SUPER RECORDがプラットフォーム化 グラベル特化の1×13速「SUPER RECORD X」で新時代へ｜Campagnolo

イタリアのコンポーネントブランド、カンパニョーロが、同社のフラッグシップ・ワイヤレスグループセット「SUPER RECORD WIRESS 13」を、新たにプラットフォームとして再定義し、そのラインナップを大幅に拡充するという、ブランドの未来を占う重要な戦略を発表した。その記念すべき第一弾として、パフォーマンス志向のグラベルライディングに特化した、ブランド初のワイヤレス1xグループセット「SUPER RECORD X」がデビュー。さらに、ロード用の1x仕様や、オン・オフロードを両立する2xのオールロード仕様も加わり、多様化する現代のサイクリストのニーズに全方位で応える、野心的な製品群が姿を現した。

単一の製品群から、多様なカテゴリーを横断する「プラットフォーム」へ

今年6月に発表された世界初の2×13速ロードグループセットは、カンパニョーロが描く壮大な構想の序章に過ぎなかった。「SUPER RECORD 13」は、単一の製品群ではなく、ロード、グラベル、オールロードという3つの主要なサイクリング分野をカバーし、それぞれの要求に最適化されたコンポーネントを供給するための、柔軟で拡張性の高い「プラットフォーム」として設計されていたのだ。

これは、コンポーネントのモジュール化と互換性を高めることで、ライダーが自身のスタイルに合わせて最適な構成を選択できるだけでなく、将来的には下位グレードへの技術展開も容易にすることを示唆している。カンパニョーロは、このプラットフォーム戦略によって、ハイエンド市場だけでなく、より幅広い市場セグメントに対応していくという強い意志を示した。

パフォーマンスグラベルを標榜する「SUPER RECORD X」の全貌

今回の発表の主役となるのが、カンパニョーロ初のワイヤレス1xグループセットであり、パフォーマンス志向のグラベルライディングに特化した「SUPER RECORD X」だ。これは、単にロード用コンポーネントからフロントディレイラーを取り除いただけの安直な派生モデルではない。SUPER RECORDプラットフォームの基本的な技術アーキテクチャ、つまりワイヤレス通信プロトコルやバッテリーシステムを共有しつつも、グラベル特有の過酷な環境に対応するための、数々の専用設計と新技術が惜しみなく投入されている。

グラベル専用設計の「Xリアディレイラー」— Nano Clutch搭載

「SUPER RECORD X」の思想を最も色濃く反映しているのが、このリアディレイラーだ。ロード用をベースとしながら、グラベル走行に求められる機能を徹底的に追求している。

最大の注目点は、悪路でのチェーンの暴れを抑え、フロントシングルで懸念されるチェーン脱落を効果的に防ぐ、新開発の小型クラッチ機構「Nano Clutch」の搭載だ。さらに、最大48Tという巨大なスプロケットに対応するため、カーボン製のプーリーケージは92.5mmへと延長され、フレームとの取り付け部分も強化。衝撃や振動に対する耐久性を高めている。

変速性能の要となるプーリーは、上側12T、下側16Tという異なる径のものを採用。上側のガイドプーリーは偏心した回転軸を持ち、スプロケットの歯数に応じて最適な距離を保つ。下側のテンションプーリーはオーバーサイズ化され、チェーンのスムーズな流れを促進する。これらの工夫により、ワイドなギアレンジでも、カンパニョーロらしいスムーズで静かな変速を実現している。

8種類の歯数を用意した1x専用クランクセット

Ekarで培った1xドライブトレインの経験を活かし、ナローワイド形状の歯先を持つ1x専用のチェーンリングを開発。歯数は38Tから52Tまで、2T刻みで8種類という、あらゆるコースプロフィールと脚力に対応する豊富なラインナップを誇る。

クランクアームは、露出したカーボンが美しいカンパニョーロ伝統のデザイン。Qファクターは152mm、チェーンラインは47.5mmと、ワイドなタイヤクリアランスを確保する現代のグラベルフレームに最適化されている。もちろん、16個のセンサーで高精度なパワー計測を実現する「HPPM」パワーメーター内蔵モデルも用意される。

最大48Tを誇るカセットスプロケット

カセットは、9-42T（9-10-11-12-13-14-16-18-21-25-30-36-42）と10-48T（10-11-12-13-14-16-18-21-25-30-36-42-48）の2種類。SUPER RECORD譲りの美しいブラッククローム仕上げが施されている。シングルチェーンリングでの使用を前提に、ギアの歯数差が大きくなりすぎないよう、スムーズなケイデンスの変化を考慮したギア構成となっている。N3Wフリーボディに対応する。

電子部品を持たない左レバーも選択可能

1x仕様の「SUPER RECORD X」では、左側のエルゴパワーレバーを、変速ボタンを持たないブレーキ専用レバーにすることも可能だ。これにより、軽量化とコストダウンを実現し、よりシンプルなコックピットを構築できる。

価格表　SUPER RECORD X 1✕13 GRAVEL（一部パーツはSUPER ROADシリーズと共通）

発売は12月1日予定（価格はその時点のもの）

 ロード用1x仕様、2xオールロード仕様も登場

SUPER RECORDプラットフォームの拡張は、グラベルだけにとどまらない。ライダーの多様なスタイルに応えるため、以下のバリエーションも同時に発表された。

SUPER RECORD 1×13 ROAD

ロードバイク用のシングルチェーンリング仕様。44Tから52Tまでの5種類のエアロチェーンリングが用意される。Xリアディレイラーと10-48Tカセットを組み合わせれば、市販されるロード用1xドライブトレインとして最もワイドなギアレンジを実現可能だ。

価格表　SUPER RECORD 1×13 ROAD

発売は12月1日予定（価格はその時点のもの）

SUPER RECORD 2×13 ALL ROAD

「Nano Clutch」を搭載したリアディレイラーを採用した、2xのオールロード仕様。チェーン落ちのリスクを低減し、舗装路からグラベルまで、シームレスなライディングを可能にする。

カンパニョーロが満を持して投入する「SUPER RECORD 13」プラットフォーム。その第一弾となる「SUPER RECORD X」は、パフォーマンスを追求するグラベルライダーにとって、新たなベンチマークとなることは間違いない。今後、このプラットフォームがどのように下位グレードへと展開されていくのか、その動向からも目が離せない。

価格表　SUPER RECORD 2✕13 ALL ROAD

発売は12月1日予定（価格はその時点のもの）

問：カンパニョーロジャパン　https://www.campagnolo.com/jp-ja/