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森を抜け、火と氷の湖へ。バンクーバーから日帰りで歩くガリバルディ・レイク【WILD & LOCAL / CANADA #1】

カナダ・バンクーバーから車で約1時間半。海沿いのハイウェイを北へ走り、針葉樹の森を抜けた先に、火山と氷河がつくった湖がある。

往復約18km、標高差約900m。都市滞在の一日に組み込める距離ではあるが、歩きごたえは十分だ。ガリバルディ・レイクへ、森と地質の記憶をたどる日帰りハイクに出かけた。

文◉寺井杏雛
写真◉竹内天平
編集◉VINAVIS

海辺の都市を離れ、雨が育てた巨木の森へ

▲その名のとおり、海から空へと駆け上がるような絶景ハイウェイ。遠くに浮かぶ島々を眺めながら、最高の山旅が始まる。

バンクーバーからカナダ屈指の美しさを誇る「シー・トゥ・スカイ・ハイウェイ(99号線)」を約1時間半北上する。道中は「ハウ・サウンド」と呼ばれる美しい入り江の海と、天を突く岩壁 を横目に走るぜいたくなドライブコースだ。これだけで心が踊る。

登山開始後しばらくは、美しい針葉樹林のなかにつづら折りのトレイル(スイッチバック)が続く。よく整備されていて歩きやすい。単調になりがちなスイッチバックだが、樹齢を重ねた豊かな針葉樹林が美しく、登る人の目を奪う。

▲長い冬の雨が森を大きくする、カナダの圧倒的な生命力。

ガリバルディ一帯は1920年に公園保護区に指定され、1927年には州立公園(Class A)として法制化。カナダのなかでもかなり早い段階で人間の商業的な開発(伐採)から保護されてきた。

▲この美しい森を守るためにも、トレイルをショートカットせず、スイッチバック上を歩こう。

火と氷が作った溶岩の壁「ザ・バリア」

▲森のなかから突如として現れる溶岩の壁「ザ・バリア」。途方もなく長い時間と地球の力強さを感じる。

しばらく登ると、視界が開けるルックアウト(展望エリア)が登場する。目の前に現れるの は、荒々しく切り立った巨大な岩の壁「ザ・バリア(The Barrier)」。
じつは、これから向かうガリバルディ・レイクは、この巨大な溶岩の壁の内側に隠されているのだ。

そしてこの湖の成り立ちは奇跡のようで……。
ザ・バリアは、マウント・
プライスの側火山クリンカー・ピークから流れた溶岩が、後退する氷河にせき止められ、その縁で冷え固まってできた溶岩の壁だ。やがて氷河の融水が背後にたまり、現在のガリバルディ・レイクが形づくられた。火山と氷河、相反するふたつの力が、ひとつの風景を生んだ。

ザ・バリアの向こうに広がるターコイズブルー

▲氷河が削り出した微細な岩の粉(グレイシャル・フラワー)が光を反射して生まれる、鮮やかな氷河湖ならではのターコイズブルー。夏になると一面この色になるそう。

ザ・バリアが見えたら、きつい登りはほぼ終了。ここからは一気になだらかな道へと変わる。そして森を抜けると──ついにガリバルディ・レイクに到着だ。

▲遥か昔からここにたたずむ湖。雪を抱く山々の足元に、静かな青が広がる。森を抜けた先ではじめて、この湖を支える地形の大きさが実感になる。

背後にそびえる雪山とのコントラストは、言葉を失うほどの美しさ。世界中からハイカーがこの地に引き寄せられるのも納得だ。

アフターハイクの寄り道。スコーミッシュの絶品ピザとクラフトビール

下山後は、アウトドアタウンとして有名なスコーミッシュの「バックカントリー・ブリューイング (Backcountry Brewing)」へ。店内では、季節ごとに入れ替わるピザや軽食を味わえる。タップにはクラフトビールのほか、ノンアルコールも用意され、地元のハイカーやクライマーでにぎわっている。クラフトビール醸造所でありながら、絶品の焼き立てピザが食べられる超人気店だ。

