
アマチュアゴルファーを熱狂させる「LINK CUP」の仕掛け人|人気YouTuber・宗光徹の熱量と美学
EVEN 編集部
- 2026年08月29日
人気YouTubeチャンネルの運営にアマチュア大会のプロデューサー、アマチュアゴルフ界に革命をもたらしつつある宗光徹氏とはいかなる人物か。大会運営で全国へ飛び回る彼を北海道で直撃した。
「Toru Golf TV 社会人ゴルファーの挑戦【宗光 徹】」とは

登録者数30万人超えの人気ゴルフYouTubeチャンネル。国体出場経験を持つ元ボクサーというアスリートとしての知見をいかし、ゴルフ未経験者でもわかりやすい練習方法や最速で上達するノウハウの配信、地元九州のゴルフ仲間から、プロを目指す女子選手、男子プロまで、多彩なゲストプレーヤーを迎えたラウンド動画が注目を集めている。

熱狂を生み出す異端のユーチューバー
ゴルフ界に突如現れ熱狂を生み出している男がいる。YouTube登録者数30万人を誇る「Toru Golf TV」主宰の宗光徹だ。自身が手掛ける競技ツアー「LINK CUP」には全国から三千人を超える参戦者が殺到する。一介のアマチュアがなぜこれほどの成功を成し遂げているのか。その異色の経歴と自己プロデュース力を知れば、現在の活躍が必然であると理解できる。
宗光のルーツはボクシングにある。高校時代に九州王者となり、推薦で明治大学へ進学。海外へ武者修行に旅立つほど没頭した。「二歳下に井上尚弥選手がいて、同世代を圧倒していく現実を見せつけられた。骨折などの怪我や記憶が飛ぶ体験もあり、競技の怖さを感じてプロの道は断念した」。すべてを捧げた競技を離れ、人生のリベンジに選んだのは新聞の飛び込み営業だった。「アポなし訪問で断られるのが当たり前の中、いかに話を聞いてもらうか。営業力の下地が培われた」。すぐに頭角を現して代理店まで興したが、人材育成と経営の厳しさから心身の体調を崩し入院。退院後は熊本震災の復興電気工事などを経て、光回線事業の会社を立ち上げ起業を果たした。
そんな彼がゴルフと出会ったのは、コロナ禍の2020年だった。「緊急事態宣言で仕事もできずゴルフを始めたが、全く熱中できなかった。プロを目指すわけでもないのに上手くなっても仕方ないと感じました」。そんな宗光の背中を押したのが、九十歳を超える祖父の言葉だった。「お前は三十代。青春真っ只中じゃないか」。この一言が勝負にすべてを捧げた男の熱狂を呼び覚ました。
「どうせやるなら極める」と一念発起、毎日の練習とスイングの記録をインスタグラムへ連日投稿し始めた。「当初からゴルフの上達とSNSは全く別物として切り離して考えた」。そう語る宗光の脳内は極めてロジカル。SNSではゴルフが上手い人が必ずしも伸ばせるわけではない。SNSには独自の伸ばし方がある。彼は人気投稿の撮影アングル、投稿時間、フォントまで徹底的に分析し、真似ることから始めた。感じたことをノートに記録し課題を可視化する習慣は、選手や営業時代に培われたものだ。
投稿は注目を集め、フォロワーの勧めでYouTubeも開設。チャンネル名に自身の名前を冠し、単なるレッスン動画ではなくゲストを招く「番組」スタイルを選択した。ネタ切れを防ぎつつショート動画でのバズから本編へ流し込む導線は狙い通りの結果を招き、瞬く間に注目のゴルフYouTuberとなった。

大会運営スタッフはSNSで募集して現地で確保。かつて孤高のボクサーだった彼の新たな夢はゴルフを通じた縁で紡がれている。
さらに宗光の情熱は、自ら大会を主催する「LINK CUP」へと結実する。きっかけは自身が出場したダブルス戦だった。「一人での競技はピリピリと孤独だが、ペア戦ならバーディでハイタッチし悔しさも共有できる。感情をむき出しにして戦う楽しさがある」。一方で、競技ゴルフ界の「古い慣習」への不満も抱いた。FAXでの応募、現金払い、組み合わせの郵送、そして高額な会員権を買わなければ試合に出られない壁。「もっと気軽に、誰もが本気になれる試合を作りたい」。そう考えた宗光は、アマチュア規定の改定(十万円までの賞金授与が可能)を好機と捉え、日本一のペア戦を開催すると決意。かつて出場した大会運営代表の元へ直接出向き、熱意で口説き落として監修を取りつけた。
「LINK CUP」の成功は、徹底された計算の賜物なのだ。賞金額の設定や、実力に応じた「A」「B」クラス分けの導入により、初心者やアベレージゴルファーにも同レベルのライバルと競い合える競技を解放。「上位陣がいつも同じ」という不公平感をなくし、誰もが主人公になれる仕組みを整えた。さらに、大会売上の一部を、資金難に苦しむ女子プロテスト挑戦者のためのチャリティ大会に還元する仕組みも構築。大人が本気で遊び、それが明日のゴルフ界を育てるエコシステムまで創出した。
誰もが主人公になれる場所へ

祖父の言葉が内に秘めたスポーツへの情熱を呼び覚ました。
「大会を機に会員権を買い、レッスンに通い始めてゴルフが楽しくなった。そんな参加者の声を聞くのが嬉しい」。全国の大会会場に自ら足を運び、身を削って運営に奔走する熱意が参加者同士の距離も縮めていく。「LINK」の名が示すのはペアだけではない。ゴルフを通じて大人が本気の「青春」を共有し繋がること。宗光が仕掛ける熱狂はアマチュアゴルフの未来図を塗り替えそうだ。
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EVEN 編集部
スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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