
まんが家夏福の「フェリーで行く、千葉・館山サイクリング」|夏福ゆるポタエッセイ vol.21
Bicycle Club編集部
- 2025年12月27日
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連載「まんが家・夏福のゆるポタコミックエッセイ」今回は千葉・房総エリアへ、アクセスは神奈川県横須賀からフェリーで千葉県の金谷港を訪れました。
フェリーで行く南房総
今回は千葉県の南部をゆるポタ! 冬の間も雪の少ない温暖な気候で自然も多く、そして熊が生息していないとされていて、サイクリングには最高ではありませんか。
走るのは千葉県ですがスタート地は神奈川県横須賀市です。フェリーに乗って海を渡ります。茨城県民の私が隣接する千葉県へ行くのになぜフェリーを使って? となりますよね。もちろん陸路でも可能ですが、千葉の南部へ行くには電車の乗り継ぎが4~5回となかなかハードルが高く、毎回輪行で異常に緊張する心配性の私としてはちょっと避けたいルートなのです。輪行が苦手なくせに遠方へと行きたがる厄介なやつですね。ところが、東京を挟んで神奈川まで行ってしまえば電車の乗り換えは一回だけ。そこからはフェリーで渡れるというじゃありませんか。これなら行けそうだと決定。あと、シンプルにフェリーに乗りたい。
まずは電車輪行です。ロードバイクよりもコンパクトになる小径車を購入してから輪行のハードルが少し下ったので、今回も小径車で行くことにしました。乗り換えは一回だけとはいえ、ターミナル駅なので不安に思っていたのが的中。同じホームに羽田空港行きの電車も乗り入れているため想像以上の大混雑。人でごった返す中を輪行袋を抱えての移動は難しく、これは乗り換えができないかも…と呆然としていたら、羽田空港行きの電車が先発だったため、発車後は先ほどの混雑が嘘のように解消し、無事予定していた電車に乗り継ぐことができました。とはいえ、私が乗った京急久里浜線もこの時はまぁまぁの乗車率だったので、ロードバイクのサイズだと置き場所にちょっと困ったかもしれません。
東京湾フェリー久里浜港の最寄り、京急久里浜駅からは一旦輪行を解除して、約2km離れたフェリー港へと向かいます。
久里浜港に到着。今回は、何度もフェリーを使って千葉へと走りに行っている方にご同行いただくので、こちらで待ち合わせをしました。


やって来たのは「しらはま丸」。ペリー来航170周年を記念して黒船をイメージした塗装なんだそう。この航路では他に白い船体のかなや丸も航行しています。神奈川県の久里浜港から千葉県の金谷港まで約40分、11.5kmを結んでいます。
料金は、自転車を畳まず持ち込む場合は特殊手荷物料金で片道1,850円(往復3,350円)ですが、輪行袋に入れて持ち込む場合は通常の乗船料、片道1,100円(往復2,000円)で乗ることができます(最新の金額は公式料金表をご確認ください)。もちろん私は先ほど輪行解除したばかりの自転車をささっと畳んで乗り込みますよ。小径車は輪行作業が簡単なところもストレスが少なくていいですね。フェリー港には何人ものサイクリストがいましたが、そのほとんどが自転車を畳まず乗船し、その姿を「リッチだ…」と思いながら眺めていました。なるべく荷物を減らしたい、着いてすぐ出発したいサイクリストには畳まずに乗れるのはありがたいですよね。

自転車を大型荷物置き場に置いて、まずは船内探検。普段、船に乗ることがあまりないのでワクワクです。同行者は慣れているのではしゃぐ私を温かく見守ってくれていました。

出航すぐに海上に立つ灯台を発見。海獺島(あしかじま)灯台と言うそうで、名前の由来は昔ニホンアシカが生息していたということから。隣の島にはかつて波や風の観測を行う施設が立っていたんだそうです。

この日はあいにくの曇り空でしたが、富士山が見えました。
ひとしきりはしゃいだ後は腹ごしらえ。船内の売店には、黒船フランクフルトや黒船くじらコロッケといった気になるホットスナックが販売されていてどれにしようか迷いましたが、黒船くじらコロッケとよこすか海軍カレーパンをチョイス。それと、御船印も購入しました。「しらはま丸」と「かなや丸」の2種類があり、それぞれの船内売店で販売されています。
道の駅保田小学校ではピーナッツずくしのおみやげ!
食べたり話しているうちに、あっという間に金谷港へと到着。始発で家を出て数時間輪行し、フェリーでははしゃぎすぎたのと食後なのもあって、すでに若干疲れが出ている私はすっかり「今日はこれにて終了です」モードになっていましたが「早いですよ」と同行者に突っ込まれ輪行を解除しました。ここでの時刻が10時半。やや遅めのスタートです。始発で家を出たというのに…。
金谷港からは国道127号を南下し、房総半島の最南端、野島埼灯台をゴールとして予定しています。まずは約5.6km走り、道の駅保田小学校へ。国道127号から小学校までの道は狭く、交通量も多いので注意が必要です。

廃校した小学校をリノベーションした道の駅で、教室に泊まれる宿泊施設や直売所として生まれ変わった体育館、給食が食べられる食堂などがあり、敷地内には机や椅子、表彰台といった楽しいフォトスポットがありますよ。

