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デサント オルテラインの黒いトレックガードを履き、コンクリートの階段に立つ足元

山で培った機能は、街でどう姿を変えるのか。デサントオルテラインのウルトラスエードシリーズ

朝、玄関で足を入れ、舗道へ出る。スエードを思わせる柔らかな表情の下から、厚みのあるソールが覗く。つま先には補強材が回り込み、カカトにはパーツが張り出す。端正なパンツの裾に収まっても、アウトドアシューズの構造は消えない。街の光のなかに、山のために生まれた輪郭が静かに残る。

デサントが2026年秋冬に展開する「Ultrasuede SERIES(ウルトラスエードシリーズ)」は、同じウルトラスエードを異なる靴型に用いた3モデル。共通するのは、アウトドア由来の合理性を、街で履く靴へ組み替える視点だ。

その設計をたどると、足を入れる瞬間から舗道を歩き、また靴を脱ぐまでの小さな動作が見えてくる。街の一日に置かれても、山で育まれた考え方は細部に息づいている。

文◉VINAVIS

ウルトラスエードが変える、アウトドアシューズの見え方

黒のトレックガードに使われたウルトラスエードとセンターファスナーの接写

3足のアッパーに使われるウルトラスエードは、東レのスエード調人工皮革。デサントが求めたのは、天然皮革のようなしなやかで滑らかな風合いだ。アウトドアシューズに由来する補強材や厚いソールがつくる強い輪郭を、街の服装になじむ表情へ整える。そのための素材選びである。

スエード調の柔らかな表情は、光の当たり方や合わせる服によって印象を変える。石や土の上を想起させる厚いソールも、ウルトラスエードと組み合わさることで、舗道や建物の陰影のなかに収まって見える。機能を隠すのではなく、街で眺められる輪郭へと変える素材だ。

もちろん、靴は身につけて歩き、繰り返し使う道具でもある。デサントはウルトラスエードについて、耐久性と軽さ、通気性を備え、手入れもしやすいと説明する。柔らかな風合いと、日々扱うための実用性。そのふたつが、山の構造と街の服装をつないでいる。

MTN SCAPE──舗道に残る、山の輪郭

ブラウンのマウンテンスケープを履き、白い建築物に腰掛ける人物

MTN SCAPE(マウンテンスケープ)は、クライミングシューズやアプローチシューズがもつ合理性と機能美を、ライフスタイルシューズとして組み直したモデルだ。

ブラウンのマウンテンスケープの側面とカカトのヒールスタビライザー

ヒール部分には、スキーのビンディングから着想を得たヒールスタビライザーを備える。スキーをルーツにもつデサントの背景は、その造形にもにじむ。履き口に設けられたふたつのタブは、クライミングシューズに由来するもの。足入れを助ける実用的なディテールで、歩き出す前の動作にまでアウトドアの合理性が息づく。

マウンテンスケープのつま先を覆う補強材とメッシュアッパー

視線をつま先へ移すと、TPU(熱可塑性ポリウレタン)を発泡させた補強材がアッパーを包む。耐久性を高めるための部材でありながら、その表面には和紙を思わせる質感を取り入れた。一方、アッパーに組み合わせたメッシュは、通気を確保し、蒸れを軽減するためのもの。補強と通気という異なる役割が、素材の切り替えとして外観に現れる。

マウンテンスケープに採用されたミシュラン製ラバーアウトソールの接写

靴底は、地面に接するミシュラン製ラバーアウトソールと、その上に重なるミッドソールで構成される。デサントによれば、前者にはグリップ力と耐久性、後者には軽さ、クッション性、反発力、安定性をもたせたという。厚みのある輪郭の内側で、異なる機能が歩行を支える。

デサントが掲げる「Form Follows Function(形状は機能に従う)」という思想は、山由来の部材とスエード調の表情を、街で履く一足へ組み直した設計に表れている。カカトから張り出す部材も、履き口の小さなタブも、信号を待つ足元や階段を昇る一歩では服装の一部として見えてくる。山の道具らしさを消さず、街の風景へ置き直した一足である。

マウンテンスケープ

黒とブラウンのマウンテンスケープを履き、建築物に腰掛ける二人の足元

ふたつの履き方がつくる、街の時間

デサント オルテラインの黒いトレックガードを履き、コンクリートの階段に立つ足元

素材と機能への向き合い方は、靴型が変わると別の景色を連れてくる。TREK GUARD(トレックガード)が手がかりにしたのは、伝統的な山岳向けの実用靴だ。

黒のトレックガードを斜めから見た商品写真

そのモデルとしたチロリアンシューズは、19世紀から20世紀初頭に山岳地帯の農民や狩猟者、登山ガイドなどに履かれていた。トレックガードはその再解釈であり、U字型のモカ縫い、厚いソール、外羽根構造を受け継ぐ。アッパーにはウルトラスエードを使い、摩耗しやすい部分には発泡させた熱可塑性ポリウレタン、アウトソールにはミシュランソールを組み合わせている。

センターファスナーを開いたトレックガードと内側の英字メッセージ

朝、玄関で中央のファスナーを引き上げる。見た目には山岳実用靴の重厚な輪郭を残しながら、脱ぎ履きには現代の方法を取り入れた。伝統的な靴の佇まいと、いまの暮らしの手順が、一本のファスナーの両側で出会っている。

トレックガード

黒のトレックガードを履き、窓辺に腰掛ける人物

黒と白のトレックイーズミュールをそれぞれ履いた二人の人物

対してTREK EASE MULE(トレックイーズミュール)は、カカトがオープンのミュール型。気軽に足を入れる形式に、ボリュームのあるミシュラン製ソールユニットを組み合わせる。その軽快さを保ちながら、足とのつながりを担うのが甲のアジャストシステムだ。デサントは、フィット感を調整することで、ミュール特有のカカトの浮きを軽減すると説明している。

白のトレックイーズミュールを斜めから見た商品写真

ウルトラスエードのアッパーは断ち切り・接着仕様とし、つま先には発泡させた熱可塑性ポリウレタンの補強を配置。簡潔な外観のなかにも、耐久性を意識したつくりがある。ブランドは、靴下でも素足でも履けるシーズンレスなモデルと位置づける。カカトが開いた形は足元に余白をつくり、同じ厚いソールにも軽やかな見え方を与えている。

トレックイーズミュール

黒のトレックイーズミュールを履き、光の差す床に座る人物

同じウルトラスエードを使いながら、マウンテンスケープは山岳由来の構造、トレックガードはファスナー、トレックイーズミュールは開いたカカトと調整機構によって、それぞれ異なる履き方を形にした。朝の移動にファスナーを選ぶか、ゆっくりした日にミュールを選ぶか。残す機能と変える履き方によって、足元に流れる時間まで少し違って見える。

アウトドアシューズの輪郭を、街の風景へ

草木を映す窓越しに、黒い服とシューズを身につけた人物が重なるモノクロ写真

山で培われた合理性は、街では歩行を考えた構造や、着脱を助ける仕組みへ置き換えられている。デサントの3足に共通するのは、機能を街のために薄めるのではなく、使う場面と履き方に合わせて組み直すこと。そこへウルトラスエードの柔らかな表情が加わり、機能的な輪郭を服装になじませる。

朝の舗道、駅へ向かう階段、休日の光が差す部屋。そのどこに置かれても、アウトドアシューズとしての成り立ちは、小さなタブや厚いソールに残る。ふと足元へ目を落としたとき、街の景色のなかに、遠い山の輪郭が重なる。

【デサント公式】
ウルトラスエードシリーズ特集サイト

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VINAVIS 編集部

VINAVIS 編集部

アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。

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