
NZのMTBステージレース「Volcanic Epic」初挑戦で竹村舞葉が年代別優勝!極上トレイルを走る5日間
Bicycle Club編集部
- 2026年05月03日
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ニュージーランド北島の火山地帯を舞台に開催されるMTBステージレース「Volcanic Epic(ボルカニック・エピック)」。5日間で約200km・獲得標高5,000mを走るこの過酷で美しい大会に初挑戦し、見事年代別優勝と女性総合2位に輝いた竹村舞葉さん。極上のフロートレイルと、国際色豊かなライダーたちとの交流、そして自身の限界に挑んだ5日間の体験レポートをお届けする。
ヘリで山頂へ!火山地帯に広がる圧倒的なトレイル体験

ニュージーランド北島の火山地帯を舞台に、5日間で約200km・獲得標高5,000mを走破するステージレース「Volcanic Epic」。MTBでの海外レース初参戦、そして初のステージレースという挑戦の舞台として選んだこの大会は、想像をはるかに超えるスケールと魅力にあふれた、特別な5日間となった。
ロトルア(Rotorua)やタウポ(Taupo)といったエリアに広がるトレイルは驚くほど整備されている。美しいバームが連続するフロー感あふれる下りは、走っているだけで自然とスピードに乗り、永遠に終わってほしくないと感じるほど心地よい。日本ではパークでしか味わえないような走りが10km以上にわたって続き、トレイルそのものの完成度の高さに圧倒された。
頭の高さほどのシダ植物が生い茂る幻想的な森は、植生の違いも相まってまるで「ジュラシック・パーク」の世界だ。DAY1ではヘリで山頂までバイクごと運ばれ、そこからダウンヒル主体で一気に駆け下りるなど、日常では決して味わえないダイナミックな体験が連続する。

国境を越えたライダーたちと共有する、コース上の一体感

このレースの魅力は、コースの素晴らしさだけではない。アメリカ、オーストラリア、スウェーデン、シンガポール、カナダなど、世界各国から集まったライダーたちと同じ時間を共有し、レースを通じて自然と距離が縮まっていくのだ。
スタートはハイペースながらも、コース上では互いに声を掛け合いながらラインを譲り合い、時には並走して会話を交わす。5日間を通して走力の近いライダー同士が何度も前後しながら走る中で、自然と生まれる一体感も、この大会ならではの魅力と言えるだろう。
マッドコンディションのサバイバル。自然がもたらす厳しさと楽しさ

一方で、大自然が相手のレースである以上、厳しさもある。特に“クイーンステージ”と位置付けられたDAY3は、雨によって路面がマッドコンディションに。スタート直後の急斜面の下りでは、多くのライダーがスリップして転倒するタフなシーンが続いた。
それでも深く幻想的な森の中に入れば風はなく、走り続けることで身体は温まっていく。難しいコンディションの中でも、いつしかトレイルそのものを楽しむ余裕が生まれてくるのが自分でも不思議だった。
レースの後は芝生でリラックス。日常とシームレスにつながる時間

ステージレースならではのもう一つの魅力は、レースと日常がゆるやかにつながっていることだ。レースを終えると芝生に寝転び、フードトラックで美味しい食事を楽しみながら、各国のライダーたちと会話を交わす。
ピザやタコスを片手に、その日のレースのハイライトを振り返りながら過ごす時間は、勝敗やタイムを超えた深い充実感に満ちていた。
池田祐樹・清子夫妻のサポートと、MTBが根付く現地のカルチャー

