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乗鞍ヒルクライム40回大会 田中裕士が前人未到の乗鞍53分台で初制覇

8月31日(日)、長野県松本市乗鞍高原で「第40回乗鞍ヒルクライム」が開催された。1986年に誕生したヒルクライムレースの草分け的な同大会、今年で節目となる40回大会を迎えた。注目のチャンピオンクラスを制したのはベテラン田中裕士(KIZUNA Cycling Team)。また一般女子は2022、23年の勝者 佐野歩(Infinity Style)が産後8カ月で2年ぶり3度目の優勝を飾った。今大会には3654名がエントリーし、それぞれの目標に向けて乗鞍を駆け上がった。

乗鞍ヒルクライムに参加し続けて20年目になるスポーツジャーナリストのハシケンが、乗鞍ヒルクライムの歴史を紹介しながら、今大会をレポートする。

470名が参加し歴史ははじまった

北アルプスの南端、中部山岳国立公園に位置する標高3026mの乗鞍岳で開催されるヒルクライムレースの祭典「乗鞍ヒルクライム」。その歴史は1986年にまで遡る。「乗鞍ハイランドサイクリングフェスティバル」として乗鞍高原を舞台に初開催された第1回大会には470名が参加。当時はヒルクライムレース以外の種目も実施され、18kmのコースで開催された登りレースには353人が挑戦した記録が残っている。その後、距離が岐阜県境まで延伸され現在のコースへ。標高2700mまで一気に駆け上がる絶景コースとその達成感が人気を呼び、数年後には3000人規模の大会へ。この日本のヒルクライムレースの草分けは、今年節目の40回大会を迎えた。

過去のチャンピオンには大原満氏、日本の山岳王としてプロを舞台に活躍した狩野智也氏、ビンセント・フラナガン(元オーストラリアXCチャンピオン)など名選手が頂点を極めた。なかでも、Mr.乗鞍こと村山利男氏、山の神こと森本誠氏の両名は過去最多の8勝を挙げている。そのほかにも、筧五郎、中村俊介、金子宗平などがアマチュアクライマー日本一の称号を掴んできた。

山岳王を決める1年に一度の大勝負

歴史を重ねて40回目。今大会も10代の中学生から80代まで、老若男女3654人がエントリー。全13クラスに分かれてスタート地点の乗鞍観光センター前から、ゴール地点の長野と岐阜の県境までの全長20.5km、平均勾配6.1%の乗鞍エコーラインを駆け上がった。

乗鞍に挑みし3000人超のヒルクライマーたちの先陣を切ってスタートを切ったチャンピオンクラス。そこに名を連ねる150名ほどの選手たちは、各地のヒルクライムレースで輝かしい戦績を上げている国内トップクライマーばかりだ。その中で勝つことは最大の栄誉であり、誰もが認めるヒルクライムの王者。「ここで勝てば、1年間ヒルクライムの真のチャンピオンと言っても、誰も文句は言わない」とは、長年チャンピオンクラスに挑み続けるとある選手の言葉だが、全てのクライマーたちを代弁している。

高速レースを制した田中が悲願成就

今年のチャンピオンクラスは序盤から活性化した。森本誠、玉村喬ら有力選手が飛び出すと集団も容認せず、7km地点の三本滝手前までに吸収。その後もハイスピードでレースは進み中盤を前にすでに集団は20数名にまで絞られた。レースが決定的に動いたのは、15km地点、位ヶ原山荘を過ぎたあと。積極的な走りが信条の玉村が仕掛けると、ラスト4kmの急勾配区間でカウンターで田中裕士がアタックし一人で抜け出す。それについていけるライバルは誰一人としていなかった。田中のタイムは53分46秒のコースレコード。絶景のヴィクトリーロードを独り占めして悲願の初優勝を成し遂げた。

戦友たちとの勝負を制して安堵の初優勝

毎年優勝候補に挙げられていた田中。乗鞍11年目の挑戦で念願のアマチュアヒルクライマーの頂点を掴んだ。

「何年もチャレンジしてきたので、初優勝は嬉しさよりも安堵感ですね。本当に勝ててよかったです。コンディションは、8月入る頃には57kgほどのベスト体重まで持ってこれたので順調でした。直前に風邪症状も出たのですが、特に影響はなかったのだと思います。今年は序盤から集団のペースが本当に速くて、中盤の冷泉小屋付近ですでに結構キツくて・・・耐える時間でした。でも、ラスト4kmからの九十九折りで仕掛けたのは計画通り。独走してからも不安だったので集中して走りました。レコード記録については、序盤からみんなが速かったので、そのおかげです。挑戦することのキツさは皆同じ。チャンピオンクラスの上位で争うには余程の取り組みをしてこないと絶対に戦えないので、一緒に戦っているメンバーは戦友です。乗鞍のタイトルは特別です」

産後わずか8ヶ月でのカムバック勝利

一般女子クラスは、2022年・2023年大会を連覇した佐野歩が、昨年チャンピオンの三島雅世をスプリントで1秒抑えて2年ぶり3度目の勝利。産後わずか8ヶ月での衝撃のカムバック勝利を果した。

「三島さんとのラストスプリントになりましたが、しっかりスプリントができたと思います。子供が生まれてこれまでと環境が変わりましたが、育休や家族の支えもあり、また勝つことができ嬉しいです。産後少し休んで、2月からトレーニングを再開しましたが、チームのコーチを信じてトレーニングを重ねる中で、予定通りコンディションを上げることができたと思います。この後は、家族との時間を大切に過ごしていきたいと考えています」

引き続き乗鞍に魅せられて・・・

毎年3000〜4000人のサイクリストたちが乗鞍に挑み続けて40年。二十歳の若人も還暦の年。雄大な乗鞍岳の絶景コースに加え、ゴール地点は自動車道路日本最高地点の標高2716m。酸素濃度が薄くなる中でのサバイバルでタフなコース。この40年、多くの人が魅せられてきた。また新たな歴史が重ねられていくヒルクライマーたちの真夏の祭典。今後も日本のヒルクライムレースを牽引していく存在であり続けることだろう。

リザルト

チャンピオンクラス

1位 田中裕士 53分46秒
2位 成田眸 54分14秒
3位 玉村喬 54分15秒
4位 井出雄太 54分39秒
5位 真鍋晃 54分49秒
6位 加藤大貴 55分06秒
7位 河田恭司郎 55分32秒
8位 金子宗平 56分08秒
9位 河合祐樹 56分12秒
10位 宮崎新一 56分19秒

一般女子クラス
1位 佐野 歩 1時間6分27秒
2位 三島雅世 1時間6分28秒
3位 金子広美 1時間07分23秒
4位 石井嘉子 1時間07分47秒
5位 河田朱里 1時間07分48秒
6位 和田潮里 1時間09分08秒
7位 大石由美子 1時間09分38秒
8位 高橋 綾 1時間10分14秒
9位 佐藤恵美 1時間10分51秒
10位 宮下朋子 1時間11分41秒

速報リザルト(LAP CLIPサイト)

大会WEBサイトはこちら
https://norikura-hc.com/

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PROFILE

ハシケン

Bicycle Club / スポーツジャーナリスト

ハシケン

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

ハシケンの記事一覧

ロードバイクに造詣が深いスポーツジャーナリスト。国内外のレースやロングライドイベントを数多く経験。Mt.富士ヒルクライムの一般クラス優勝、ツールド宮古島優勝。UCIグランフォンド世界大会への出場経験あり。

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