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政界随一の自転車事情ツウ、金子恭之国交大臣に聞く自転車の未来

金子恭之国土交通大臣は当選以来超党派の自転車活用推進議員連盟に所属し、事務局長、幹事長などの要職を務めるなど「自転車事情ツウ」としても知られる。現在は、国土交通省に設置された「自転車活用推進本部」の本部長として、政府全体の自転車行政のトップの立場にある。ここでは自転車専門メディア『バイシクルクラブ』の編集長・山口が、金子大臣のこれまでの自転車とのかかわり、そして未来について聞いてみた。(取材は2025年12月に実施)

金子大臣と自転車の接点は、自転車活用推進議員連盟との縁からはじまった

本題となるインタビューに入る前に、「自転車」というワードの範囲の広さを確認しておきたい。一般的に自転車という単語から思いつくことも、いわゆるママチャリを想像する人もいれば、ロードバイクを想像する人もいるなど多岐にわたる。さらに立場が変われば、健康にいいもの、楽しいものというポジティブなイメージを抱く人もいれば、ルールを守らない乗り物としてマイナスなイメージを抱く人までと幅広い。

今回、自転車専門誌「バイシクルクラブ」としてインタビューをするうえで、最初に金子恭之国土交通大臣が「どう自転車を捉えているか」が重要なポイントだった。そこで「自転車愛好家なのか、そうではないのか?」 さらに「自転車政策についてどう捉えているのか?」 といった目線がわからなければ、話がかみ合わなくなってしまうからだ。

編集部:まず、金子大臣がなぜ自転車に関わるようになられたのか、そのあたりからお聞きしたいのですが。

金子大臣:僕は田舎育ちなので、自転車は小学校・中学校のころからずっと乗っていました。一時期、ウインカーが付いていたり、ピンポンと音が鳴ったりする自転車があってね。「すごいな」と思って、粘って親父に買ってもらった経験があります。

そして、隣町の書道塾や英語塾にも自転車で通っていました。人口約2,000人の深田村(熊本県球磨郡、2003年にあさぎり村に合併)だったので、自転車がないと通えない。高校では、朝6時半過ぎに家を出て、20~30分かけて隣町の駅まで自転車で行き、そこから電車ではなく、ディーゼルカーで母校の人吉高校まで通っていました。大学に入るまで自転車は生活必需品でしたね。そのときはロードバイクまでは乗っていませんでした。

編集部:なるほど、フラッシャー自転車が流行っていましたからね。自転車愛好家ではないのに、なぜ自転車活用推進議員連盟に入られたんですか?

金子大臣:議連に入ったのはたまたまです。2000年6月に初当選して、先輩議員から「自転車活用推進議員連盟がある。若い人に入ってほしい」と誘われて入会しました。

まだロードバイクに本格的に乗る段階ではなかったですが、勉強しました。たとえば「通勤通学の駐輪場をどうするか」といった政策面にも関わって、国土交通省道路局の担当課長(当時)と浦安の駐輪場を視察に行ったりもしましたね。

当時の自転車活用推進議員連盟会長は谷垣禎一先生で、若いから汗を流せと言われて事務局次長に入れていただき、その後いろいろな入れ替わりを経て、事務局長も務めました。25年やっているので、その間、法律の改正にも取り組んだんですよ。超党派の議員立法で「自転車活用推進法」(2016年成立)を通したときも事務局長でした。

編集部:自転車とのつながりは自転車活用推進議員連盟からなんですね。では、自転車に“乗る側”としてはいかがですか?

金子大臣:はい。議連に入ったなら自分でも乗らないと、ということでサイクリングを楽しんでいます。地元に帰れば環境もあります。実家から自転車で2~3分のところに、人吉から湯前まで約30kmのサイクリングロードがありますので、朝から走ったりもしました。自転車は、最初は折りたたみのブリヂストン、その後にジャイアントのロードバイク、それからトレック、今は3台持っています。

頻繁には乗れませんが、サイクリング大会に出たりもします。私たちが出ると、皆さん喜んでくれるので、盛り上がりになればと思っています。最初は30kmくらいの初心者コースに参加し、その後80kmコースなども走ったことがあります。

地元熊本でのサイクリング大会にロードバイクで参加する様子 写真提供:金子恭之

編集部:80kmとなると相当な距離です。大会にも出られているんですね。

金子大臣:今年(2025年)12月に開催された天草の大会(天草一周!あまいちグランフォンド2025)で80kmのコースを走ろうと楽しみにしていたんですが、大臣になったこともあり開会式だけにしようと思っていたら、災害対応もあり、道路局をはじめとする省内の皆さんに代わりに参加してもらいました。

