは、上位種目の枠を獲得すれば下位種目の出場権も自動付与される「カスケード(連動)方式」だ。

【短距離】男子は世界ランク2位、女子も6位で「3名枠」確保へ視界良好

チリのサンティアゴでの2025 Tissot UCIトラック世界選手権、女子ケイリンで2連覇した佐藤水菜 PHOTO:日本自転車競技連盟

日本のお家芸となりつつある短距離種目は、チームスプリントで「ランキング上位8カ国」に入ることが絶対条件となる。ここに入れば3名の選手枠に加え、スプリントとケイリンへの各2名の出場権が自動的に確約されるからだ。

現状、日本男子チームスプリントは世界ランキング2位。絶対王者オランダを脅かす位置につけており、枠獲得は通過点、本番での金メダル争いが現実的な目標となっている。太田海也(2024世界選スプリント3位)、中野慎詞(2023世界選ケイリン3位)らを擁する布陣は盤石だ。

また、佐藤水菜(ケイリン世界選手権2連覇)を擁する女子チームスプリントもランク6位につけており、このまま推移すれば男女ともに「フルエントリー(3名+個人種目)」の権利を手にすることができる。

【中長距離】男女とも「ランク9位」の危機、チームパシュート出場権の「8枠」を巡る攻防

アジア選手権女子エリート個人パシュート優勝した垣田真穂 PHOTO:日本自転車競技連盟

一方、正念場を迎えているのが中長距離だ。花形種目であるチームパシュートの出場枠は「上位8カ国」のみ。ここに入れば4名の選手枠と、マディソン・オムニアムへの出場権がセットで手に入る。

しかし現在、日本のランキングは男子9位、女子9位

あと一つ順位を上げなければ、4名で走るチームパシュートの出場権を逃してしまう危機的状況にある。もしチームパシュートを逃した場合、マディソン(チームパシュート枠外の上位6カ国)やオムニアム(マディソン枠外の上位13カ国)での単独出場を狙うことになるが、選手派遣数は大幅に減ってしまう。

HPCJCとチームブリヂストンサイクリングの連携強化が進み、女子では内野艶和、垣田真穂、池田瑞紀ら若手の成長が著しい。アジア選手権では事務手続き上のミスによる男子の降格(2位)があったものの実力は圧倒的だ。ワールドカップや世界選で確実に順位を上げ、「トップ8」の壁を破ることがLA28への至上命題となる。

BMXフリースタイル:中村輪夢&小澤美晴、OQSでの「個人枠」獲りへ

UCI BMXフリースタイル・パーク ワールドカップ最終戦。男子エリートで6位となった中村輪夢 PHOTO:IBARAKI SAKAI Urban Sports Fes.

BMXフリースタイル・パーク(男女各12名)は、国ではなく「選手個人」に枠が与えられるのが特徴だ。2028年前半の「オリンピック・予選シリーズ(OQS)」上位6名に入ることが最短ルートとなる。

男子エース・中村輪夢はUCIランク2位、W杯総合3位と安定しており、OQSでの枠獲得は堅い。また、男子の小澤楓もランク20位、W杯総合15位と成長を見せている。

そして女子は、小澤美晴がUCIランク1位・W杯総合優勝と世界を席巻中。吉田実央(ランク5位)と共に、男女アベックでのメダル獲得に向け、まずはOQSで確実に上位6名に入ることが求められる。

ロード:男子は「1枠」堅守、女子はランク51位からの巻き返しが必要

PHOTO:TCA

ロードレース(男女各90名)は、2027年10月19日時点の国別ランキングで決まる。1枠以上を得るには「45位以内」が必要だ。

男子:ランク33位、ベテランと若手の融合で枠死守へ

男子は現在33位。1枠の確保(21位〜45位)は射程圏内だ。2025年シーズンを終えてなおトップスコアラーである新城幸也(265.33pts)の驚異的なタフネスに加え、小石祐馬(179.33pts)やU23アジア王者・鎌田晃輝(173.33pts)らのポイント加算により現状、最低ラインはクリアしている。しかし、複数枠が得られる20位以内への壁は厚い。

女子:ランク51位、トラック組の奮闘頼み

深刻なのは女子(ランク51位)。與那嶺恵理の引退後、ワールドツアー選手不在の影響は大きく、45位以内のボーダーラインを割っている。現状は内野艶和(151.33pts)や垣田真穂(108.33pts)らトラック選手がロードでもポイントを稼いでいるが、このままではランキングによる出場枠はゼロとなる可能性が高い。

ランキングでの挽回が難しい場合、2027年のアジア選手権で上位2カ国に入り、「大陸枠(1名)」を確保する戦略が現実的かつ重要になってくる。

MTB・BMXレーシング:「大陸王者」への道が生命線

マレーシアのプトラジャヤで開催されたアジア選手権。この大会では、クロスカントリー・オリンピック(XCO)XCO 男子アンダー23で優勝した 副島 達海    PHOTO:上田尚徳

MTB:ランキングでの獲得は絶望的、アジア選手権に全てを懸ける

MTB(男女各36名)は、ランキングで「上位19カ国」に入らなければならない。現在、日本は男子30位(北林力 個人114位)、女子27位(川口うらら 個人94位)と大きく水をあけられている。

パリ大会同様、ランキングでの獲得は非現実的であり、2027年の大陸選手権(アジア選手権)での「優勝(または上位国除外後の最上位)」による大陸枠1名の獲得が、唯一の突破口となるだろう。

