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復刻スタイルの26インチMTB|【西山自転車商会EX】FUJI・MTFを魔改造

自転車はスポーツではなくホビーと言い張るいじってなんぼのレストア編集者の手記

◉編集部・西山 貴之
関東の自転車フリマには必ずいる、ジャンクマスター。ランドナーからヴィンテージロード、小径車まで幅広い車種を組み上げる自転車カスタムの達人。今回MTBにもトライしたので、次はシングルスピードかも。

マイ自転車で唯一のMTB、MTF

2021年の荒サイフリマに集まったオールドMTB試乗会で遭遇して「これ欲しい!」と誌面に書きつつ、このフジ・MTFをヤフオクで探していたら、オーナーから連絡が来て「乗ります?」という話になって我が家に来た。

前オーナーがヘッドをクリスキングに交換したりと全面的にカスタマイズ。それをさらに上書きしてカスタムをして楽しんでいた。2年ほど前の冬の写真。寒い時期は、負荷高めですぐカラダが温まるMTBに乗りたくなる

実は、さほど古くない2014年製でオールド風MTBを街乗りに仕立てたモデルだ。ホリゾンタルなジオメトリ、二枚肩のフォーククラウンとかディテールも凝っている。ただ当時は、今みたいなオールドMTBブームじゃなかったので、あまり理解されずにすぐ消えてしまった。今見ると「すげーイイじゃん」となる。10年もトレンドを先取りしていたフジはすごい。

フレームとなって自転車部屋に入っていた。8万円の完成車のフレームとは思えないほど凝った作りだ。アウター受け他、ディスクブレーキ用のケーブル固定台座もある。元はサーモンピンクで、もう少し濃いオレンジっぽかった。日焼けで退色してイイ感じの色味に

2年ほど街乗りや河原のグラベルで楽しんでいたが、MTBはかさばるゆえ、外置きだった。サビや酷暑の日焼けがヤバくなり一旦バラして屋内にしまった。涼しくなって、また負荷高めのMTBに乗りたくなり、自転車部屋から出してきた次第。このMTF、ディスク台座もあって「カスタムしてよ!」と訴えてくる、そこも魅力。どう料理しよう?

カンチブレーキ台座に加えて、ディスクブレーキ用の台座が用意されている。カスタム前提というところがうれしい
金属製のヘッドバッジ。二枚肩のフォーククラウンは、クラシカルなMTBっぽい雰囲気

FUJI MTFの系譜

マウントフジMTF-K
1986年モデル。もとは対米輸出用のネーミングを冠したトップモデル。オリジンとなる初期タイプ。初のMTB用コンポ、サンツアー・マウンテック搭載。7万9800円(当時)

MTF、2014年モデル
上記モデルをオマージュ。ジオメトリは、ホリゾンタル&寝たシート角で黎明期MTBを彷彿とさせる。ストリートスペックの街乗りMTB。7万8000円(税別、当時)

ALTERR(アルター)
2024年モデル。満を持して今年登場した、MTFの後継に相当するモデル。こちらはディスクブレーキ搭載。フォークにダボ穴などトレンドも盛り込む。9万6800円。

フロントのみを26から27.5にすると?

前だけディスクブレーキ×27.5インチ

もうディスクブレーキ化するしかない! とはいえ最近手に入れたオールドなカンチブレーキも使いたので、リアはそのまま。どうせならインチアップしたい、と考えて「前だけ27.5インチっていうのは、どうなるの?」と思った。MTBの世界では、走破性と取り回しを兼ねてフロント29インチ、リア27.5インチのマレットという仕様がある。

私のはフレームがそのままなので、もちろんフロントアライメントが狂う。想定される変化を今回ホイール組みをお願いした大槻正哉ビルダーに聞いてみた。「ヘッドアングルが約0.6度寝て、トレイル値が8mm伸びます。直進性が高まり、曲がりにくくなりますが、このくらいの差は違和感もなく使用可能と思われます」という。よしやってみよう!

