
キャノンデール・徹底比較 シナプスLAB71とシナプスカーボン、その違いと選び方
安井行生
- 2026年02月11日
キャノンデール・シナプスはエンデュランスロードの重鎮だ。初代シナプスが発表されたのは2005年。エンデュランスロードというカテゴリがまだよちよち歩きを始めたばかりの頃だった。シナプスはパリ~ルーベなどのクラシックレースに投入され、選手達からも高い評価を得た。当時のシナプスはレーシングバイクでもあったのだ。ちなみに、それはキャノンデール初のフルカーボンロードフレームだった。
ここでキャノンデールの2台、シナプスLAB71スマートセンスとシナプスカーボン2スマートセンスを試乗した安井行生、バイシクルクラブ編集長山口がその違いをお伝えする。
歴代のシナプスを振り返る
Photo:Cannondale Japan
正常進化の2代目でハイモッド版が追加。双胴シートチューブ「パワーピラミッド」が特徴の3代目は軽さと快適性と動的性能を高次元で融合させ、ペテル・サガンのヘント~ウェヴェルヘム優勝に大きく貢献する。4代目でディスクブレーキ専用設計となり、タイヤクリアランスが32Cまで拡張される。
今から思えば、シナプスは4代目までは全くぶれていなかった。快適性を高め、一般サイクリストのロングライド専用機としてのポテンシャルを高めつつ、石畳のレースでも実力を発揮する。このときまでは、「快適に遠くまで」と「荒れた路面でも速く」が同義だったのだ。

しかし5代目でキャノンデールは逡巡を見せる。レーシングバイクが太いタイヤを履くようになり、パリ~ルーベでもエアロロードが勝つようになった。他メーカー含め、エンデュランスロードはレースで使われなくなる。プロレース界からリストラを言い渡されたエンデュランスロードは、どこに向かうべきなのかーー 5代目シナプスはその迷いが形になったようなバイクだった。
ハイモッド版が廃止され、1種類となったフレームの出来はよかった。ほのかなカムテール形状を纏ったそれはオーソドックスな設計にまとめられ、35Cタイヤを飲み込み、軽いグラベルまで視野に入れた。各部に設けられたマウントはバイクパッキングにも対応する。

5代目シナプス最大の特徴とされたのが、スマートセンスという前後ライトとガーミンのリヤビューレーダーを統合した安全デバイスだった。ダウンチューブに設置されたバッテリー1つで前後ライト、リヤビューレーダーのディスプレイとセンサーに電力を供給し、キャノンデールアプリを介して、ライトの点灯・点滅パターン、レーダーの設定、バッテリーの状態などを一元管理する。
新世代のスポーツバイクとして魅力的なデバイスではあったが、コンセプトに揺らぎが見られたのは事実だ。高級車なのか、王道のエンデュランスロードなのか、アドベンチャーにも対応するオールロードなのか、電子デバイスを満載した最新鋭バイクなのか……どうにもピントが合わなかった。当時の原稿には「キャノンデールはシナプスをどうしたいのだろう?」と書いた。
グラベルロードとは違うエンデュランスロードとしての6代目シナプス

グラベルロードがエンデュランスロードの領域を侵食しはじめている今、シナプスというモデル自体が統合されて消えてしまうのではないかという想像をいい意味で裏切って、2025年に6代目シナプスがデビューする。
ごついヘッドチューブ~ダウンチューブに対し、トップチューブ~シートチューブは紙のように薄く、めりはりのあるフレームワーク。タイヤクリアランスは42mmまで拡大され、5代目では消滅したハイモッドフレームも復活した(LAB71およびシナプスカーボン1完成車に採用)。スマートセンスにも手が入る。ヘッドライトを高性能化し、バッテリーの容量をアップ、スラムコンポ搭載車はコンポへの電力供給も行うようになった。

そんな6代目の出来はどうなのか。今回はトップモデルのシナプスLAB71スマートセンス(228万8000円)とシナプスカーボン2スマートセンス(132万円)の2台を比較する。

シナプスLAB71スマートセンス
228万8000円

シナプスカーボン2スマートセンス
132万円

ロードバイクらしくシャープに、ただし乗りやすく進化した

山口:グレード比較の前に、まずは新型シナプスの走りの方向性について安井さんはどう感じました?
安井:今までエンデュランスロードって、とにかくマイルドでふわふわな乗り味にして、そのかわりにガツンと踏んだら進まない。でもそもそもそういう走り方しないからいいでしょ、っていうものが多かったと思うんです。逆に「俺たちはエンデュランスロードでも走りは捨てないぜ」って粋がったモデルは快適性のほうが疎かになってたり。でも新型シナプスはシャープに加速するし、ちゃんと進む。かといってエンデュランスロードの本懐である快適性や長距離を走ったときの疲れにくさなどはしっかりと備えてる。だからすごい不思議な感じがします。今まであまり経験したことない乗り味。
山口:確かにそうですね。
安井:ロードバイクらしくシャープであってほしいところはちゃんとシャープに動いてくれて、エンデュランスロードらしくマイルドであってほしいところはちゃんとそうなってるという、メリハリが効いたフレームですね。
山口:エンデュランスロードといっても、加速や上りなどでは軽快に走ることをユーザーが求めるようになったから、そういう性能はきっちり担保したんでしょうね。

