
アジア大会プレ大会でMTBシーズンが開幕 沢田時が副島達海との死闘を制す、女子は中国勢が圧倒
Bicycle Club編集部
- 2026年03月16日
2026年の「愛知・名古屋アジア競技大会」のマウンテンバイク会場となる愛知県名古屋市の小幡緑地にて、3月14日〜15日にかけて「Coupe du Japon 愛知 国際 2026(UCI Class 3)」が開催された。アジア大会の日本代表選考を兼ねた重要なプレ大会は、男子エリートで沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)が優勝。女子エリートは中国ナショナルチームが強さを見せつける結果となった。
女子エリート:アジア女王ウー・ジーファンら中国勢が圧倒的な支配力を見せる

7周回(26.16km)で行われた女子エリートは、アジアの頂点を見据える海外勢の厳しさを痛感するレースとなった。

レースは序盤から、2024年と2025年のアジア選手権を連覇している絶対女王ウー・ジーファン(中国)と、昨年の同選手権2位のリャン・ジェンラン(中国)らナショナルチーム勢が他を圧倒するペースで飛び出した。アジアトップクラスの2名がワンツー体制で独走し、力で蓋をするような展開に、追走を試みた若手(アンダー)選手たちは徐々に遅れを余儀なくされる。

日本勢としては、スタートこそ石田唯(TRKWorks)が好ダッシュを決めて見せ場を作ったものの、近代的なレイアウトのコースで細かいミスが連続してしまい、上位陣から徐々にタイム差を広げられてしまう。トップのウーが1時間24分44秒というハイペースで逃げ切る中、80%ルール(周回遅れ)が適用されるサバイバルレースとなり、石田はトップから+6分37秒遅れの8位。日本人選手として唯一、同一周回での「完走」を果たすにとどまり、強豪国との明確な現在地を確かめる開幕戦となった。

男子エリート:強豪中国勢が迫る中、三刀流・沢田と新鋭・副島による意地のぶつかり合い

8周回(29.86km)で争われた男子エリート。春の陽光が差し込むなかスタートが切られた。

レースは1周目を終えてトップに立った沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン)に対し、シクロクロス全日本選手権でも激闘を繰り広げた副島達海(TRKWorks)がピタリとマークする展開。序盤から中盤にかけては、副島がトップに浮上する場面も見られた。

しかし、レース中盤に副島が痛恨の転倒。これで勝負ありかと思われたが、副島は驚異的なリカバリーで単独で沢田に追いつき、再び首位争いは日本人2人のデッドヒートへ。しかしその後方からは、昨年のアジア選手権3位のユエン・ジンウェイ(中国)や、2025年アジア選手権ロードレース覇者でありXCOとXCEでも過去2度ずつアジアタイトルを獲得している超大物、リュウ・シェンジン(中国)らが不気味に秒差を詰めてくる息の抜けない展開となった。

勝負が動いたのは残り2周。後続のアジア王者クラスの足音が迫る中、「ここで決まらなければ負けだと思った」という沢田が、上りのテクニカルセクションで渾身のアタック。これで副島との間に5秒のリードを奪うと、最終周回にはその差を約18秒まで拡大。そのままフィニッシュラインに飛び込み、見事開幕戦を勝利で飾った。5秒差の2位に副島が粘り込み、そこからわずか1秒遅れの3位に猛追したユエンが入った。

選手コメント
沢田時(Astemo宇都宮ブリッツェン/優勝)
「ホッとした、というのが一番です。いくら練習を積んでいても開幕戦はライバルの強さもわかりませんし、自分のコンディションも測りかねていました。アジア大会のプレ大会ということで、今回勝ったことで恐らく代表も決定したかなと思いますので、本当に大きな一勝です。
今日のレースで一番強かったのは副島選手だと思います。彼が転倒して、一度は逃げ切れるかと思いましたが、単独で追いついてきて非常に強かった。正直かなりギリギリの展開で、ついていくしかできなかったのですが、唯一『ここならば自分が先行できるかもしれない』という上りのテクニカルなセクションがあり、そこまで我慢しました。思い切って踏んだら5秒ぐらい先行できて、残りは頑張って踏み切りました。
終盤に中国勢がかなり追い上げてきていて、9月のアジア大会本番は決して簡単にはならないと改めて感じました。来週の伊豆でのレースに向けて、しっかりリカバリーして良い走りができるよう調整したいです」
副島達海(TRKWorks/2位)
「最近のXCOらしい近代的なレイアウトで、スピード感があってやりようがいくらでもある、走っていて楽しいコースでした。ただ後半は少し垂れてしまい、スピードに対してコーナリングが追いつかず細かいミスが増えてしまったのが反省点です。
中盤の転倒は正直ダメージがかなり大きかったですが、とにかく“やれることをやろう”と切り替えました。今回は個人として勝ちたい気持ちもありつつ、国別対抗の意識も強くありました。沢田選手と協調して、お互い無駄に潰し合うより、日本勢でレースを作って表彰台を独占できたらと考えて走っていました。
終盤は中国の選手が本気で追い上げてきて脚は残っていませんでしたが、ここで負けるわけにはいかないというプライドと気合で逃げ切りました。次戦の伊豆もコンディションを整えて臨みたいと思います」
ユアン・ジンウェイ(袁晋伟/中国/3位)
「今回が初めての日本でしたが、到着したときからとても良い印象を受けました。景色がとても美しく、滞在中の食事や生活環境にもすぐに慣れることができました。
そのような環境の中で、今日のレースで3位に入ることができて、とても嬉しく思っています。チーム全員で積み重ねてきた努力が、結果として形になったと感じていますし、その過程は十分に価値のあるものだったと思います。
日本のレースは雰囲気も良く、良い経験になりました。次のレースに向けて、引き続き努力を重ねていきたいと思います。ありがとうございました」
Coupe du Japon 愛知 国際 2026 リザルト
男子エリート(29.86km)

1位 沢田 時(Astemo宇都宮ブリッツェン) 1時間24分24秒
2位 副島 達海(TRKWorks) +5秒
3位 ユアン・ジンウェイ(中国)
4位 リュウ・シェンジン(中国) +50秒
5位 竹内 遼(MERIDA BIKING TEAM) +53秒
6位 ワン・シェン(中国) +1分2秒
女子エリート(26.16km)

1位 ウー・ジーファン(中国) 1時間24分44秒
2位 リャン・ジェンラン(中国) +25秒
3位 サユ・ベラ・スクマ・デウィ(インドネシア) +2分46秒
4位 ガオ・ユアンパン(中国) +3分58秒
5位 ワン・ティン(中国) +4分20秒
6位 レイ・イン(中国) +4分24秒
8位 石田 唯(TRKWorks) +6分37秒
- BRAND :
- Bicycle Club
- CREDIT :
- 文:相原晴一朗 写真:井上和隆
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