BRAND

  • FUNQ
  • ランドネ
  • PEAKS
  • VINAVIS
  • フィールドライフ
  • SALT WORLD
  • EVEN
  • Bicycle Club
  • RUNNING style
  • FUNQ NALU
  • BLADES(ブレード)
  • flick!
  • じゆけんTV
  • buono
  • eBikeLife
  • Kyoto in Tokyo
  • タビノリ

STORE

  • FUNQTEN ファンクテン

MEMBER

  • EVEN BOX
  • PEAKS BOX
  • Mt.ランドネ

北米最南端のフィヨルドを望む。バンクーバーからクルマで40分、ブランズウィック・マウンテンへ【WILD & LOCAL / CANADA #2】

ノースショア最高峰を目指した長い急登の末、霧に包まれた山頂にたどり着く。

しかし、想定外のごほうびが下山中に待っていた。

カナダ西海岸、ブランズウィック・マウンテンにて本格ワンデイ・ハイキング!

文◉寺井杏雛
写真◉竹内天平
編集◉VINAVIS

バンクーバーのアウトドアカルチャーを象徴する「ノースショア」

▲トレイルの序盤にて。キャッチーな標識が旅の始まりを告げてくれる。

カナダ・バンクーバーからクルマでわずか40分。ハウ・サウンドと呼ばれる入り江沿いの道を北上した先に、ノースショア山脈最高峰のブランズウィック・マウンテンがそびえ立つ。往復約14.3km、標高差は約1,550mだ。

バンクーバーの北に位置するウエストバンクーバーやノースバンクーバー。その街並みの背後に立ち塞がる山脈群は「ノースショア山脈」と呼ばれ、ブランズウィックはその西側、ハウ・サウンド沿いに位置する。

大きな特徴は、海抜ゼロから突き上がるような急峻な山容と、容赦のない急登。これは太古の氷河が、細長く深い入江(=フィヨルド)を削り出したときに生まれたものだ。また、海からの風が直接山肌にぶつかるため天候が急変しやすく、山頂付近はとくに濃霧に包まれやすい。

そんな地理的にも気候的にも険しい山々が、都市のすぐ隣にある。こうした険しい山々を、日常の延長のように走り、歩く人たちも多い。私には、この「気負わないのに、やっていることはとてつもなくハード」というスタイルこそ、バンクーバーのアウトドアカルチャーそのものだと感じる。

街のすぐそばにある過酷な自然と、そこで遊ぶ人々の日常。この独特な空気感から生まれたのが、世界的なアウトドアブランド「アークテリクス」だ。彼らがこの山々をテストフィールドにし続ける理由は、そこに行けば自ずと理解できる。

湿潤な森のなかで

▲苔を纏ったおしゃれな木。私も意図せず「木」みたいなカラーリング。

序盤は視界を遮る深い木々に包まれ、ひたすら森の中で高度を稼ぐ。
海から運ばれた湿った空気が、肺に届くのを感じる。
不思議と、急登でも息がしやすい。

ふかふかとした苔を纏った木々は、個性的な洋服を着ているようで、見ていて飽きない。
視線を落とせば、バナナスラッグと呼ばれる手のひらサイズの巨大ナメクジや、色鮮やかなディア・ファーンと呼ばれるシダ植物が現れる。

▲左)かわいげのある触角をもつ白色のバナナスラッグ。バナナという名前のとおり、黄色い姿を想像するが、このあたりではめずらしい真っ白な個体に出合うことができた。右)この土地ならではの動植物たちがトレイルを彩る。

霧のなかで迎える山頂

森を抜けると視界が一気に開け、足元も土から岩へとガラリと変わる。
同じ急登でも、ここまで一気に雰囲気が変わると新鮮で楽しく感じ、少し足取りが軽くなる。

▲山頂が近づいていることを感じさせる足元。慎重に、でも足取り軽く。

しかし、油断は禁物だ。
山頂へと向かうにつれて切り立ち、危険度も増していく。
ここからは足を滑らせれば大きな事故につながりかねない岩場が出てくる。最後は手も使って岩を登るスクランブリングになるため、雨や濃霧などコンディションが悪い日は慎重な判断が必要だ。

