
走る時間も、暮らす時間も。MOUNTAIN MARTIAL ARTSの“デニム”がつなぐ日常の延長線
VINAVIS 編集部
- 2026年09月11日
色落ちしたインディゴ、フロントを横切る切り替え、いくつものポケット。写真に写るジャケットとショーツは、着込まれたデニムのセットアップのように見える。
ところが、どちらにもデニム生地は使われていない。MOUNTAIN MARTIAL ARTS(マウンテンマーシャルアーツ、以下MMA)が仕立てたのは、機能素材のDot Air(ドットエアー)を使ったウインドシェルとランショーツだ。
この少し意外な取り合わせから、MMAが日常とアクティビティのあいだに描いてきた風景をたどってみたい。
文◉VINAVIS
MMAのデニム、その中身は軽やかな機能素材

MMAが展開するデニムモチーフのランニングウエア。今回登場する「MMA Denim Wind Shell(MMAデニムウインドシェル)」と「MMA Denim Run Shorts(MMAデニムランショーツ)」に共通するのは、リアルなヴィンテージデニムの表情を全面にプリントした外観だ。
色落ちや擦れまで表現されたその姿は、上下で合わせればデニムのセットアップにも見える。ウインドシェルにはデニムジャケットを思わせる切り替えやボタン、ポケットが並び、ランショーツも同じトーンでまとめられている。近くで見れば、デニムらしい濃淡や擦れの表情が目に入る。一方で、実際の生地は厚手のコットンではない。服の輪郭やディテールは日常着に寄せながら、素材は走るためのものへ置き換えられている。
その見た目を支えているのは、両モデルともポリエステル100%のドットエアー。通気孔を備えた薄く軽量な生地で、2WAYストレッチ性ももつ。機能的に置き換えられているのはデニムそのものではなく、デニムの「見え方」だ。
長く普段着として親しまれてきたデニムの表情を残しながら、身体を動かす場面に適した素材へ移し替える。クラシックな見た目と、薄く軽量な機能素材。その視覚的なギャップが、この2型の個性になっている。
いずれも9月下旬、マウンテンマーシャルアーツ公式サイトでの発売を予定している。
MMA Denim Wind Shell(MMAデニムウインドシェル)

- ¥49,500
- サイズ:1(S)〜4(XL)
- カラー:ワンカラー
- 本体:ポリエステル100%(ドットエアー)
別布:ポリプロピレン92%、ポリアミド8%
MMA Denim Run Shorts(MMAデニムランショーツ)

- ¥27,500(レギュラー)
¥28,600(タイプR) - サイズ:0(XS)〜5(XXL)
- カラー:ワンカラー
- 本体:ポリエステル100%(ドットエアー)
タイプRライナー:ポリエステル87%、ポリウレタン13%
見た目はデニム。設計はランニングウエア

ウインドシェルのフロントには、風の入り込みを抑える比翼を設け、ファスナーをセンターからずらして配置している。ファスナーは上下から開閉でき、走行時の体温調節にも対応。襟には簡易フードを収納し、ボタンと左右のポケットを備えたリラックスシルエットに仕上げている。走行時のための機能と、日常着を思わせるディテールが同じ一着のなかに同居している。
ドットエアーの通気性と2WAYストレッチに加え、生地には撥水加工も施されている。日本製のオリジナルボディは、長時間着用してもストレスを感じにくいことを意図して設計されたものだ。

ランショーツも日本製のオリジナルボディ。スマートフォンや補給食などの収納を想定した5つのポケットに、コインポケットを加えた。ウエストはゴム+紐で調節でき、本体にはウインドシェルと同じく薄く軽量なドットエアーを使用する。
展開はライナーなしのレギュラーと、レース向けのライナーを備えたタイプRの2タイプ。タイプRのライナーには、ポリエステル87%、ポリウレタン13%の生地が使われる。
走ることを、日常の外側に置かないMMA

マウンテンマーシャルアーツは、トレイルランニングをベースに、日常にもつながるプロダクトを展開してきたブランドだ。公式サイトに残る2013年の展示会記事では、自らを「トレイルランニングをベースにしたライフスタイル提案ブランド」と紹介している。
【MMA公式】
MMAが掲げた
「ライフスタイル提案ブランド」(2013)
翌2014年のアーカイブには、「デイリーとアクティビティをシームレスにつなぐ」という言葉がある。デイリーウエアには機能性を、アクティビティウエアにはデザインを加えるという説明も添えられていた。2017年には、ブランドコンセプトを「機能とデザイン」と明記。スポーツウエアの機能をもつ日常着と、日常にも使えるデザインのスポーツウエアを、同じ視野のなかで捉えている。
【MMA公式】
「デイリーとアクティビティを
シームレスにつなぐ」(2014)
ここで興味深いのは、機能服をそのまま日常へ持ち込む、という一方向の発想ではないことだ。日常着にスポーツウエアの機能を持たせることと、スポーツウエアに日常着のデザインを持ち込むこと。その両側から境界を近づけようとしてきた。

2021年に発信した「ランニングはカルチャーだ。」では、ヴィンテージTシャツ、カモフラージュ、パンク、バンダナ柄といった題材をランニングと接続している。走ることをパフォーマンスだけで閉じず、なにを着て、どんなスタイルで走るかまで含めて考えてきたことがうかがえる。
デニムの表情をまとったランニングウエアも、今回初めて現れたわけではない。公式アーカイブでは、2014年の「MMA Denim Run Pants 3inch」と、2016年の「MMA Denim Run Pants 60A」が確認できる。今回のウインドシェルやランショーツと直接つながるシリーズかどうかは明らかにされていない。それでも、デニムの姿を走る服へ取り入れる発想が、少なくとも10年以上前からMMAのなかにあったことは確かだ。

そうした時間を知ったうえで新作を見直すと、ヴィンテージデニムのプリントは、目を引くためだけの仕掛けとは少し違って見える。走る時間とそれ以外の時間で、服の表情まできっぱり分けなくてもいい。今回の2型からは、そんな読み方もできる。
MMAのアーカイブを遡るほど、今回の2型にある日常とアクティビティの近さは、突発的なアイデアではなく、長く続いてきた感覚として見えてくる。
デニムの顔をして、走る。その曖昧さが、MMAらしい景色をつくっているのかもしれない。

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PROFILE
VINAVIS 編集部
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。



















