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登山ガイド・林智加子さん「生涯、登山ガイドであり続けたい」|山のガイド名鑑 File.10

ガイドの世界で活躍する人々にフォーカスする連載。第10回は登山ガイドの林智加子さんをインタビュー。

スキーパトローラー、雪崩安全管理業務、野外救急法講師、そして登山ガイド。幅広い仕事に携わり、それらがリンクしながら経験を深めたいま、登山ガイドとして目指すこと、ありたい姿について語ってもらった。

雪崩の現場と富士山、ふたつの原点がいまにつながる

ーーいきなりですが(笑)、冬は雪崩に関する仕事を?

林さん:登山ガイドを始める前、20〜30代にニュージーランド(NZ)でスキーパトローラーをしていました。それがひとつ目の原点です。NZの冬に働いて、日本に戻ってくるのをくり返していたので、夏がない時期が長くありましたね。無我夢中でした。

レベル1という雪山の安全対策に必要な雪崩のハザード評価や山でのデータ採取・記録について学ぶ資格を取得したのも、NZでのことでした。帰国後、日本語でも学び直そうと日本雪崩ネットワークの活動に関わり、講師を務めるようにもなりました。

その後、アライマウンテンリゾート(アライスキー場)で、アバランチコントロールという仕事をします。天候や積雪状況を観察し、雪崩のリスクが高まる前に、人為的に雪崩を発生させるなど、スキー場の安全を管理する仕事です。

いまは、星野リゾートが経営する3つのスキー場(北海道・トマムスキー場、福島県・ネコママウンテン、群馬県・Mt.T)で雪崩に関する安全教育をしています。これまでの経験を生かし、必要なスキーパトローラーの人数を提案。その後は積雪状況の観察・記録方法を教え、現場でいっしょに取り組みながら安全な雪崩管理を模索し、提案しています。

Mt.Tのシニアスキーパトローラーの方々は、長年雪崩管理に携わっています。彼らがもつ経験や感覚に、知識を加えていくのが私の役目。雪崩のメカニズムや雪崩に関わるハザードをどのように評価するか、フィールドで観察すべき点などを伝えます。感覚だけに頼るのではなく、根拠をもって判断し、それを明確な言葉で共有するためです。それは、より確かな安全判断にもつながります。また、安全管理という点で、私のガイドの仕事につながっています。

▲スキーガイド業を縮小しつつも、いまはスキーガイド資格の仕組み作りにも力を注いでいる

ーー夏はどんな仕事を?

林さん:NZから帰国後、友人に誘われて富士山ガイドを始めました。初めて富士吉田に来たときから、この土地が好きになりずっと住んでいます。私にとって富士山は大切な山で、いまでもガイドを続けています。最近は外国人グループがほとんど。2週間ほど日本を旅するなかで登るケースが多く、日本のなにを見たいのか、感じたいのか、これまでどんな旅をしてきたのか話を聞きながら、相手が求めるものを探って、案内します。

▲富士山ガイド。求めるものは人それぞれだが、興味をもつ内容を話すことを心がけている

子どもたちから学んだ 生涯、登山ガイドでありたい

個人ガイドでは、少人数を基本としています。参加者の名前と顔を覚えて、しっかり交流できる範囲にしたいからです。

数年前にノエビアグリーン財団が運営する小学4〜中学2年生を対象にしたプログラムにも参加しました。1年間の準備登山を経て、雲ノ平を目指すもので、プロ登山家の竹内洋岳さんがプロデュースする企画です。リーダー性のある子どももいれば、フォロワーの子もいます。全員揃ってチームが成立する。私はガイドとして安全管理をする役目でしたが、主体は子どもたち。彼らが判断して登っていきます。「困ったときは相談してね」という距離感を保ちつつようすを見守ると、岩場が現れたときなど、ちゃんと相談してくれるんです。一つひとつの登山で子どもたちがどんどん変わっていくのを目の当たりにし、貴重な勉強をさせてもらいました。

▲ノエビアグリーン財団「山の教室」で1年かけて雲ノ平縦走をめざした。ハラハラドキドキしながらも子どもたちの逞しさに刺激を受ける

ーー幅広い経験を積み、ガイド社会から求められることもあります。この先、どんなガイドでありたいと考えますか。

林さん:国際自然環境アウトドア専門学校(i-nac、卒業後登山ガイド資格取得できるコースもある)で講師をしたり、日本山岳ガイド協会の理事を務めるようになりました。次世代に伝えていく役目があることは自覚しています。

私自身は、「智加さんと山に登りたい」と思ってもらえるようなガイドになりたいですね。そのためには、相手がなにを求めているのか考え、楽しみや喜びを感じてもらえるようなサポートができればと思います。そして生涯、登山ガイドであり続けたい。そのためには、自分自身のメンテナンスも大切です。日々健康に気を配り、元気にすごしたいですね。

林智加子さん

Mountain Guide Soleil代表。北アルプスの山小屋勤務、NZと日本でのスキーパトローラーなどを経て、登山・スキーガイドとして活動。各地のスキー場で雪崩安全管理業務に携わる。富士山をはじめ国内の山々を案内するほか、野外救急法や雪崩安全管理などの安全教育、後進の育成にも力を注ぐ。日本山岳ガイド協会理事。

  • 資格:日本山岳ガイド協会認定登山ガイドⅢ、スキーガイドⅡ、国際マウンテンリーダーハイキング・トレッキングガイド
  • 得意分野:富士山を案内すること
  • 好きな山域:北アルプス、富士山を含む富士山周辺エリア
  • 好きなアクティビティ:たまにひとりでテントを担いで山へ
  • アウトドア以外の趣味:神話・歴史を知ること、バケツで稲作、虫さされ液作り

 

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