
デクラインが雨中のスプリントを制し、第2ステージ優勝|ツール・ド・ランカウイ

せいちゃん
- 2025年09月30日
2025ペトロナス・ツール・ド・ランカウイの第2ステージが9月29日、パダン・ブサールからクパラ・バタスまでの166kmで行われ、雨とアタック合戦で混沌としたレースの末、アーヴィッド・デクライン(チューダー・プロサイクリングチーム、オランダ)が集団スプリントを制し、ステージ優勝を果たした。マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア)はステージ2位に入り、総合リーダージャージ(グリーンジャージ)を堅守した。
序盤から続くアタックと雨
タイ国境の町パダン・ブサールをスタートしたステージは、序盤から激しい雨に見舞われた。濡れた路面と視界の悪さがレースに不確定要素を加える中、集団は落ち着くことなく、スタート直後からアタックが繰り返される非常にアグレッシブな展開となった。
多くの選手が逃げを試みるも、スプリンターチームが容認せず、レースは「洗濯機」のような状態で進行。約70kmを過ぎたところで、ようやくワジム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム、カザフスタン)、セドリックバッケ・クリストファーセン(ユニベット・ティテマ・ロケッツ、ノルウェー)、タナカン・チャイヤソムバット(タイランドコンチネンタル、タイ)、當原隼人(愛三工業レーシングチーム)の4名が逃げ集団を形成した。
スプリンターチームの支配と完璧なフィニッシュ
集団は、マルチェッリを擁するXDS・アスタナチーム、デクラインのチューダー・プロサイクリング、そしてアレクサンダー・クリストフ(ノルウェー)を擁するウノエックス・モビリティが主導権を握り、逃げ集団とのタイム差を1分前後にコントロール。逃げは最終的に吸収され、レースはクパラ・バタスのゴールに向けた集団スプリントに持ち込まれた。
最終局面では、各チームがリードアウトトレインを組んで激しく位置を争った。残り1kmを切ってからウノエックス・モビリティがペースを上げる中、デクラインは冷静に勝機をうかがい、完璧なタイミングでスプリントを開始。マルチェッリやエンリーコ・ザノンチェッロ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)らを力でねじ伏せ、フィニッシュラインに最初に飛び込んだ。
レース後、デクラインは「困難な時期を勝利で終えることができて嬉しい。チームメイトが良い位置に連れて行ってくれたおかげで、完璧なスプリントができた」と勝利を喜んだ。
この結果、マルチェッリは総合首位とポイント賞(オレンジジャージ)を維持。山岳賞はベン・カーマン(セントジョージコンチネンタル、オーストラリア)、アジア最優秀選手賞(ホワイトジャージ)はムハンマドヌルアイマン・ロスリ(トレンガヌサイクリングチーム、マレーシア)がそれぞれ守った。ステージの敢闘賞は、逃げで活躍したクリストファーセンが獲得した。
新城幸也のコメント

『朝から強い雨が降り続いていた。 スタート地点に移動しても雨は止まずに結構な土砂降りの中スタート。今日もアタック合戦は昨日よりも長く続いた。スタートからドゥシャンが胃腸の問題を抱えていて、レースに着いていくことが出来ずにリタイアしてしまった。気温の変化が原因だったかもしれない。
エーススプリンターのドゥシャンがリタイアしたことで、今日はフィリッポで狙うことに。ラスト5kmが直線ということで、強い隊列を作れるウノXかチューダーの番手を取る作戦で挑んだ。皆、牽制してか残り4kmでもペース上がらず、ウノXもポジションを上げないので、前待ちの作戦に切り替え、チームをなるべく前の方で待機して後からくるチームに並ぶことになった。
今日も足は絶好調で残り1.5kmぐらいでチューダーとウノXの隊列にフィリッポが入れたのを確認して足を緩めた。
惜しくもステージ4位だったが、ドゥシャンがいなくなった穴をしっかりと埋めてくれた。
これからのステージもフィリッポで勝負出来そうので、引き続きステージ優勝目指して頑張る!』
リザルト
1位 アーヴィッド・デクライン(チューダー・プロサイクリングチーム、オランダ) 3時間29分59秒
2位 マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア)
3位 エンリーコ・ザノンチェッロ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア)
4位 フィリッポ・フォルティン(ソリューションテック・ヴィーニファンティーニ、イタリア)
5位 ジェゾン・テソン(トタルエネルジー、フランス
6位 ワンアブドゥルラーマン・ハムダン(トレンガヌサイクリングチーム、マレーシア)
7位 モハマドイザットヒルミ・アブドゥルハリル(マレーシアプロサイクリング、マレーシア)
8位 アーランド・ブリクラ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー)
9位 マヌエル・ペニャルベル(チームポルティ・ビジットマルタ)
10位 ミゲルアンヘル・フェルナンデス(エキポケルンファルマ、スペイン)
個人総合成績
1位 マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア) 5時間30分5秒
2位 アーヴィッド・デクライン(チューダー・プロサイクリングチーム、オランダ) +2秒
3位 ムハンマドヌルアイマン・ロスリ(トレンガヌサイクリングチーム、マレーシア) +9秒
4位 アーランド・ブリクラ(ウノエックス・モビリティ、ノルウェー) +10秒
5位 アドリアン・メール(ユニベット・ティテマ・ロケッツ、フランス)
6位 エンリーコ・ザノンチェッロ(VFグループ・バルディアーニCSF・ファイザネ、イタリア) +12秒
7位 イバン・コーボ(エキポケルンファルマ、スペイン) +13秒
8位 ワジム・プロンスキー(トレンガヌサイクリングチーム、カザフスタン)
9位 ネイト・ハデン(セントジョージコンチネンタル、オーストラリア) +14秒
10位 タナカン・チャイヤソムバット(タイランドコンチネンタル、タイ)
ベストアジアンライダー賞
ムハンマドヌルアイマン・ロスリ(トレンガヌサイクリングチーム、マレーシア)
ポイント賞
マッテオ・マルチェッリ(XDS・アスタナチーム、イタリア)
山岳賞
ベン・カーマン(セントジョージコンチネンタル、オーストラリア)
チーム総合成績
XDS・アスタナチーム
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PROFILE

稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている