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開聞岳を望む絶景ライド!指宿枕崎線サイクルトレイン実証実験で鹿児島・南薩へ

2026年1月31日から2月1日にかけて、JR指宿枕崎線でサイクルトレインの実証実験が実施された。今回の実証実験では、5つのサイクリングモデルコースと1つのウォーキングコースが設定された。ここでは、「南薩タツノオトシゴ絶景ライド」を中心に、体験レポートをお届けする。

枕崎から薩摩塩屋へ、サイクルトレインで旅は始まる

JR指宿枕崎線はどんな鉄道か? 鹿児島市にある鹿児島中央駅から枕崎市の枕崎駅を結ぶ約87.8kmの路線で、薩摩半島の東岸〜南端を回るように走り、鹿児島市内の通勤・通学路線として利用されるほか、観光ルートとしても人気がある。
特に指宿温泉や開聞岳、日本最南端の駅として知られる西大山駅など、車窓や沿線の景色が楽しめることから、サイクリングルートとしても人気があるエリアだ。

今回の実証実験では、いくつか設定されたコースの中で、枕崎駅から薩摩塩屋駅までサイクルトレインを利用し、薩摩塩屋駅を起点として西頴娃(にしえい)駅までサイクリングを楽しんだ。鉄道と自転車を組み合わせることで、走りたい区間を自由に選べる点は、従来の鉄道利用にはない大きな魅力である。

枕崎駅前で参加メンバーが集合し、挨拶や安全に関する説明などの準備ののちに、自転車を駅に持ち込んだ。係員の案内に従ってスムーズに乗車する。列車に乗り込んだ時点で、すでに「移動」ではなく「体験」が始まっている感覚があった。

懐かしのキハ40系で味わうサイクルトレイン体験

今回使用された車両は、懐かしの国鉄型気動車キハ40系キハ47形である。ローカル線らしい重厚感のある車体と、どこか温かみのある車内は、それだけで特別な旅情を感じさせる存在だ。

車内はセミクロスシート仕様となっており、ロングシートや座席のないスペースに自転車と支柱をベルトで固定する形で設営された。今回の実証実験では貸切車両ということもあり、1両につき定員は約10名。自転車同士の間隔も十分に確保されており、輪行袋に収納する必要がないため、乗降のストレスはほとんど感じなかった。

自転車をしっかりと固定した状態で座席に腰を下ろし、ゆっくりと列車が走り出す。エンジン音とともに動き出すキハ40系キハ47形は、現代的な車両とは異なる独特のリズムを持っており、それがこの旅の雰囲気を一層引き立てていた。
簡素な固定方法だったため、最初は少し不安に感じていたが、問題なく移動ができた。また、東シナ海を望む車窓の風景は、車ではなかなかじっくりと見られないため、新鮮に感じた。

自転車好きが集う空間ならではの時間

サイクルトレインの車内で印象的だったのは、自然と生まれる会話である。同じ目的を持つ自転車好きが集まる空間であるため、初対面同士であっても会話のきっかけに困ることはない。

愛用している自転車の話、これまで走ってきたルート、今日のコースの見どころ。「どこを走るのが一番楽しみか」「あの坂は意外ときついらしい」といった情報交換が自然と始まり、車内には終始和やかな空気が流れていた。
単なる移動時間が、交流の時間へと変わる。これもまた、サイクルトレインならではの価値であると感じた。

南薩タツノオトシゴ絶景ライド海沿いを走る爽快感

ここでは「南薩タツノオトシゴ絶景ライド」の行程を紹介する。このコースは、薩摩塩屋駅で降車し、薩摩半島南部の美しい海岸線沿いを走行しながら、西頴娃駅を目指すルートである。途中には、南薩摩を代表するパワースポットや景勝地が点在し、単なる駅の間の移動ではなく「物語のある行程」となった。

降車した薩摩塩屋駅で打ち合わせを行った後にスタート。海岸線に出てすぐに感じたのは、視界いっぱいに広がる海の存在感である。列車の車窓から眺めていた景色の中を、自転車で実際に走っているという感覚は、サイクルトレインならではの体験であった。

勾配は全体的に緩やかで、風景や南薩摩の集落を縫うように巡りながら、無理なくペダルを回すことができる。移動のために走るというよりも、景色の一部になって進んでいるような感覚があり、時間の流れが穏やかに感じられた。

立ち寄りスポット① 釜蓋神社

最初の立ち寄りスポットは釜蓋(かまふた)神社である。海岸沿いに位置する、南薩摩を代表するパワースポットだ。

釜の蓋を頭に乗せて参拝するという独特の参拝方法でも知られており、今回はサイクリングの安全と実証実験の成功を祈願した。走行途中でこうした「立ち止まる理由」があることは、コース体験の質を高めていると感じた。

立ち寄りスポット② 番所鼻自然公園

次に訪れたのが番所鼻(ばんどころばな)自然公園である。伊能忠敬が日本地図作成の際に立ち寄り、「天下の絶景」と称した場所として知られている。岩礁と海が織りなす景観は非常に印象的だった。自転車を降りて、公園内の旅館「いせえび荘」にて昼食をとる。今回は開聞岳をかたどったカレーをいただいた。

食後はしばらく景色を眺める時間を取った。「タツノオトシゴ」というコース名とも結びつく場所(※タツノオトシゴハウスがある)であり、このコースの象徴的なスポットだといえる。

公園内には開聞岳を望めるカフェもあり、コーヒーや軽食もとることができる。また、当日は公園に窯焼きピザのキッチンカーも来ていた。

ゴール地点は前原海岸

番所鼻自然公園を発ち、東へとペダルを回した。コースのゴールは、前原海岸である。ここは、開聞岳を海越しに望める絶景スポットであり、サーファーが愛用する海岸でもある。19kmという距離以上に、開聞岳を間近で望む絶景に、「ここまで走ってきた」という達成感が湧いてきた。

そして、スタートの枕崎駅にサイクルトレインで戻るため、参加メンバーは乗車駅となる西頴娃駅まで自転車で走行した。

サイクルトレイン体験から見えた指宿枕崎線の可能性

主催した「指宿枕崎線(指宿・枕崎間)の将来のあり方に関する検討会議」によると、本サイクルトレイン実証事業により、鉄道を単なる移動手段としてではなく、「体験」や「観光」と結び付けた新たな価値の発信手段となることを期待しているという。

具体的には、自転車を活用した観光・周遊の拠点として鉄道を位置付けることで、沿線地域への誘客促進や滞在時間の延長につながるほか、鉄道の利用目的の多様化を図ることができるのではないかと考えているそうだ。

今回のサイクルトレインの実証実験は、その未来を具体的に体感できる貴重な機会であった。次回の開催に期待したい。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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