BMXレーシング:女子はランク枠の境界線

BMXレーシング(男女各24名)は「上位10カ国」に枠が与えられる。女子は現在ランク10位(畠山紗英ら)と、まさに出場権獲得の崖っぷちに踏みとどまっている。9位以上に浮上し枠を安泰にさせたい。

男子はランク17位のため、ランキングでの獲得は厳しい。MTB同様、大陸選手権での優勝(1枠)がLA行きへの必須条件となる。

LA28 自転車競技 出場枠獲得システム概要

ここでは参考までに各競技の出場枠獲得システムをまとめた。

トラック競技(男女各95名)

2026〜2028年のUCIオリンピックランキングで決定。

  • チームスプリント(TS): 上位8カ国(3名)。獲得国はスプリント・ケイリンに各2名出場可。
  • スプリント・ケイリン: TS枠外の上位7カ国(最大2名)。
  • チームパシュート(TP): 上位8カ国(4名)。獲得国はマディソン(1チーム)・オムニアム(1名)出場可。
  • マディソン: TP枠外の上位5カ国(2名)。獲得国はオムニアム出場可。
  • オムニアム: 上記枠外の上位7カ国(1名)。

ロードレース(男女各90名)

2027年10月19日時点のUCI国別ランキングで決定。

  • 1〜5位:4名
  • 6〜10位:3名
  • 11〜20位:2名
  • 21〜45位:1名
  • 大陸枠: 46位以下の場合、2027年世界選手権(上位2カ国)や大陸選手権(上位2カ国)で最大1枠を救済。

MTB(男女各36名)

2028年5月30日時点のランキングで決定。

  • 1〜8位:2名
  • 9〜19位:1名
  • 大陸枠: 19位以下の場合、大陸選手権の最上位国に1枠。

BMXレーシング(男女各24名)

2028年5月30日時点のランキングで決定。

  • 1〜2位:3名
  • 3〜5位:2名
  • 6〜10位:1名
  • 大陸枠: 10位以下の場合、大陸選手権、世界選手権の上位国に枠を付与。

BMXフリースタイル(男女各12名)

  • OQS枠(6名): オリンピック予選シリーズ(OQS)の個人ランキング上位6名。
  • 世界選手権枠: 2026/2027年世界選手権の上位国(OQS枠未獲得国)に配分。

LA28 自転車競技 実施日程・会場概要

LA28における自転車競技は、ロード、トラック、MTB、BMXレーシング、BMXフリースタイルの5種目が実施される。大会期間中の2028年7月14日から30日にかけて、ロサンゼルス周辺の複数会場で開催予定だ。

トラック競技

大会終盤の最終週に実施されるトラック競技は、2004年に建設された「カーソン・ベロドローム(Carson Velodrome)」で行われる。シベリア松を使用した全長250mの木製バンクを持つこの施設は、2005年の世界選手権をはじめ数々の国際大会を開催し、現在はアメリカナショナルチームのトレーニング拠点としても知られている。かつてロサンゼルス1984五輪で使用された旧ベロドローム(現在は解体)の近くに位置し、五輪のレガシーを受け継ぐ聖地だ。

  • 日程:2028年7月25日(火)~30日(日)
  • 会場:カーソン・ベロドローム(カーソン)

ロードレース

ロードレースのスタート地点には、ロサンゼルス西部の太平洋沿岸に位置し、LAカルチャーを象徴する観光地の一つである「ベニスビーチ(Venice Beach)」が選ばれた。海岸沿いの象徴的なロケーションを生かしたコース設定が期待される。なお、フィニッシュ地点やコース詳細、個人タイムトライアル(TT)のルートについては後日発表される予定だ。

  • 日程:2028年7月19日(水)~23日(日)
  • 会場:ベニスビーチ(スタート)
  • 備考:個人タイムトライアル(TT)および詳細ルートは後日発表予定

マウンテンバイク(MTB)

MTB競技は、ロサンゼルス郡シティ・オブ・インダストリー地区にある「インダストリー・ヒルズMTBコース」で実施される。パシフィック・パームス・リゾートに隣接し、自然の起伏や丘陵地形を最大限に生かしたレイアウトとなる。コースは広範なエリア整備計画の一環として建設され、大会終了後も2028年大会のレガシーとして残される予定だ。

  • 日程:2028年7月17日(月)・18日(火)
  • 会場:インダストリー・ヒルズ・パーク(シティ・オブ・インダストリー)

BMXレーシング / フリースタイル

BMXの2種目は、ロサンゼルス北部の「セプルベダ・ベイスン・リクリエーション・エリア(Sepulveda Basin Recreation Area)」内に設けられる「バレー・コンプレックス(Valley Complex)」で開催される。ここはサンタモニカ山脈とエンジェルス国有林に挟まれた渓谷に位置し、大都市LAの中にありながら豊かな自然が残るエリアだ。南カリフォルニアで生まれたBMXというスポーツが、そのルーツに近い場所で新たな歴史を刻むことになる。

BMXレーシング

  • 日程:2028年7月15日(土)・16日(日)
  • 会場:バレー・コンプレックス(会場4)

BMXフリースタイル

  • 日程:2028年7月28日(土)・29日(日)
  • 会場:バレー・コンプレックス(会場1)

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PROFILE

せいちゃん

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稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている

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