
熊の暮らしと私たちの山歩き vol.01|知床ヒグマと登山者が守りたい対策
ランドネ 編集部
- 2026年07月06日
山には命が暮らしています。そこにおじゃまする私たちが、知っておきたい熊のこと。各地域の専門家をたずねて、話を聞く連載です。
北海道・知床の森 ヒグマの住処へおじゃまするときに


ヒグマの生息地域として有名な北海道の知床半島。生息数は2020年に約400頭と推定され、北海道内でも突出して多く、世界的にもヒグマの生息密度がとても高い場所だ。
「知床連山は、ヒグマに象徴される雄大な生態系や美しい自然が広がっている。しかし登山をする場合は、いつでも・どのルートでもヒグマに遭遇する可能性があるので、しっかりと対策をしたうえで楽しんでほしい」と渡邊寛明さん。
知床のヒグマと登山中の3つの対策
登山中の対策としては大きく3つ。
①熊鈴や声出しなど音を出して存在を知らせる。
②周囲の音やようすをよく確認しながら歩く。
③複数人で行動する。
あとは、持っている食べものは密閉袋に入れたほうがよい。
また、整髪料や化粧品、シンナーなど自然界にない香りにも興味を示すため、ニオイを発するものは極力避けたい。とはいえ、対策を行なっても、ヒグマに襲われる可能性を0にすることはできない。
なので万が一のときのために、クマ撃退スプレーは最終手段として携帯必須だ。知床の各ビジターセンターなどでは、いざというときに使用できるように使い方をレクチャーし、レンタルを行なっている。



なぜヒグマは人のいる場所に出てくるのか
そもそもヒグマは臆病な動物。なぜ人のいる場所に出てくるのだろう?
「知床のヒグマは海と森を行き来して生きています。人と遭遇する理由はおもにふたつあります。ひとつは熊の通り道にある道路に出てしまう、自然なことです。もうひとつは、人の食べものやゴミのニオイにつられるケース。漁業の町ならではで、干した魚の匂いに誘われたり、ゴミの味を学習してしまうことです」。
さらに大人のオス熊は小熊殺しの習性があるため、弱いメス熊や子連れの母熊は安全のために、あえて人間がいる場所(オスが来ない場所)で生活する賢い個体もいるという。
そして、人里や市街地で物を壊す・食べものを奪うといったエスカレートした行動をとってしまうヒグマを「問題個体」と呼び、捕獲せざるを得ないそうだ。
知床では、ヒグマに関する安全管理対策について、専門家や地域関係者が集まり、検討。
「関係機関が協力して、ヒグマの管理として問題個体の捕獲や全体数を把握しているほか、利用者への正しい知識の普及にも力を入れています」
「ヒグマの住処におじゃまする」という合言葉
知床には「ヒグマの住処におじゃまする」という合言葉がある。
「私たちが彼らの生活圏に入っていくのだという謙虚な心をもち、しっかりとした対策をしたうえで、知床のすばらしい自然を存分に楽しんでいただきたい。そして、熊を目撃したら必ず知床財団や自治体に報告を。登山者の情報は次の事故を防ぐ大切なデータになります。ぜひご協力をお願いします!」
教えてくれたのは

環境省ウトロ自然保護官事務所
渡邊寛明さん
「この自然を多くの人に楽しく体験をしてほしい」と環境省に入省。ウトロ自然保護官事務所で登山道の管理やヒグマ対策の情報発信などを担当
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PROFILE
ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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