
The NEXT STAGE 新たな地平へ 宮里優作
EVEN 編集部
- 2026年08月27日
変化と進化を繰り返しながら、その先に広がる“新たな地平”に挑む宮里優作プロのインサイドストーリー。二度目のクラブフリーとなって2シーズン目を迎えたショットメーカーに、最良のアイアンを見極めるポイントを聞いた。
クラブ選びは生命線
それはたぎるような情熱と止めどない向上心
今回は、主にアイアンの選び方について。まずは二度目のクラブフリーとなった2025年から使用したアイアンを時系列で教えてほしい。
「昨シーズンのスタートは、前年まで使っていた当時最新のブリヂストン。これが飛び過ぎて、グリーン上でスピンが効かなくなったので、5月から高さで止めるキャロウェイにスイッチ。年内いっぱいは使っていましたが、やがて縦距離がバラつくようになったんですね。それを何とかしたくて、2026年は8年くらい前に欧州ツアーで使っていた古いブリヂストンを引っ張り出しました。操作性が良いんですよ。曲げたいように曲がるし、縦距離も合わせやすい。けれど現在はヨネックスです。ここのクラブも欧州ツアー時代に使っていました。現地の強い風に負けないショットを打てるアイアンが欲しくて」
ヨネックスは少数派?
「ブリヂストンスポーツ(以下、BS)にいたクラブ開発者の稲垣稔君がヨネックスに移って、『いつか優作さんのためにクラブをつくりますよ』と言ってくれていたのが、ようやく実現したみたいで。僕好みのソール形状で、顔も良いです」
ブリヂストンの旧アイアンは個人のストック?
「パターはかなりの数を持っていますけれど、アイアンはメーカーにお返ししているので、手元にあるのは3セットくらい。特に気に入ったものを残しています。今年使った古いアイアンは、この連載にも登場したことがあるBSの升川君の遺作なんです(注:クラブ開発者の升川泰祐氏は2021年に急逝)。ボールが進化していくので、過去の優れたクラブが現代の基準に合い続けるとは限らないですけれど」
BSのクラブテストに参加したと聞いたが、他メーカーのテストにも参加しているのだろうか。
「他は行かないですね。BSのような芝から打てるテストセンターを持っているところを知らないので。BSとはクラブ契約をしていませんが、テストのご要望があれば引き続きうかがうようにしています」
BSが優作をテストに招く目的とは? 評価における言語化スキルの高さを求めているのだろうか。
「どうでしょう。ただ、実際のところ開発能力を持つ選手は少ないようだし、クラブ契約がある選手は悪い感想を口にし難いので、フリーの人間のリアルな声を聞きたいんだと思います」
クラブフリーとなる決断をして賞金王を獲得した優作自身の実績によって、ツアープロのクラブフリー化が促進したところがあると思うが、そのあたりはどう捉えているだろうか。
「その時点で自分の感覚にいちばん合うクラブを使えること。そのメリットを享受したいプロが増える傾向は今や世界的ですよね。日本でも賞金王になる選手はクラブフリーばかり。それだけプロにとってクラブは、契約よりも大事ということです。メーカーによって一長一短があるのは止むを得ないし、同じクラブばかり使っていたらクラブの理解度も上がらないから、クラブをフリーにするプロは減らないでしょうね。個人的には、選手が使いたいクラブがわかりやすくなったので、メーカーにとっても良いことだと思います」
話をアイアン選びに戻して、良し悪しを見極めるポイントとはどんなものだろうか?
「違うと感じるポイントから話すと、打ちやすさを感じながら飛距離が出ないものには違和感を覚えます。操作性に関しては、フェードを狙って逆に出るクラブは論外。最近のオートマティックなクラブも難しい。プロは結果と原因を正しく見極めたいので、仮にダフッたらダフッた球が出てほしいんです。感覚がおかしくなるから。なので、クラブが積極的に仕事をしてくれるビギナーにお勧めのクラブも使えません」
それらの逆の要素を持つのが理想のクラブになるのだろうが、先に説明してもらったアイアン変更の理由からも察せられるように、次から次へと課題が発生しなければ、あるいはアイアン選びから解放されるのではないだろうか?
「課題は続々出てくるんです。同じスイングをしていても当たらなくなる時があったり、スイングを変えたら違うアイアンを試してみたくなったり。だからこそいろんなアイアンを試して、クラブという道具をよく知るのが大事になります。クラブフリーにデメリットがあるとしたら、いろいろ使えることで決め切れなくなることですかね」
それを踏まえた上で、クラブを決めるポイントとは?
アイアンは自分の感覚に合わせたほうが良い
「アイアンに関しては、自分の感覚に合わせたほうが良いですね。ピンを狙っていくクラブだから、クラブに合わせると感覚がズレると思います。できればドライバーも同じように打ちたいけれど、アイアンとは違うスイングをしなければならないので難しいんですよね」

優作が言う感覚とは?
「目の前のライに対してこう出したいと思う球と、実際に出る球の、イメージと現実の幅。それが大きくなり、自分の感覚との狂いが生じると試合で戦えません。なおかつ感覚は、様々な状況と向き合う試合中に出てくれないと意味がない。だからプロにとってクラブ選びは、掛け値なしの生命線になります。こんな話、アマチュアの参考になりませんよね」
それほど切羽詰まった条件が課されるのがプロだとしても、優作自身はクラブ選びを楽しんでいるように見えるが?
「そこは、たぎるような情熱と止めどない向上心があると言ってもらいたいですね。昨年末に亡くなったジャンボ(尾崎)さんがそうでした。毎日クラブを触って、ああでもないこうでもないと研究し続けていたんです。クラブをつくる人よりクラブに詳しかった。プロはそうでなければと思わされたので、僕もクラブに情熱を傾けているんです」
アイアン選びに関してもう一つ。「お勧めは日本製。日本のものづくりを信頼する外国の選手も増えています」
Profile

1980年生まれ、沖縄県出身。2003年にツアープロデビュー。2013年のツアー最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」で初優勝を遂げる。2017年にはシーズン4勝を挙げて賞金王のタイトルを獲得。2年間の欧州ツアー(現DPワールドツアー)挑戦を経て、2020年から再び国内ツアーを主戦場にしている。[大和ハウス工業所属]
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スタイリッシュでアスリートなゴルファーのためにつくられたマガジン。最旬のゴルフファッション、ギア、レッスン、海外ゴルフトリップまで、独自目線でゴルフの魅力をお届け。
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