今回の遠征で私にとって大きな存在だったのが、プロMTB選手の池田祐樹選手と、妻である清子さんだ。池田選手は強豪ひしめくカテゴリーの中で連日表彰台に立ち続け、Age3位、総合8位という見事な成績を収めた。ライバルと激しく競り合いながらも、ゴール後には互いの健闘を称え合う姿が深く印象に残っている。
また、長時間のレースでも私が大きく体調を崩すことなく走り切ることができたのは、清子さんが用意してくれた菜食中心の食事に支えられたおかげだった。
特筆すべきは、現地のトレイル環境の素晴らしさだ。トレイルはMTB用に明確にルートが分けられており、分岐には必ず案内板があるため迷うことがない。近所の人が気軽にトレイルを走っている姿も日常的に見られ、MTBというスポーツが文化として深く根付いているのを感じた。日本とは異なる環境の中で、純粋に“走ることそのもの”を楽しめるフィールドが無限に広がっていた。
初挑戦にも適したステージレース。最後まで走り切れた理由

こうした恵まれた環境の中で開催されるVolcanic Epicは、距離や獲得標高の面で極端にハードルが高いわけではなく、ステージレース初挑戦のライダーにも適した大会だ。実際に私自身も初めてのステージレースだったが、大きなトラブルもなく5日間を通して無事に走り切ることができた。
年代別優勝と総合2位を獲得!成長の実感と次の冒険へ

結果としては女性総合2位、年代別では優勝を果たし、5日間最後までリーダージャージを守り切ることができた。女性総合優勝はアメリカのプロライダーであるシド・シュルツ選手、3位にはニュージーランド出身の中長距離陸上選手、スザンナ・リンチ選手が入るなど、ハイレベルな戦いの中で結果を残せたことは大きな自信となった。
特にDAY1で7分差をつけられたシド選手に対し、DAY4ではその差を45秒まで詰められたことは、レースを通じた自身の成長を実感できる象徴的な出来事だった。
最終日のラスト10kmでは、さすがに疲労が蓄積し後半は思うようにペースが上がらなかった。しかし、ゴールが近づくにつれて「この極上トレイルを走れる時間が、もう終わってしまう」という寂しさすら感じていた。それほどまでに、このレースは私の中で特別な存在になっていたのだ。

この大会に挑戦したきっかけは、10月にSNSで偶然目にしたヘリライドの映像だった。「いつか行きたいな」という憧れから「今しかない」と決断したことで、私はこの場所にたどり着くことができた。
レース前日、一人でトレイルを走っていたときに出会ったオーストラリアのライダーから、レース後に「次はオーストラリアで開催される『Cape to Cape』に出ないか」と誘われた。Volcanic Epicで始まった私の挑戦は、まだ序章に過ぎないのかもしれない。
ニュージーランドという壮大な土地、そしてVolcanic Epicというレースは、MTBの底知れぬ楽しさを改めて教えてくれる場所だった。来年はさらに長くこの地に滞在し、より深くこのトレイルを味わい尽くしたい。
そしてまた、次の冒険へ。MTBを通じて広がる世界は、想像以上に大きく、そして限りなく自由だった。
竹村舞葉(たけむら まいは)
熊本県出身。2020年に趣味として自転車競技(シクロクロス)を始め、2022年よりMTBのクロスカントリーレースにも挑戦。2024年全日本選手権XCO(クロスカントリーオリンピック)3位、Coupe du Japonでは2024年に3勝を飾り女子エリート年間総合優勝を果たし、2025年も年間総合優勝で2連覇を達成。シクロクロスでは2025-2026シーズン土浦でJCXシリーズ初優勝を飾り、同シリーズ総合2位。また、世界最大のグラベルレース「アンバウンドグラベル2023」では100マイル年代別4位に入るなど、国内外のオフロードレースで目覚ましい活躍を見せている。

使用機材 スペシャライズド・エピック EVO

バイク:スペシャライズド・エピック EVO、前タイヤ:スペシャライズド・FAST TRAK 29✖︎2.35、後タイヤ:スペシャライズド・ RENEGATE 29✖︎2.40
Volcanic Epic(ボルカニック・エピック)公式サイト(英語)
https://www.volcanicepic.co.nz/
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- Photo:Volcanic Epic https://www.volcanicepic.co.nz/
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ロードバイクからMTB、Eバイク、レースやツーリング、ヴィンテージまで楽しむ自転車専門メディア。ビギナーからベテランまで納得のサイクルライフをお届けします。
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