普段自分の写真はほとんど撮らないのですが、せっかくなのでノリノリで写真を撮ってもらいました。良い記念です。
直売所では、千葉県の名物ピーナッツ味噌と最中のお菓子を購入。千葉県の小学校ではピーナッツ味噌が給食の人気メニューなんだそう。ご飯のお供として食べるイメージがあったのですが「そのまま食べても美味しいですよ」と同行者。実際に食べてみるとカリカリ香ばしいナッツとねっとりとした甘じょっぱい味噌が和風キャラメルといった感じで美味しい。購入した小分けタイプのものならライド中のおやつにもいいかもしれません。

再び館山方面へと国道127号を南下します。この道は交通量が多くトンネルもたくさんあり、なかなか気が休まりません。

館山に近づくにつれ、道にはヤシの木が立ち並びはじめました。晴れていたら青空に映えて素敵だろうなぁ。グレーの空の下ワッシワッシと揺れています。そうなんです、風が強いんです。というのも、東京湾フェリーは出航数の多いAダイヤと少ないBダイヤがあり、出航数が多い日でないと日帰りは厳しいため、やや天候が悪く風も強いと予報で出ていたものの、フェリーとスケジュールの都合上この日しかないと決行。案の定サイクリストあるあるの向かい風の中を進むことになってしまいました。また、地味に坂もあり、じわじわと時間が押して行くなか、後ろをロードバイクで付いてきてくれている同行者に応援されながら頑張ります。
あこがれの木村ピーナッツでピーナッツソフト


海の目の前にお店を構えるとまや食堂に到着です。新鮮な地魚料理がいただける人気店で、マンションの一階に入っているお店は新しい雰囲気ですが、嘉永元年創業で現在のご主人は六代目という老舗です。この日はタイミングよくすぐに座れましたが、あっという間に満席になっていました。
こちらでいただくのは「さしみさんが定食」。さんが焼きとは千葉県の郷土料理で、アジなどの魚を味噌や薬味と混ぜ合わせ叩いたなめろうを焼いたものです。こちらのさんが焼きは自分で焼くスタイルなのですが、レアでもしっかり焼いても自分の好みでOKとのこと。レアでも!? と一瞬驚きましたが、そもそもが生でいただける新鮮ななめろうですもんね。焼きたて熱々のさんが焼きは、ふわっと柔らかくジューシーで薬味の香りも良く、魚の旨味が凝縮して美味しい! お刺身もプリプリで大満足。女将さんが焼き方やお刺身の説明などしてくださったのですが、気さくで明るくトークが面白いので楽しく食事ができました。

食後はデザートですよね。とまや食堂から約3kmほど街中を走り、到着したのは木村ピーナッツ。ゆるポタエッセイvol.16の手賀沼サイクリングで立ち寄った、道の駅しょうなんで食べたピーナッツソフトクリームの本店です。ずっと来たかったあのお店なんです…!大人気のお店なので駐車場も店内外もお客さんでいっぱいでしたが、サイクルラックが何台もあり、すぐ横にはテーブルやベンチがあるので安心していただくことができましたよ。念願の本店ということで、一番豪華なプレミアムパフェを注文しました。やはり濃厚で美味しい。
さて、ここでソフトクリームを食べながら作戦会議です。国道127号を南下しながら薄々感じてはいたんですが、時間が押しており予定を完遂するのは厳しいのではということ。これは完全に私の考えが甘かったのですが、金谷港からゴールとなる野島埼灯台までは片道約45km、そこから最寄の駅の館山駅まで折り返して約20km。合計で65kmほどとこれまで小径車で走ったことのある距離ですし、峠のような坂でなければ問題なく走れるのでなんとか行けるだろうとルートを引いていたんですが、この調子だと灯台まで行けたとしても帰りには日が落ちてしまいます。また風も強く、想定した走行速度で走れるかも怪しい…。できれば灯台まで走りきって、そこに設置されている房総半島最南端の碑を拝みたかったのですが、ここは安全を取り諦めることにしました。残念。出発の遅さや天候、小径車でのお出かけの経験がまだ浅く予測が外れてしまうことなど色々重なってしまいました。この感覚、なんだかロードバイクに乗りたての頃を思い出します。
灯台までは諦めましたが、その途中、ここから約2.7kmほどのところに見ておきたい場所があるので、そこまでは行ってみることにしました。
真倉の切割(現)とはなんぞや?

国道410号にある「真倉の切割(現)」。ものすごい高さです。
ちなみに「


走ることにいっぱいいっぱいで記念写真を撮っていなかったことに気づき、この頃にはすっかり強風に変わり潮風が吹き付ける中、海岸で記念撮影。その後は館山駅から浜金谷駅まで輪行し、金谷港から無事帰りのフ

帰りのフェリーは波が出て立っているには踏ん張っているか、どこかに捕まっていないと危ないくらい揺れ、こんなに揺れるのは初めてだと船酔いで潰れる同行者。夜景ではしゃぐ私。予定は完遂できませんでしたが貴重な体験ができて楽しい1日となりました。
今回たどり着けなかった野島埼灯台にもまたチャレンジしたいですし、電車移動の感触も確認できたので今度はロードバイクを輪行して房総半島の内陸側も走ってみたいです。

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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