クルマで訪れる場合、運転手はノンアルコールで山の余韻を楽しみたい。可愛いデザインの缶ビールをお土産にテイクアウトするのもおすすめ。

▲アイコニックなロゴがかわいい。このロゴのTシャツやキャップはお土産におすすめ。

バンクーバーからの日帰りハイクにぴったりなガリバルディ・レイク。カナダが誇る「圧倒的生命力の森」と「火と氷の芸術」を、ぜひその足で体感してほしい。

レストラン情報

Backcountry Brewing

今回の装備

【5月下旬・晴れ】
 観光ついでとはいえ、往復約18kmの山道。しっかりとした装備で挑みたい。今回はトレイルランニングの軽快なスタイルをベースに、快適性と安全性を両立した装備で向かった。

▲森を繋ぐ道中の橋。美しくも野生的な、カナダの剥き出しの大自然を肌で感じる瞬間だ。

シューズ

【サロモン/XA PRO 3D V9 GORE-TEX】
乾いたトレイルが中心だった今回は、軽快なトレイルランシューズをチョイス。残雪やぬかるみ、荷物の重さ、登山になれているかどうかに応じて適したシューズを選びたい。

バックパック

【ブラックダイヤモンド/ディスタンス15
15Lのトレランパックで、日帰りにちょうど良いサイズ感。また、体にフィットして揺れないので疲れを軽減できる。

ウエア

【パタゴニア/キャプリーンクールウルトラタンク】
【パタゴニア/バギーズショーツ】
【アークテリクス/スコーミッシュフーディ】
今回はトレランスタイルで動き続ける想定のレイヤリング。もし、のんびり休憩を含めた計画なら、薄手のインサレーション(防寒着)を1枚ザックに忍ばせておくと安心だ(※Tシャツは暑くて脱いでいることの方が多かった。)。

レインウエア、ヘッドランプ、行動食やファーストエイドキットなど必需品のほか、真夏の暑い時期に行くなら、水は多めにもったほうがいい(今回は1.5Lを携行)。携帯浄水器を持っていくと、冷たい湖の水をその場で補給しできるのでおすすめだ。

トレイル情報「ガリバルディ・レイク(Garibaldi Lake)」

  • 距離:往復約18km
  • 標高差:約900m
  • 所要時間:7〜8時間
  • レベル:中級(体力は必要だが、危険箇所は少ない整備されたトレイル)
  • パーキング「Rubble Creek Trailhead
  • 予約情報:非常に人気のある登山口のため、夏季のアクセスにはBC州立公園の事前予約(車両ごとのデイパス)が必要な曜日がある。
2026年シーズンのルール: 612日~1012日の「金・土・日・月」および祝日にオンラインでの事前予約(無料) が必要。利用日の2日前、朝7:00に枠がリリースされるので、週末を狙う方は事前の準備を忘れずに(そのほかの曜日は予約不要)。詳細:BC州の公式ページ
【トレイルコンディション】2026522日には、トレイル上にまだ少量の雪が残っていたが、踏み固められておりチェーンスパイクなどは不要なレベル。625日に再度訪れた際には雪は完全に溶けていた。例年コンディションは変わるので、SNSやトレイルアプリ等で最新情報をチェック。

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PROFILE

寺井杏雛

寺井杏雛

山で遊びながら育ち、そのままの想いで学生時代も自然のなかへ。クライミングにマウンテンバイク、ハイキング——気づけばいつも山が遊びの中心にあった。現在はカナダ・ブリティッシュコロンビア州スコーミッシュを拠点に、山とともにあるライフスタイルを楽しんでいる。

寺井杏雛の記事一覧

山で遊びながら育ち、そのままの想いで学生時代も自然のなかへ。クライミングにマウンテンバイク、ハイキング——気づけばいつも山が遊びの中心にあった。現在はカナダ・ブリティッシュコロンビア州スコーミッシュを拠点に、山とともにあるライフスタイルを楽しんでいる。

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