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自転車「青切符」導入目前! 警察庁・国交省・有識者が弁護士会主催の辛口シンポジウム開催

2026年2月25日、東京・霞が関の弁護士会館にて、第二東京弁護士会 環境保全委員会主催によるシンポジウム『自転車の安全で快適な利用のために必要なものは何か』が開催された。

2024年の道路交通法改正を経て、いよいよ今年4月から自転車への「交通反則通告制度(いわゆる青切符)」が導入される。自転車が名実ともに「車両」としての責任を問われる大きな転換点を前に、行政のトップキーマンや有識者が集結した。

日頃から車道を走り、交通ルールに敏感な我々スポーツサイクリストにとって、この新制度はどう運用されるのか? そして何より「安全に走れるインフラ」はどう整備されていくのか? 白熱した議論の全貌をお届けする。

冒頭から飛び出したベテランサイクリスト目線の提言:「スポーツバイクにもバックミラーを」

シンポジウムの幕開けは、予想外にリアルなサイクリスト目線の話題から始まった。
開会の挨拶に立った第二東京弁護士会 環境保全委員会の雪下氏は、自身も通勤で自転車を使うサイクリストであることを明かし、こう切り出した。

「私は自転車でのバックミラーの使用を強くお勧めしています。路上駐車を避ける時、ミラーで後ろを確認できる安心感は絶大です。しかし、いわゆるママチャリには簡単につけられますが、スポーツタイプの自転車には取り付けが難しく、良い製品が少ないのが現状です。メーカーの方々には、スポーツバイクにも合う、四角くて大きめの後方確認しやすいミラーをぜひ開発していただきたい」

続く福島正義会長(第二東京弁護士会)も「晴れた日に家族と自転車で大きな公園に行き、風を感じてボーッとするのは最高のストレス解消。自転車の運転は本当に大好きです」と語り、法律家としてだけでなく、一人の利用者としての温かい視点からシンポジウムがスタートした。

国交省・土田参事官が語るインフラ整備:「車道通行の原則とネットワークの構築」

第1部では、まず国土交通省 道路局 参事官であり、自転車活用推進本部 事務局次長を務める土田宏道氏がプレゼンテーションを行った。土田氏自身も「15年来のロードバイク乗り」であると自己紹介し、現在策定・推進中の「第3次自転車活用推進計画」について解説した。

「日本の地域交通は今、非常に厳しい状況にあります。地方部ではバス路線の廃止が進み、観光地では二次交通(駅から目的地までの足)が不足している。そうした中、自転車の役割は単なる移動手段を超え、環境負荷の低減、健康長寿の実現、そして観光立国を目指す上での強力なツールとして期待されています」

インフラ整備の現状について土田氏は、「これまで『通行空間の整備』を第一目標に掲げ、過去10年間で普通自転車専用通行帯は約64%増加しました。一方で、歩道通行を可とする『自歩可規制』は15%減らしています。これは、自転車を歩道から車道へ、しっかりと分離していくという国の方針の表れです」と説明した。

しかし、サイクリストにとっての現実はまだ厳しい。土田氏もその点を認識している。
「線を引いただけの専用通行帯に路上駐車が連なっている問題や、左折専用レーンでの自動車との交錯など、現場の課題は山積しています。我々国交省としても、道路脇の樹木の剪定による空間確保や、交差点部における自転車と自動車の動線の明確な分離など、より『安全で快適に走れるネットワーク』の構築に向けて不断の見直しを続けていきます」

警察庁・稲森課長が明言する「青切符」のリアルな適用基準

続いて、我々が最も気になる「青切符」の運用について、警察庁 交通局 交通企画課長の稲森久人氏から詳細なプレゼンテーションが行われた。

「交通事故全体が減少する中、自転車関連事故は年間7万件前後で横ばいとなっており、全事故に占める構成比は23.2%(令和6年)と増加傾向にあります。特に憂慮すべきは、自転車乗用中の死亡・重傷事故のうち、約75%において『自転車側にも法令違反があった』という事実です」

これまで自転車の違反は、現場での「指導警告」か、前科がつく重い「刑事手続(赤切符)」の二択しかなかった。違反検挙件数が急増(令和6年は51,564件)する中、より実効性のある対応として導入されるのが16歳以上を対象とした「青切符」だ。

では、実際にどのようなケースで青切符を切られるのか? 稲森氏は明確な基準を示した。
「基本方針はこれまでと変わりません。基本的には現場での『指導警告』を行います。しかし、歩行者や他の車両にとって危険性・迷惑性が高い『悪質・危険な違反』については、青切符による検挙の対象とします」