フロントは2.1インチのブロックタイヤを想定していたが、はめてみるとタイヤが接触してしまった。なので1.85インチ(47C)のスリックタイヤに変更。 舗装路も快速で、エアボリュームで荒れたグラベルも躊躇なく行ける!という仕様になりそう。

【1】ディスクブレーキ対応前輪を作る

リムは、グロウンバイクのオリジナル。ディスク専用の27.5インチポリッシュリムは、他に選択肢があまりなかった。5500円はリーズナブル。メーカー不明のディスクブレーキ対応ハブ。スルーアクスル全盛でスキュアータイプのディスクハブは、結構少なくなってきた。

ディスクブレーキには、ローターも必要だ。ハブがセンターロックの取り付けタイプだったので、シマノの16mmディスクローターを装着する。外セレーションで使用する工具は、BBの取り付けに使うものと同じ。

完成したフロントホイール。タイヤはダイヤ目のトレッドパターンが付いた47C。ブロックに高さがあるとフォーククラウンに干渉してしまう。装着してみると、7mmのクリアランス。これくらいあれば大丈夫だろう。

【2】前後異形スタイルは有り?

フロント27.5インチ、リアは26インチという前後異形ホイールとなる。大きさの差を解消すべく、タイヤはフロント1.85インチ、リアは2.15インチを採用。リムの関係で太さは同じくらいだった。結果、前後ホイールを比べると直径で2.5cmくらいの差。並べてみるとわずかに大きく見える。

自転車用のCAD、バイクキャドにタイヤ径を入れて試算。ヘッドアングルが寝て8mmトレイルが増える。直進性が高くなり、BBドロップも5mm上がって腰高な印象に。ただし「乗れない」というほどではなさそう

【3】ディスクブレーキ装着!

シマノの機械式ディスクブレーキ、BR-M375。アルタスグレードで、3463円。フレームはインターナショナル台座なので、ポストマウント用のキャリパーを付けるためのマウントアダプター、SM-MA-F-160 P/S2フロントが必要になる。

実はディスクブレーキをカスタムで導入するのは初めて。ワイヤーケーブルを使う機械式なので、油圧式よりは扱いは簡単と思ったので導入。まず装着してケーブルを通し、キャリパーを緩く仮止めした状態で、ブレーキを握って、位置決めをして固定という流れだ。

急遽、グラベルバイク化にかじを切る

メイドバイ河原バイク。フリマで買ったジャンクパーツたちだ。自分の好みが70年代から80~90年代に移ってきたので、また買うものが増えてしまった。最近入手したダイアコンペ・980カンチブレーキ。中学時代、仲間の丸石バルボアに装着されていて、初めてカッコイイと憧れた自転車パーツだ。

【1】from関戸橋ジャンクパーツたち

ジャンクのサンツアー・V-LUX。使えるパーツを取って組み上げる3個イチで、VGT-LUXを再生。最初期のMTBにも使われたV-LUX、GTタイプはオールドマニアにも人気で高騰しているが、こうすることで安く入手できる

おそらくジャイアント・エスケープなどのクロスバイクに使われていただろうFSAのPCD104の4アームクランク。廉価なクランクは、アルマイトがかかってない。磨けば傷がとれてピカピカになるところが良い。チェーンリングは、34Tと22T。

ダイアコンペ・980カンチブレーキ。1台分で入手したが、スプリングなどパーツが欠品で、何とか1ペアは使えた。

今回は後ろだけ導入ってパターンに最適だ。クリーニングしてサビを落としシューを交換。結構キレイに。

【2】フレアハンドルをインストール!