▲山頂直前の岩歩き。視界の悪いなか、慎重に差し歯を選びながら高度を上げる。

スクランブリングを終えると、いよいよノースショアの最高峰へ。
本来望めるはずのハウ・サウンドの景色はお預けだが、立ち込める霧が岩山の荒々しさを際立たせる。

▲ブランズウィック・マウンテン山頂にて。こんな表情の山頂も悪くはない。

霧と風がじわじわと体を冷やすので、長居はできない。早々と山頂をあとにする。

霧が抜けたとき

山頂直下のスクランブリングを終えると、一気に風が当たらなくなった。この風の変化は、海から突き上げるような山の地形を感じさせてくれる。

まだ足元が岩なので、落石や転倒に注意しながら慎重に高度を落としていたその時、ふと顔を上げると──そこにはハウ・サウンドの静かな海が広がっていた。

▲目の前に見えているのは、氷河によって深く削られたフィヨルド。その海岸線から一気に標高を上げるように山が連なっているのを実感する。

霧が晴れたのだ。山の目まぐるしい天気の変化は「厳しさ」だけでなく、時に「想定外の喜び」ももたらしてくれる。

それにしても、山の上にいながら目の前に広がるのは「海」。なんとも不思議な感覚だ。
本当に「海からまっすぐ立ち上がるような山」を登っていたのだと実感する。

ブランズウィック・マウンテンはノースショア山脈の一峰にすぎず、その背後には数多くの峰々が連なっている。大都市のすぐそばに聳えるこの過酷な山塊こそが、バンクーバーのアウトドアカルチャーを育んできたのだと、肌で感じる山行となった。

旅の締め括りはローカルに愛される「ジェネラルストア」へ

▲ライオンズ・ベイ・ジェネラルストア & カフェ(この写真はハイキングとは別日)。

旅の後はトレイルヘッド近くの「ライオンズ・ベイ・ジェネラルストア & カフェ」で一休み。ジェネラルストアとは、街の小さな「なんでも屋さん」のようなもので、ここではそこにカフェが併設されている。

▲店頭には地元で作られた食品や、地元の名前(Lions Bay)のロゴが入ったTシャツなど観光グッズも並ぶ。

近所の子どもたちがふらっと遊びに来るいっぽうで、旅の途中と思われる客も立ち寄る。地元の人の日常と、旅人の休憩場所が同居しているような場所だった。
山を歩き終えたあとに、この土地の日常を少しだけ覗くような気持ちになれる場所だ。

Lions Bay General Store and Cafe

  • 住所:350 Centre Road, Lions Bay Vancouver, BC, Canada V0N 2E0
  • 営業時間:9:00~18:00

Information

今回の装備

【6月上旬 曇り(街は晴れ/曇り)】

今回私は、トレランのスタイルをベースに、15Lのパックに装備をまとめた。
化繊のインサレーションを休憩時などの防寒用に準備したつもりだったが、想定よりも寒かったため行動中も着用していた。
濃霧が発生しやすく変わりやすい天候エリアなので、レインウエア、ヘッドランプ、行動食やファーストエイドキットなど必需品のほか「防寒対策」をしっかりとしたい。
また、地図では沢を横切っているが、今回は水を補給できるようなところは見当たらなかった。必要な飲料水は多めに持参したい。

▲トレイルヘッドに水道はある。

トレイル情報

  • 距離:往復約14.3km
  • 標高差:約1,550m
  • 所要時間:7~9時間
  • レベル:上級
  • パーキング「Sunset Trailhead Public Pay Parking
    有料駐車場で台数が約15台と少ないため早朝に着くといい。

距離は約14kmと数字だけ見ると歩けそうに感じるが、標高差は約1,550m。急登が長く続き、山頂付近ではスクランブリングも伴うため、十分な時間と体力に加え、岩場を安全に通過できる経験が必要だ。

トレイルコンディション

2026年6月10日には、トレイル上にはほとんど雪は残っていなかった。年によってコンディションは変わるので、SNSやトレイルアプリ等で最新情報をチェック。

SHARE

PROFILE

寺井杏雛

寺井杏雛

山で遊びながら育ち、そのままの想いで学生時代も自然のなかへ。クライミングにマウンテンバイク、ハイキング——気づけばいつも山が遊びの中心にあった。現在はカナダ・ブリティッシュコロンビア州スコーミッシュを拠点に、山とともにあるライフスタイルを楽しんでいる。

寺井杏雛の記事一覧

山で遊びながら育ち、そのままの想いで学生時代も自然のなかへ。クライミングにマウンテンバイク、ハイキング——気づけばいつも山が遊びの中心にあった。現在はカナダ・ブリティッシュコロンビア州スコーミッシュを拠点に、山とともにあるライフスタイルを楽しんでいる。

寺井杏雛の記事一覧

No more pages to load