【稲森氏が提示した「悪質・危険な違反」の適用例】

  • 違反自体が悪質・危険なもの(青切符)
    • 遮断踏切への立ち入り
    • 自転車制動装置不良(ブレーキなし等)
    • ながらスマホ(保持・注視)
  • 違反態様が悪質・危険なもの(青切符)
    • 信号無視で交差点に進入し、青信号で進行している車両に急ブレーキをかけさせたとき。
    • 傘を差しながら一時不停止をしたとき(※実際に交通の危険を生じさせた場合)。
    • 警察官による指導警告に従わず、あえて右側通行などを継続したとき。

「なお、飲酒運転やあおり運転、ながらスマホで実際に危険を生じさせた場合、あるいは違反によって実際に交通事故を起こした場合は、青切符ではなく、従来通り『刑事手続(赤切符)』によって厳しく処理されます」(稲森氏)

我々スポーツサイクリストが特に注意すべきは「交差点での一時不停止」や「無理な信号通過」だろう。「車が来ていないから」「集団から遅れたくないから」といった理由で徐行のまま交差点をやり過ごす行為や、ギリギリでの交差点進入は、他の車両に危険を感じさせれば即座に青切符の対象となる。

また、令和6年の改正では「自動車等が自転車の右側を通過する際、十分な間隔がない場合は安全な速度で進行する義務」と同時に、「自転車側にも、できる限り道路の左側端に寄って通行する義務」が創設された点にも触れ、双方がルールを守る重要性が強調された。

パネルディスカッション:有識者からの辛口な指摘とインフラの矛盾

第2部のパネルディスカッションでは、長年自転車政策に関わってきた自転車活用推進研究会 理事長の小林成基氏から、現状のインフラに対する鋭い指摘が飛んだ。

「青切符の導入自体は評価します。しかし、取り締まりを強化するなら、大前提として『ルールを守って走れる安全な場所』が必要です。現状、車道の左側を走れと言われても、路肩にはゴミが溜まり、路上駐車が溢れている。自転車用ナビマーク(矢羽根表示)を描いただけで『はい、ここを走って』というのは無理があります。自転車専用レーンをカラー舗装(ブルーレーン)で明確に区分するか、あるいは物理的な分離帯を設けるなど、インフラ側の本気度が問われています」

これに対し、参議院議員であり自転車活用推進議員連盟 事務局長の江島潔氏はこう応じた。
「小林理事長の仰る通りです。我々議連としても、今回の青切符導入は自転車政策における『第3の矢』と位置付けています。ルールを守らせるだけでなく、第3次計画に基づくハード面のインフラ整備、そして何より『自転車は車両である』という国民全体の意識改革を同時に進めなければなりません。特に自動車ドライバー側にも、自転車が車道を走る権利とルールを正しく理解してもらう教育が必要です」

質疑応答では、「シェアサイクルの外国人利用者へのルール周知」や「ヘルメット着用の努力義務化の現状」についても議論が及んだ。
ヘルメットについては、登壇者からも「スポーツバイクなら当然被るが、シェアサイクルや買い物で乗る際に、あの大きなヘルメットを持ち歩くのは現実的に厳しい。折りたたみ式や、バッグに収納しやすいデザインの普及など、メーカー側のイノベーションにも期待したい」というリアルな悩みが共有された。

総括:サイクリストも「車両の運転者」としてアップデートする時

シンポジウムを通じて一貫して発信されたメッセージは、「自転車は歩行者の仲間ではなく、独立した『車両』である」という強い意思だ。

2026年4月の青切符導入は、私たちサイクリストにとって単なる「罰則の強化」ではない。車道を正々堂々と、安全に走る権利を得るための「社会的責任の明文化」だと言える。

しかし同時に、小林氏が指摘したようなインフラの未成熟さや、左側通行を阻む路上駐車の問題など、行政側が解決すべき課題もまだ山のようにある。「取り締まり」と「環境整備」は車の両輪でなければならない。

我々スポーツサイクリストは、ヘルメットを被り、手信号を出し、一時停止を守る「手本となるライダー」として振る舞うことが求められる。その上で、真に走りやすい自転車インフラの構築を、社会や行政に対して声を上げ続けていく必要があるだろう。

いよいよ始まる新ルール時代。サイクリスト自身の意識も、新たなギアへとシフトアップする時が来ている。

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Bicycle Club編集部

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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。

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