自転車に乗ることは、サイクルツーリズムとして地域活性化にもなります。自分で自転車に乗るだけではなく、協議会を作ったり、サイクルルートを増やしたり、矢羽根を増やしたり、道の駅にスタンドを置いたり、といった仕組みづくりをこれまで考えてきました。私の選挙区でも、サイクルツーリズム推進協議会が3つできました。人吉球磨、八代水俣、そして天草です。天草では「あまいちサイクリングクラブ」のような形でクラブもあって、いま2つのサイクリングクラブに顧問として入っています。

自分が中心というわけではないですが、中心の一人として自転車の活用を推進してきたと思っています。

海外視察でイギリス、オランダを訪問、「安全空間」の必要性を感じた

「自転車活用推進計画」閣議決定を記念して開催された「2018年青空総会」走行会の模様 写真提供:金子恭之

編集部:海外で自転車に乗られた経験はありますか?

金子大臣:衆議院国土交通委員会の視察でイギリスとオランダに行ったとき(2016年)、自転車にも乗りました。当初、予定にはなかったんですが、泉健太先生らと一緒に走ることになりました。イギリスは自転車専用道路があり、専用信号もありました。オランダはまさに自転車先進国だと感じました。日本は道路事情や都市の密集もあって、自転車専用道は難しいけれど、それでも自転車の通行空間は作らなければいけない、という思いは強くなり、法律に反映しようと思いました。

ここまで金子大臣の話を伺っていくと、自転車とのかかわりは議員としての仕事からだったが、そこから趣味の自転車についても勉強し、その楽しみを体験しながら理解されていることがわかる。元々自転車愛好家ではなかったが言葉の端々にスポーツ自転車を楽しんでいる様子を知ることができた。

引き続き政治家そして大臣として自転車の未来をどうしていくか? について聞いていく。

法律成立後の課題と、自転車行政の長として目指すこと

編集部:自転車活用推進法を成立されてどう感じていらっしゃいますか?

金子大臣:自転車活用推進法を作ること自体が大きな仕事でした。サイクリストからも、そういう法律を作ってほしいと、自転車活用推進研究会をはじめいろいろなところからお話がありました。さらに自転車というのは、健康にもいいし、自動車の渋滞の緩和にもなるし、エコだしといろいろな意味があります。

こうした多様な意味を踏まえて、自転車活用推進法に基づいて設置されている、自転車活用推進本部には国土交通省だけではなくて、環境省、警察庁、経済産業省、文部科学省など多くの省庁が入って、政府全体として自転車活用の政策を推進する体制が整っています。その体制を活用してよりいい政策をつくっていかなきゃいけない、というふうに思っています。

課題はいろいろあります。例えば、せっかく矢羽根があるのに、そこに自動車が駐停車をしているので、結局自転車はその車両を避けなきゃいけなくて危なかったりしますので、自動車との共存という課題があると思います。また、歩道を自転車でスピードを出して走ったり、車道を逆走していく人、あるいはイヤホンをして、スマホを見ながら行く人もいる。歩行者から自転車が危ない乗り物だと思われてはいけません。交通ルールを守って乗っていただくことが大事ですね。

編集部:これまでの法律を作る立場から、実際に行政の長となって、どんなことを実行していかれますか?

金子大臣:まずは、第3次自転車活用推進計画を取りまとめ、そして閣議決定させることだと思います。自転車活用推進法が成立した中、行政としては自転車活用推進計画を作って、それに基づいて仕事をしていく必要があるわけです。現行の第2次計画が今年度末で終わり、来年度(令和8年度)からは第3次の計画となります。

この第3次計画に盛り込む素案を作るにあたっては、議員連盟、自転車の団体など、多くの人たちから受けた要望を盛り込んでいます。

例えば、議員連盟の総会では議員だけではなく、自転車関係の団体、さらには自転車を使って地方創生をやろうという首長たちが一つになって活動している、自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会にも出ていただき、計画の議論をしました。

2026年の年明けからパブリックコメントをかけて、新年度に第3次計画を閣議決定する予定です。

(編集部注)第3次自転車活用推進計画(素案)パブリックコメントを募集中(2026年2月6日締切り

編集部:第3次自転車活用推進計画についてどうお考えですか?

