
高山にはめずらしい、ゆるふわ美人キャラ「シナノキンバイ」│植物ライター・成清 陽のヤマノハナ手帖 #60
成清 陽
- 2026年10月14日
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登山&撮影をライフワークとする花ライターがお送りする、高山植物の偏愛記。静かに、しかしアツ〜く、お花をご紹介します!
ゆっくりと秋に向かっている…はずなのに、いつまでも多湿が抜けない、今日この頃。岐阜では、カキもクリも少々低調気味、なんだか秋らしさがない!! 思わずそんなふうに叫びたくなってしまいます。さて、そんな現実に逃避したくなるタイミングにこそ振り返りたくなる、夏山の花。ぜひぜひ、あのステキ系女子のチカラを借りて、明るい気分になっちゃいましょう!
「山ガール」?「森ガール」?

ちょうどランドネの創刊にあたるころに流行り始めた、山ガール。その少し前に流行っていた「森ガール」って、覚えてます? ゆるふわナチュラル系のファッションに身を包んだ女子たちのことを森ガールと定義するなら、ゆるふわナチュラルな高山植物がこちら。夏の山を彩るシナノキンバイさんは、大型で明るく、ふわりとした印象のキャラクター。山の住人だけど森ガール、ギャップ萌えというほかありません!
Data
- シナノキンバイ(キンポウゲ科)
- 一般的な花期:7月〜8月
- 主な生育場所:亜高山の草原
森ガールのヒミツは、生息地

高山は、紫外線がきつい&表土が薄い&冬は雪崩と強風にさらされる、などキビシイ条件がオンパレード。こうした場所では、体育会系マッチョなお花がいそう…と思いますよね。なのに、なのに、こんなに華やかなお花がいるのはナゼ!?…じつは、彼女たちが大群落をつくるところは、雪崩や強風がきつい環境の下部にできた、バリアゾーン。山中にこうした安全地帯があってこそ、ゆるふわ美人がお出迎えしてくれるんです!
花のつくりにひとネタあり!

さて、めずらしく本連載で褒めちぎっておりますが、シナキンさんに強いてツッコむならば、「花びらに見えるのは花じゃない!」ということくらい。ただコレ、植物あるあるなんですが、ガクが花びらに見えるというわけです。ただ、シナキンさんのこの小ネタがより面白いポイントは、本物の花びらが、中心部にごっそり固まった、“お線香”状のものだということ。思わず、頭のなかにあの音(チーン…)が鳴り響きます。
ニリンソウかよっ?

さて、完全無欠のシナキンさんに、思わずツッコミを諦めたくなる筆者ですが…(そもそも、ツッコむ必要があるかどうかは、さておき)。写真を眺めているうちに、ひとつあった! それは、「ニリンソウみたいなヤツがいるじゃん!」という点です。そう、春に花を咲かせるニリンソウのごとく、たま〜に、ひと株からふたつの花を咲かせるパターンがあるんです。もしこのニリンソウモードでめっちゃ群落になったら、絶景間違いなし!って、ツッコむつもりが、また褒めちぎってしまった…。
きれいな花には…

「いい女には虫がつく」。そんな言い回しがありますが、シナキンさんもご多分に漏れません。決して強い芳香があるわけではないんですが、その色香(!?)は健在。そしてこれが、ときに多くの虫を惹きつけます。とくにハエは低温でも活動できるので、受粉したい彼女にとっては、強い味方。「ただ、やっぱハエってなんだかね…」って、ツッコミどころをやっと発見! ですが、ときすでに遅し。今回はゆるふわ美人に、完敗です〜!
さてさて、今回ご紹介してきたシナノキンバイ。いかがでしたでしょうか? とくに南アルプスでは大群落に出会うことができる、このお花。じつはいま、ニホンジカの脅威にさらされており、数を減らしています。美人なだけでなく、きっとオイシイのでしょう…。将来的に大きな花畑が、そしてみんな大好き、森ガールが消えないように、願わずにはいられません。山で見かけたらぜひ、その端正な姿を愛でてくださいね。
それでは、また。
皆様のココロに、素敵な花が咲き誇りますように。
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