
ワウト・ファンアールトが初優勝 相次ぐトラブル乗り越えポガチャルとの一騎打ちに勝つ|パリ~ルーベ
福光俊介
- 2026年04月13日
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ロードレース・春のクラシックのひとつ、パリ~ルーベが現地4月12日に開催され、ワウト・ファンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)がタデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)との一騎打ちを制して初優勝。フィニッシュ地ルーベのヴェロドロームまでもつれ込んだマッチアップに勝利した。史上最速スピードで進んだレースは、有力選手の軒並みトラブルが発生するなど、近年稀にみるタフな戦いになった。
コースの約20%を石畳が占める
パリ~ルーベ第123回大会は、パリ郊外の街・コンピエーニュから北上し、ルーベに到達する258.3kmで争われた。95.8km地点から「パヴェ」と呼ばれる石畳の路面が始まり、その後は短いスパンで断続的にパヴェをクリアしていくことになる。セクション数は30を数え、パヴェ区間の総距離は54.8kmに及ぶ。
同地のレース時の天候は晴れで、気温は15度前後。南からの風を受けたプロトンは、ハイスピードでレースを進めていくこととなった。

最大の難所でマチューにトラブル発生
リアルスタート直後から多くのアタックがかかったが、どれも集団の容認を得るにはいたらない。一時は10人以上が先行する場面があったものの、すぐに集団が追いつき、出入りの連続が長く続いた。
スタートから1時間が過ぎたところで集団が分断し、ワウトやポガチャル、マチュー・ファンデルプール(アルペシン・プレミアテック、オランダ)らが後方に取り残されたが、労せず前線復帰。逃げが生まれないまま、パヴェ区間へと突入していくこととなった。
パヴェでは、選手同士の接触や落車が各所で発生。優勝候補のひとり、マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)やワウトがパンクに見舞われ、バイク交換の後集団へと戻っている。
ハイスピードを維持する集団は、やがてUAEチームエミレーツ・XRGがコントロール。パヴェ通過のたびに人数が絞られていき、スタートから100kmを超えたところで60人ほどまでに絞られた。
そうした中、ポガチャルにパンク発生。パヴェ通過時のトラブルでチームカーが追いつけず、強引に走り続けた結果ホイールを破損させてしまった。ニュートラルサポートからバイクを受け取って状況をしのいだのち、チームカーからスペアバイクを受け取ってリスタート。25kmを要しながら集団へと復帰した。

迎えるは3カ所ある5つ星パヴェのひとつ、アランベール。2.3kmのパヴェ区間では、ワウトが先頭に立ち、すぐ後ろにマチューとポガチャルが続く。しかし、この中間部でマチューが前輪パンク。チームメートからバイクを借りて走り出すもクリートがペダルにはまらず、自身のバイクで再出発を試みる。タイヤを交換し走り出したものの再度パンクし、チームカーからスペアバイクを受け取ったときには、先頭との差が2分以上に広がっていた。

ワウトがヴェロドローム決戦を制し初優勝
アランベールでのワウトの牽きに追随できたのはポガチャルやピーダスンら7人。先頭交代をしながら先を急ぐが、ポガチャルとワウトが再びパンク。ピーダスンがペースアップを試みたがうまくいかず、バイク交換をした2人は10kmほどをかけて復帰。
その直後、難易度の高い4つ星パヴェの直前でワウトがアタック。これをポガチャルとピーダスンがチェックすると、今度はポガチャルがカウンターアタック。ピーダスンが遅れ、ワウトとポガチャルのマッチアップに。2つ目の5つ星パヴェ、モンス=アン=ペヴェルでのポガチャルのアタックは決まらず、ワウトが冷静に対処した。

2人が逃げる後ろでは、マチューが猛追し第2グループまで浮上。先頭との差は45秒で終盤へと入っていく。快調に飛ばすワウトとポガチャルは、3つ目の5つ星パヴェのカルフール・ド・ラルブルもクリア。マチューらのグループとは少しずつタイム差が縮まっているが、両選手の脚を考えれば逃げ切りは濃厚。優勝争いはマッチスプリントにゆだねられた。