金子大臣:来年4月から青切符の導入もあり、自転車交通ルールの意識は高まると思います。さらに、交通空白の問題、観光地のオーバーツーリズム、地方への誘客も課題です。四国でも、九州でも、欧米、あるいはアジアのサイクリストが増えています。カーボンニュートラル、地球温暖化なども含めて、自転車として貢献すべき地域の課題が多様化している、ということだと思います。

ですから、新しい第3次自転車活用推進計画では、交通安全の確保を図りつつ――ここは基本ですから――交通の安全をしっかり確保したうえで、自転車の役割を拡大させ、地域の課題解決に寄与しつつ、さらに活用を推進させることが重要であると考えています。そのためには、自転車活用の基盤であります、安全で快適な通行空間の整備、それから道路利用者全体の安全意識の醸成、交通安全教育の推進などによる交通安全の確保、地域交通や観光地域づくりと自転車との連携、地域の観光資源を楽しむサイクリングツーリズムの推進、そして自転車の利用促進による環境負荷の軽減――こうした点について、関係省庁と連携しながら議論を進めています。

新たな計画を策定した後には、国民の皆さまに自転車をさらに活用していただけるように、自転車活用推進本部の本部長として取り組まなければいけないと思っています。

先日の就任の際にも申し上げましたが、これまで国土交通省をはじめとした政府の自転車活用推進部門に、さまざまなお願いをしてきた立場の私自身が、今度は本部長として旗振りをしなければならない立場になりましたので――まさか自分が本部長になるとは思っていなかったので、私も驚いているところですが――自転車活用推進本部を中心に、政府一丸となって、引き続きしっかり取り組んでいきたいと思っております。

自転車に携わって25年で変わった実感

編集部:金子大臣が実際に自転車で走られて「あっ、ここはだいぶ変わったな」と感じるところ――25年前に議員になられて、議員連盟に入られた当時と比べて、実感として「このあたりは変わったな」という点はありますか。

金子大臣:サイクリストがどんどん増えています。意識しているからかもしれませんが、私の地元熊本でも、日本人のみならず、外国のお客さんが「自転車に乗るために日本に来る」という状況が出てきています。九州はアジアに近いので、その影響もあるんだろうと思いますが、欧米の人たちも含めて自転車に乗っています。そういう人たちが、ゆったりと、余裕を持って自転車で日本を回っていただいている姿を見ると、これは大きな変化だなと思います。

それと同時に、やっぱり矢羽根などの表示ができてきたことで、自動車に乗っている人たちも、「ここはサイクリスト、自転車に乗る人が走る場所なんだ」という意識づけができた、というのは、すごく大きいんじゃないでしょうか。何もなければ意識しませんけど、「なんだ、この矢羽根は」と見たら、自転車のマークが付いている。だから「あ、ここは自転車が走るんだ。気をつけなきゃいけないな」と思う。そういうところは、随分変わってきたんだろうと思います。

あとはヘルメットですね。ヘルメットを着用される方は徐々に増えてきていますが、安全に自転車に乗っていただくためには、やはりヘルメットは必須のものだと思っています。

それから、サイクルツーリズムとして、サイクリングを楽しむためにはやっぱり休憩所が必要なんです。例えば道の駅など、いろんなところにスタンドを設置していただいている、というのも良いことですし、サイクルトレイン、サイクルシップ、サイクルホテルをはじめ、サイクリストを呼び込むには、環境づくりが必要なわけです。高価な自転車に乗っている人に、「外に置いておけ」と言ったって無理です。少なくとも鍵がかけられる、あるいはロビーまで持ってこられる。そういう環境があってこそ、サイクリストを呼び込むことができるんだと思います。

レンタサイクルにしても、本格的なサイクリストたちは、ママチャリが置いてあっても、正直あまり楽しくない。「ここにはこんないい自転車が置いてあるんだな」というのがあれば、自転車を持たずに、手ぶらで来て乗っていける、ということもあると思います。

それに、サイクルルートもだいぶ進んできました。自転車活用推進計画の中でも、ナショナルサイクルルートというのがありますが、海外からお客さんに来ていただくためには、少なくとも自転車が安全に走行できる環境がある、というのは最低限の条件だと思っています。そうした条件を満たしていて、しかも風光明媚なところとして、今までに6か所のナショナルサイクルルートが整備されました。しまなみ海道も、琵琶湖もありますし、霞ヶ浦、富山、北海道にもあります。一方で、九州と東北にはまだありません。

来年度以降、新たなナショナルサイクルルートを増やす予定でもありますので、しっかり条件を満たして、外国から来た方にも「ナショナルサイクルルートを走ってみたいね」と思ってもらえるような場所を、いくつも作っていく必要があると思っています。その選定についても、今、進めているところです。

