キナンレーシングチームと巡る晩秋のグルメライド「紀南シーサイドヴェロフェスタ」レポート

Bicycle Club編集部

2025年12月04日

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三重県と和歌山県にまたがる紀南地域を舞台にした「紀南シーサイドヴェロフェスタ with KINAN Racing Team」が11月30日に開催された。世界遺産の山並みや熊野灘を望む絶景の中、地元のグルメを堪能しながらキナンレーシングチームの選手たちと交流を楽しむ、ファンにとって貴重な1日をレポートする。

地域の魅力を再発見　キナンレーシングチームがホストするファン交流イベント

本格的な冬の到来を前にした11月30日、三重県南部から和歌山県東部に位置する紀南地域にて、サイクリングイベント「紀南シーサイドヴェロフェスタ with KINAN Racing Team」が開催された。「SPORTS PRODUCE 熊野」が主催し、地域ボランティアの協力のもと行われるこのイベントは、今回で6回目を迎える。

その名の通り、地元を拠点に世界で戦う「KINAN Racing Team（キナンレーシングチーム）」が全面協力しており、今回は7名の選手（山本元喜、宇賀隆貴、柚木伸元、新宮颯太、宮崎泰史、トマ・ルバ、新城雄大）がゲスト参加。約150名の一般参加者とともに、地域の魅力と味覚を再発見するべくペダルを回した。地域の良さを発信する機会として、またサイクリスト同士の交流や健全な地域社会づくりへの寄与を目指し、チームと地域が一体となって作り上げているのが特徴だ。

自由なルートで9つのCPを目指す「フリーライド形式」

本イベント最大の特徴は、決められたコースを走るのではなく、参加者が自身の走力や興味に合わせて自由にルートを設定できる点だ。発着点となる「株式会社キナン熊野営業所」をベースに、三重県御浜町・紀宝町・熊野市、そして和歌山県新宮市に点在する全9カ所のチェックポイント（CP）が設定された。

参加者はコースマップと睨めっこしながら、起伏に富んだ山岳ルートで健脚を試すもよし、海沿いの平坦区間をのんびり流すもよし。スマートフォンを使った電子スタンプラリー形式が採用され、各CPへの到達証明のほか、エリア内の神社を巡る「隠し要素」も用意されるなど、ゲーム感覚で地域を探索できる仕組みが好評を博した。

選手と共に味わう紀南の「ガチ」グルメ

「ヴェロフェスタ」のもう一つの主役は、各CPで提供される充実のグルメだ。地域の特産品をふんだんに使ったメニューは、補給食の域を超えた本格派ばかり。

カフェスイーツからガッツリ系の食事までバリエーションは豊かで、参加者たちは「kokoro食堂」の岩清水豚を使ったトロトロなんこつうどんや、「道の駅熊野・花の窟」のめはり寿司といった郷土の味に舌鼓を打った。また、スイーツ好きにはたまらないマカロンショートケーキ（パティスリーアフレイル）や、みかんジュース（さぎりの里）なども振る舞われ、カロリー消費が追いつかないほどの「グルメライド」となった。

キナンレーシングチームの選手たちも数グループに分かれてコースへ繰り出し、参加者たちとテーブルを囲んで談笑したり、道中でトレインを組んだりと、レース会場では味わえない密な交流を楽しんだ。短いオフシーズンを終え、翌シーズンへのトレーニングを開始する時期でもある選手たちにとって、ファンからの温かい声援はこれ以上ないエネルギーチャージとなったようだ。

柚木伸元と宮崎泰史、チームジャージでのラストライド

また、本イベントは今季限りでチームを退団する柚木伸元と宮崎泰史の「送別会」としての側面も持っていた。スタート前に行われたセレモニーでは、両選手が大勢の参加者・ファンの前で挨拶。キナンジャージを着用しての最後のチーム活動として、リラックスした表情でファンとの別れを惜しみつつ、最後のライドを噛み締めていた。

美しい景観、美味しい食事、そしてプロ選手との交流。紀南地域の魅力を凝縮した「紀南シーサイドヴェロフェスタ」は、サイクリスト同士の絆を深め、健全な地域社会づくりに寄与するイベントとして、笑顔溢れる中で幕を閉じた。