最後のパヴェセクションを抜けると、残りは1.4km。ワウトがポガチャルの後ろに入り、プレッシャーをかける。その形勢のままルーベのヴェロドロームに入ると、残りは1周半。互いに見合ったままバックストレートを走ると、フィニッシュまで半周となったところでワウトがスプリント開始。ポガチャルの抵抗をかわして前に出ると、初めてのパリ~ルーベ制覇を決めた。

かつての仲間に捧げる勝利
2022年大会での2位を最高に、過去2回表彰台に上がった経験のあるワウト。これまで多くのレースであと一歩勝ち切れず、「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、ついにクラシックの最高峰で人生最大の勝利を挙げた。
フィニッシュ直後に泣き崩れたワウトには、4位で終えたマチューのほか、要所での好アシストに加えて自身も5位で終えたクリストフ・ラポルトらが祝福。フィニッシュ時に高く掲げた右手人差し指は、自身が初出場した2018年大会でレース途中に倒れ命を落としたマイケル・ホーラールツに捧げたものだった。

クラシックレースにおける最高の格式を有する5つのレースすべてでの優勝が懸かっていたポガチャルは、昨年に続く2位。2度のパンク時に追走で脚を使ってしまい、最後はワウトとスプリントで対峙する脚がなかったという。

トップ2から13秒置いて、3位にヤスペル・ストゥイヴェン(スーダル・クイックステップ、ベルギー)が続き、史上初の4連覇がかかっていたマチューは4位だった。
25チーム・175選手が出走したレースは、最終的に140人が完走。勝者ワウトの平均スピード48.91kmは大会史上最速だった。
パリ~ルーベ優勝 ワウト・ファンアールト コメント

「私にとってすべてが込められた優勝だ。2018年に初めて出場したとき、チームメートのマイケル・ホーラールツが亡くなって、それ以来ずっと目標のレースにしてきた。この勝利はマイケル、彼の家族や友人、かつてのチームメートに捧げたい。
今日は本当にタフな1日だった。今までこのレースでは何かしらの不運に見舞われていたが、そのたびに多くのことを学んでいた。今日はパンクしたときでも勝てると信じていたし、その通りになった。
世界チャンピオンと競り合っての優勝ほど美しい勝ち方はない。タデイは真のチャンピオンで、私を最後まで苦しめた。彼に勝てたことは本当に特別だ。
ヴェロドロームに入ってから計画通りに走ることができた。準備段階で何度もこのスプリントをイメージし、トレーニングしてきた。今日もっとも大変だったことは、最後のスプリントではなくヴェロドロームにたどり着くことだった。タデイは何度もアタックを仕掛けてきて、ついていくのが精いっぱいだった。過去の経験が今日の勝利に結びついたと感じている」
パリ~ルーベ2026 結果
1 ワウト・ファンアールト(チーム ヴィスマ・リースアバイク、ベルギー)5:16:52
2 タデイ・ポガチャル(UAEチームエミレーツ・XRG、スロベニア)ST
3 ヤスペル・ストゥイヴェン(スーダル・クイックステップ、ベルギー)+0’13”
4 マチュー・ファンデルプール(アルペシン・プレミアテック、オランダ)+0’15”
5 クリストフ・ラポルト(チーム ヴィスマ・リースアバイク、フランス)ST
6 ミック・ファンダイケ(レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ、オランダ)ST
7 マッズ・ピーダスン(リドル・トレック、デンマーク)ST
8 シュテファン・ビッセガー(デカトロン・CMA CGM チーム、スイス)+0’20”
9 ニルス・ポリッツ(UAEチームエミレーツ・XRG、ドイツ)+2’36”
10 マイク・トゥーニッセン(XDS・アスタナ チーム、オランダ)ST
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- Bicycle Club
- CREDIT :
- TEXT:福光俊介 PHOTO: Clàssica Comunitat Valenciana Unibet Rose Rockets
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