私自身、以前デンマークに行ったときに、地下鉄に乗ったら大きな自転車マークのあるサイクルトレインがあったり、駐輪場もしっかり整備されていたりと、自転車との共存が進んでいるのを羨ましく思ったこともあります。少なくとも我々も、海外から来ていただいた方に、安心して自転車に乗っていただくこと、そしてそれをいかに地域の活性化につなげていくか、ということが大事なんだと思っています。

編集部:いままでの自転車活用推進計画でかなり進んだ印象もありますが、まだまだやらないといけないことは多いですね。

自転車活用を盛り上げる表彰制度と国際会議「ベロシティ」開催へ向けて

令和7年度の自転車活用推進功労者表彰に登壇した金子恭之現大臣(当時は超党派 自転車活用推進議員連盟 幹事長)撮影:井上和隆

編集部:自転車活用推進本部として具体的に進めていく計画はありますか?

金子大臣:今後の自転車活用推進本部の目玉の一つとすれば、さきほども話題となりましたがやはりナショナルサイクルルートを整備して、外国から来ていただくということです。それから、毎年、本部として表彰も行っています。地域における自転車活用の牽引役として、特に顕著な功績がある方を、「自転車活用推進功績者」として表彰させていただいています。

例えば地域において、マウンテンバイクの取り組みをやってみたり、山を活用したイベントを行ったり、あるいは、サイクルトレインや、駐輪場、シェアサイクル、レンタサイクルなど、それぞれの地域で取り組んで頂いています。

編集部:マウンテンバイクでいえば山梨の南アルプス山守人や長野のTRAIL CUTTERが自転車活用推進功績者として受賞していますね。

金子大臣:また、自転車通勤に関して先進的な取り組みを行っているところについて、優良企業、あるいは優良自治体として認定しています。自転車で通勤する人に対して、ある程度のメリットを与えたり、シャワーなどを整備して、着替えをしてスムーズに仕事に行けるようにしたりという取組をして頂いています。こうした取組に対して表彰あるいは認定することで、一つの励みになっていただければと思っています。

自転車活用推進議員連盟の一員として「マウンテンバイク活用先進事例として山梨県立 武田の杜 MTBエリアを視察、体験した

金子大臣:それとですね、今回、非常に大きな動きがあったのは、世界から自転車関係者やサイクリストを日本に招くための、大きな国際会議やイベントを誘致しようという取り組みです。そこで、世界最大級の自転車に関する国際会議「ベロシティ(Velo-city)」の誘致に成功しました。来年(2027年)の5月に、愛媛県において、日本で初めてこのベロシティを開催することが決まったんです。

これは政府の自転車活用推進本部、また自転車活用推進議員連盟にとって、さらには日本にとっても、非常に画期的なことだと思います。アジア初の開催地として台湾で開催された際に、その開催地が自転車の“聖地”のようになった、という例もあります。もちろん、日本にも聖地はいろいろあって、しまなみ海道をはじめ、各地に魅力的な場所がありますけれども、しまなみのある愛媛で、このベロシティの誘致に成功したということは、愛媛はもちろんのこと、日本にとっても有意義なことです。

あっという間に時間が来てしまいますけれども、愛媛県の知事を中心に、我々もしっかり後押しをしながら、成功に導いていきたいと思っています。

編集部:もう少しお話を伺いたいところですが時間となりました。ありがとうございました。

今回のインタビューでは自転車活用推進法の成立まで、その後の第1次、2次自転車活用推進計画を経ての変化を総括、そして第3次自転車活用推進計画へ向けての金子大臣の姿勢を伺うこととなった。一般的な自転車利用者の目線として、自転車活用の原点に立ち返る意味で安全で快適な通行空間の創出、交通安全の確保をしながら、引き続き国内外の自転車愛好家に対してもナショナルサイクルルートやベロシティ開催など自転車を盛り上げる機運醸成にも力を入れる姿勢を具体的に聞くことができた。自転車のことを知る金子大臣だけに自転車に関する課題が山積という現実を把握しており、「自転車の未来」へ向けた自転車活用推進計画を進めていくことを期待したい。

取材は2025年12月、国土交通省大臣室にて行われた。金子恭之大臣とバイシクルクラブ編集長山口

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PROFILE

山口

Bicycle Club / 編集長

山口

バイシクルクラブ編集長。かつてはマウンテンサイクリングin乗鞍で入賞。ロード、シクロクロスで日本選手権出場経験をもつ。47歳を迎えた現在ではレースだけではなく、サイクリングを楽しむためために必要な走行環境やサイクルツーリズムなどの環境整備などにも取り組んでいる。

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