安井:でも走行性能と快適性の両立って全ロードバイクが目指している境地ですからね。言うほど簡単じゃないですよ。しかし新型シナプスはうまく作ったなと思います。サスペンションなどの可動ギミックは入ってませんが、必要ないくらいに快適だし、入ってないからこそ軽やかに癖がなく自然に扱える。何も考えずにただただ距離を伸ばすのにもいいし、「ここはちょっと頑張ろうかな」ってところではちゃんと応えてくれるし。いいバランスだと思います。
山口:ではグレード比較を。
安井:シナプスカーボン2から乗ったんですが、完成度は高いですね。まあカーボン2でもリザーブのカーボンホイールを履いた100万円オーバーの高級車なので良くて当たり前といえば当たり前なんですが、十分すぎるくらいに快適だし、しっかり進むし、それでいて結構速い。LAB71に乗り換えてみると、まあ確かに加速の瞬間や上りでダンシングをしたときの反応性では差がある。

山口:瞬間的な動きはやっぱりLAB71の方がいいですね。
安井:はい。フレーム素材がLAB71はハイモッドで、カーボン2はスタンダードモッドですが、ホイールも組み方が違うんですね。
山口:どちらもリムはリザーブの42 | 49ですが、LAB71はハブがDTスイス・180のストレートプル、カーボン2がDTスイス・370のJベントスポークです。

安井:組み方が違うので、それによる剛性感の差はあるでしょうが、明確に違うのは加速の瞬間ぐらいなものです。カーボン2のほうが路面の凹凸をよりつぶさに伝えてくるとは思いましたが、これはおそらくタイヤでしょう。
山口:LAB71の純正タイヤであるヴィットリア・コルサプロは明らかに乗り心地がよかったですね。値段はだいぶ違いますが、性能差はかなり小さいです。加速の瞬間にシャープに動くのはLAB71のほうだと思いますし、レーシーにガンガン踏むのであればLAB71の方がちゃんとついてきてくれるとは思いましたけど、じゃあシナプスでそんな走りをするのかと言われると……。

安井:そうなんですよ。ヒルクライムでタイムを狙うような走り方をするような自転車ではないし。エンデュランスロードこそミドルグレードで十分と言えるかもしれません。まあ予算があればそりゃLAB71の方がいいけど、だって値段は100万近く違いますよね。
山口:カーボン2でも十分。予算が潤沢にあって、さらなる高い頂を狙って「最高のものが欲しい」というならもちろんLAB71を買った方がいいとは思いますが。
安井:そうですね。LAB71でも扱いやすいから、ハイエンドレーシングバイクみたいに「一般サイクリストにとってデメリットになるもの」もあんまりない。ハンドルが一体型になるくらい。

山口:あとは細かい部分だけですよね。LAB71は通常モデルとスルーアクスルのシャフトが違うとか。
安井:抜いてみてびっくりしましたね(笑)。ここまできっちり差別化してるんだと。
山口:だからやっぱりハイエンドバイクは「ステータスを感じさせる乗り物」になってきてますよね。

安井:本当にそう思います。カラーリング含め、性能以外の部分で100万円の価格差を納得させようという意図が見られます。カーボン2でも走りそのものには高級感があるし、総じて新型シナプスはキャノンデールが「ロードバイクにおける高級車とは?」という問いに真正面から向き合った意欲作だと思います。冒頭の文章で「先代には逡巡が感じられた」と書きましたが、新型には迷いがありませんね。

シナプスLAB71スマートセンス
228万8000円

- 特徴:超軽量LAB71 Hi-MODカーボンフレームにSmartSense Gen 2を搭載した、シナプスシリーズ最上位モデル。
- コンポーネント:SRAM RED AXS XPLR(1×13速、パワーメーター付)
- ホイール:Reserve 42|49 Turbulent Aero カーボンホイール(DT Swiss 180ハブ)
- コックピット:Cannondale SystemBar R-One
シナプスカーボン2スマートセンス
132万円

- 特徴:しなやかで軽量なSynapse CarbonフレームにSmartSense Gen 2(ライト&レーダー)を搭載した高性能エンデュランスロード。
- コンポーネント:SRAM Force AXS(2×12速)
- ホイール:Reserve 42|49 Turbulent Aero カーボンホイール(DT Swiss 370ハブ)
- コックピット:FSA SLKカーボンコンパクトハンドル、Cannondale C1 Conceal Alloy ステム
問:インターテック
https://www.cannondale.com/ja-jp/
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