クランプ径25.4mm時代のサルサ・ウッドチッパーハンドル。フレアハンドルの先鞭を切ったモデル。スチールフレームに合わせる場合は、個人的には細いクランプのほうが好みだ。トップが長いMTFポジションを出すために超短ステム。

シフターは、ギブニールになる前のレトロシフト。ドロップハンドル用ブレーキレバーにカンパニョーロ規格のダブルレバー台座が付いたもの。なので、この規格に適合するレバーは何でも使える。サンツアー・VXが表裏同じ形状で都合が良い。

ドライブトレインはこんな感じ。新旧まぜまぜ、実はボスフリーだったりもする。ペダルは、MKSのオールウェイズが一番好きだ。上引きのフロントメカが自転車部屋の在庫になく、まだ装着していない。次のフリマでゲットしなくては。

今回使ったディスクブレーキの引きしろはV、後ろはカンチ。Vブレーキをカンチのレバーで引くためのトラベルエージェントをかませる。本来Vブレーキのアウター受けに付けるが、場所がないのでカンチ台座に装着。

新旧カスタムを自然に受け入れるМTF

タイヤがスリックに変更になったので、クロスバイクみたいになるよりは、とフレアハンドルを導入してグラベルバイク化にかじを切ることに。唯一のMTBだったけど、オールロード的なバイクになってしまった。まあこの方が、自分の行動エリアはほとんど舗装路なので、乗る機会は増えるだろう。

タイヤは、今までで最も太いので行ける場所も増える。リアはオールドで、フロントはイマドキっぽい構成に。フレームが2014年と古くも新しくもないので、むしろ何でもアリでいける感じだ。今までにない試みで、たくさんの魔改造的カスタムを楽しめた。

オールドMTBミーティングでシェイクダウン!

2024年11月の最初の週末、静岡県御殿場でオールドMTBミーティングが開催されるというので行ってみた。場所は、富士の裾野。MTF(マウントフジ)カスタムの筆おろしに、これほどふさわしい場所とタイミングはない。

2024年11月2~3日に開催された「オールドMTBミーティング5」主催:日本オールドMTB協会。3日午前中のグラベルライドにエントリー。前日は台風でコースの一部がぬかるみ走行不能になり、20kmほどのライドに

富士山の麓でフジに乗る!

グラベルライドにエントリー。とはいえ、前日に組み上がり、かつ台風で試乗できてないので、ちょっとどうなるか心配だ。

乗ってみると、トレイルの変化がすぐ分かった。明らかに直進性が高くて曲がりにくい。ある意味、市販車はニュートラルなハンドリングにきちんと設定されているんだなと思った。わずかと思われる変化でも、フロントアライメントはなめちゃいけない。

でもそれはそれで、乗って楽しい自転車だと感じた。直進安定性は、ゆるめなグラベルライド向けで、悪くないフィーリング。前日の記録的豪雨で土が流れ、かなり荒れた道も走破できた。

前日に組み上がったばかりで、テストライドもできずどうなるかと思ったが、トラブルなく走り切れた(ライダーは初歩的操作ミスで一度転んだ)。ファットな乗り心地は上々、乗っていて楽しい。前後で違うシステムのブレーキも、どちらも効きがまあまあな感じで違和感がなかった

うれしいことに、今回のカスタムバイク部門となる、GINOバイシクルプレゼンツ「ユニークカスタムコンクール」で、何と優勝することに。優勝って半世紀生きてきて人生初なので感慨深い。とことん楽しませてくれるMTF、私にとって運命的な自転車だ。

駒沢公園で始まり、今回で5回目になる。コンテストに集まった車両は100台近く、過去最高に盛り上がったミーティングとなった
富士山がドーンと見える、御殿場勝俣製茶の敷地で行われた。カトーサイクル、日東などの出店ほか、フリマコーナーもあり、またいろいろ買いこんでしまった
都内有数のオールドMTBショップ、GINOサイクル主催のカスタム部門コンテスト「Unique Custom Concour」で1位を獲得! 店主のボルヤさんと。割引チケットをゲット

※この記事はBicycle Club[2025年1月号 No.459]からの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。

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PROFILE

ニシヤマ

Bicycle Club / 副編集長

ニシヤマ

自転車暦35年以上。中学時代からランドナーに乗る、ヴィンテージ(ジャンク)自転車大好き人間。バイシクルクラブのバイク&キャンプなアウトドア系記事、自転車レストア&カスタム記事など製作。またマニアックな自転車ムック職人。加えて最近は、付録職人でもある

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