
愛三工業レーシングチーム、JPT登録休会しアジアツアーへ完全シフト 留目夕陽ら4名の新戦力を補強
せいちゃん
- 2026年01月02日
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UCIコンチネンタルチームの愛三工業レーシングチームが2026年1月1日、2026年シーズンのチーム体制を発表した。コンチネンタルチームとして活動21年目を迎える古豪は、「世界への挑戦!アジアNo.1チームへ」をスローガンに掲げ、留目夕陽(前EFエデュケーション・イージーポスト)や織田聖(前マトリックスパワータグ)ら4名の新戦力を補強。さらに、今季は国内リーグ「Jプロツアー(JPT)」へのチーム登録を行わず、活動の主軸をUCIアジアツアーへ完全にシフトさせるという大胆な戦略転換を行った。
「脱・国内リーグ」 アジアツアーランキング1位を目指す戦略的選択
今年度の体制発表における最大のトピックは、強力な選手補強に加え、国内最高峰シリーズである「Jプロツアー(JPT)」への登録休会を選択したことだ。
チームは新スローガンに「世界への挑戦!アジアNo.1チームへ」を掲げ、2026年の具体的活動目標として「UCIアジアツアーチームランキング1位」を明言。限られた予算と選手のリソースを、国内リーグ戦の転戦ではなく、UCIポイントが付与される国内外のUCIレース(アジアツアー)へ集中投下する決断を下した。
JBCFが定める「JPT2026規程」によれば、原則としてJBCFに加盟登録し、JPTライセンスを持つチームでなければJPT公式レースには出走できない(※主催者推薦やオープン参加規定を除く)。つまり愛三工業レーシングチームは、退路を断って「アジアの頂点」、そして「世界」を見据えた戦いに挑むこととなる。

このドラスティックな方針転換は、テクニカルディレクター(TD)を務める中根英登氏が掲げるチームビジョンと合致する。中根TDは自身のSNSで、今季の強化方針について「経験者はUCIレースでしっかりポイントを獲って個人ランクを上げること。若い選手らは海外遠征やレース経験を積んでもらうことで、レース展開や速度域を脚で感じ、時差や文化、路面状況など違う環境で走ることを『当たり前』とする経験を積み、翌年に結果を狙う」と言及。
その上で、「上に行く(戻る)ための場所となるよう頑張ります」と述べており、国内での勝利数よりも、世界基準での評価に直結するUCIポイント獲得と、世界へ羽ばたく(あるいは舞い戻る)ためのプラットフォーム作りを最優先する姿勢を鮮明にした。
世界を知る留目、国内屈指のタフネス・織田らが加入
この「世界志向」の戦略を体現するのが、今季加入したビッグネームたちだ。

最大の注目は、昨季までワールドチームのEFエデュケーション・イージーポストに所属していた留目夕陽の電撃加入だ。23歳の留目にとって、この移籍は単なる国内復帰ではない。世界最高峰の環境で揉まれた経験を持つ彼にとって、UCIレース主体のカレンダーを組む愛三工業は、再び世界へ返り咲くために自身のUCIポイントを稼ぎ、世界へアピールするための最適な「発射台」となる。留目は「チームスローガンである”アジアNo.1″の実現に向けて、私自身も全力で走り、チームの勝利に貢献できるよう努めます」と力強くコメントしている。

また、マトリックスパワータグから移籍した織田聖も極めて強力な戦力となる。シクロクロス全日本選手権で4連覇中の現役王者は、ロードレースでも爆発力のあるアタックと独走力が持ち味。アジアツアー特有の荒れた展開や厳しいコースコンディションでも勝負できるタフさを備えており、チームの勝利のバリエーションを大きく広げる存在だ。織田は「新たな環境で成長し、結果を残せるよう日々精進してまいります」と意気込む。
学生王者・阿見寺、19歳の神谷ら若手有望株も結集

将来を見据えた若手選手の補強も抜かりがない。阿見寺俊哉は、昨年の全日本学生選手権個人ロードレース王者。アヴニールサイクリング山梨からの移籍となるが、学生チャンピオンとして満を持して名門チームの門を叩く。「プロとしてのキャリアをスタートさせた私のロードレース人生の2ndステージ」と語る阿見寺は、即戦力として期待される。

さらに、地元愛知県出身の神谷啓人がトレーニーとして加入。現在は京都産業大学に在学中の19歳であり、「最年少として学ぶ姿勢と挑戦する気持ちを忘れず、若さを武器にチームに貢献したい」と、学連レースと並行しながらプロの現場で経験を積む。

継続選手は、絶対的エーススプリンターの岡本隼をはじめ、當原隼人、加藤辰之介、宇田川塁、南和人、松井丈治の6名。既存の強力なスプリントトレインに、留目や織田といった「個で局面を打開できる」選手が加わったことで、平坦ステージだけでなく、アップダウンのあるコースや総合優勝争いにも絡める盤石の布陣が整った。
小森監督2年目「今年は出来て当たり前、更なる高みを」

指揮を執るのは、監督就任2年目となる小森亮平氏だ。小森監督は「全てが初めてで多少の失敗も許された昨年とは違い、今年は出来て当たり前。更なる高みを目指していきます!」と、勝負の年になることを強調する。
小森監督自身、現在もMTB XCやシクロクロスの現役選手として活動するほか、個人でコーチング業も行っており、「走れる指揮官」として現場の感覚を共有できる点は大きな強みだ。

また、スタッフ陣も強化された。新たに加入した市川貴大メカニックは、エキップアサダやナショナルチームで腕を振るった経歴を持ち、海外レースの現場を知り尽くしている。広報・アシスタントの山内渓太氏、ツール・ド・おきなわ市民200チャンピオンでもあるトレーニングコーチの大前翔氏とともに、海外遠征が増えるチームをバックアップする。
機材面では、バイクフレームは引き続き「DARE」を使用。ウェアは「SUNVOLT」、タイヤは「MAXXIS」、ヘルメットは「POC」、アイウェアは「100%」がサポートする。
国内リーグのJPTを離れ、アジアという広大な主戦場へ舵を切った愛三工業レーシングチーム。UCI登録21年目の”町いちばん”のチームは、日本を代表する真のコンチネンタルチームとしての在り方を体現しようとしている。2026年、彼らがアジアツアーで旋風を巻き起こすことに期待したい。
愛三工業レーシングチーム 2026年体制
選手
岡本 隼
當原 隼人
加藤 辰之介
宇田川 塁
南 和人
松井 丈治
留目 夕陽(新加入・EFエデュケーション・イージーポストより)
織田 聖(新加入・マトリックスパワータグより)
阿見寺 俊哉(新加入・アヴニールサイクリング山梨より)
神谷 啓人(新加入/トレーニー・京都産業大学在学中)
スタッフ
ゼネラルマネージャー:金森 寛樹
チームマネージャー:西谷 泰治
テクニカルディレクター:中根 英登
監督:小森 亮平
メカニック:市川 貴大(新加入・エキップアサダより)
広報・チームアシスタント:山内 渓太
トレーニングコーチ:大前 翔
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PROFILE
せいちゃん
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている
稲城FIETSクラスアクト所属のJプロツアーレーサー。レースを走る傍ら、国内外のレースや選手情報などを追っている。愛称は「せいちゃん」のほか「セイペディア」と呼ばれている



















