
予定のない夜ほど、遠くへ行ける。深夜のオリックスカーシェアで、夜明けの温泉へ
VINAVIS 編集部
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INDEX
帰って寝るだけだった夜に、ふと前から行きたかった温泉のことを思い出した。
スマホを開き、仲間に連絡すると、返ってきたのは半分冗談みたいな即レス。そのままカーシェアを予約し、仲間を拾って深夜の高速道路を山梨方面へ。目指すのは、朝から開く山上の温泉「ほったらかし温泉」だ。
大きな計画も、特別な準備もない。けれど、予定のない夜ほど思いがけず遠くまで行けるもの。
湯気の向こうに朝が来るころ、3人のなんでもない夜は忘れられない“半日冒険”へと変わっていく。
企画協力◉オリックスカーシェア
文◉VINAVIS
写真◉吉本悠哉
スタイリング◉近澤一雅
撮影協力◉ほったらかし温泉、青峰園
PROFILE

(右)高崎 凌〈たかさき りょう〉 俳優・モデルとして活動。深夜にふと「温泉行かない?」と切り出す発起人。思いつきをそのまま行動に移す軽やかさが、物語の入口になる。
(中)堤 恒陽〈つつみ こうよう〉 俳優・モデルとして活動。眠たさとノリのあいだで揺れながらも、いちばん素直に反応する。3人旅の体温を伝える、素直なリアクションが魅力。愛称は「コウヨウ」
(左)井川 昂紀〈いかわ たかのり〉 モデルとして活動。高崎の急な誘いに笑いながらふたりをまとめる存在。自然体のツッコミと会話で、深夜の車内にリラックスした空気をつくる。愛称は「タカちゃん」
帰り道の途中に、小さな逃避行を滑り込ませて

時計の針が、まもなく23時を指そうとしていた。オフィスのフロアは、昼間のにぎわいが嘘のように静まり返っている。パチパチと響いていたキーボードの打鍵音が消え、天井の蛍光灯がところどころ間引かれた空間で、僕はゆっくりとPCの画面を閉じた。
デスクの上に散らばったメモを片付け、深く息を吐く。頭の片隅に残る小さな疲労感。このまま会社を出て、電車に揺られ、家に帰って電気を消して寝る。いつもの、ありふれた平日の終わり方だ。
だけど、なぜかその夜は、ただまっすぐ家に帰るのがどこか勿体なく感じられた。なにか劇的なことがしたいわけじゃない。ただ、昨日と今日を分ける境界線の上に、ほんの少しだけ違う時間を滑り込ませたかった。

ポケットからスマホを取り出し、タカちゃんとコウヨウがいる3人のグループチャットを開く。指が勝手に画面をタップしていた。
「温泉行かね?」
送った直後、自分でも「さすがにこの時間からは冗談か」と苦笑いした。しかし、画面の上の既読マークは一瞬でついた。
堤「いまから?」
井川「寝るとこだった。行くわ!」
画面越しに、ふたりの笑っている顔が浮かんだ。呆れつつも、断る気なんてサラサラない返事。今日がもう少し長くなった。
僕はすぐさまオリックスカーシェアのアプリを開き、オフィスの近くにあるステーションのクルマをタップ。数回の操作で予約は完了する。大げさな手続きも、だれかとのやり取りもない。

ビルを出ると、夜の風が頬をかすめた。明るく点灯するコンビニの看板、シャッターの下りた沿道の店、営業を終えて人影のまばらな駅前を横切っていく。
無人のステーションにぽつんと停められたクルマに近づき、スマホをかざす。静かな街に「カシャッ」とドアロックが解除される金属音が響いた。
ハンドルを握り、エンジンをかける。ただ帰るだけのはずだった帰り道が、僕たちの小さな冒険の始まりへと、静かに色を変えていった。
乗り込んだクルマは、夜を走る僕らの部屋

都内の静かな住宅街へクルマを走らせる。街灯の光が落とす影のなか、小さなカバンを片手に持ったふたりが立っていた。Tシャツに羽織ものを重ねた、いかにも「家を出てきたばかり」といったラフな格好だ。
ハザードを焚いてクルマを寄せると、ふたりがなれた手つきでドアを開けた。バタンとドアが閉まる音と同時に、深夜の澄んだ空調の匂いと、どこか懐かしい体温が車内に満ちる。

井川「ほんとに行くんだ(笑)」
高崎「クルマ借りちゃったし」
堤「なんか学生のころみたいだね!」
タカちゃんが助手席で可笑しそうに吹き出し、後部座席に乗り込んだコウヨウがシートに深く身体を沈める。車内は一瞬にして、学生時代の部室のような、少し秘密めいた放課後の空気に変わった。
ダッシュボードのナビに目的地を打ち込み、クルマを滑らせる。お気に入りのローファイなプレイリストをBGMに、なんてことない仲間内の会話。仕事で張り詰めていた頭がリラックスしていく。
バックミラー越しに目をやると、コウヨウが流れる街灯の光をぼんやりと眺めていた。フロントガラスの向こうには、都会のビル群の明かりが遠ざかり、目的地へと続く首都高のライトが一直線に伸びている。

クルマは、ただ移動するための道具じゃない。この空間に入った瞬間から、僕たちは日常の慌ただしさから切り離され、3人だけの旅の時間が共有される。なんでもないムダ話や、ふっと途切れる会話の間すらも心地いい。高速道路のカーブを抜けるたび、夜の深みへと僕たちは進んでいった。
夜の空気とコーヒーと、なんてことない時間の愛おしさ

中央自動車道を西へとひた走る。街灯の数が減り、車窓の外には黒々とした山のシルエットが迫ってきた。しばらく走ったところで、僕たちはサービスエリアの標識を見つけ、滑り込むようにウインカーを出した。
別に切羽詰まった休憩が必要だったわけじゃない。けれど、この目的地へ向かって急ぎすぎない時間こそが、深夜ドライブの醍醐味だと思っている。
車外に出ると、都心よりもひんやりと心地いい空気に包まれた。長距離トラックの低いアイドリング音が遠くで響き、自販機コーナーの白い光が周囲を明るく照らしている。
自販機でコーヒーのボタンを押し、ドリップ工程を流すモニターを見ながら会話が続く。それぞれ好みの違ったドリンクを寄せ合い、夜中なのに変わらないテンションで小さく乾杯する。

少し冷えた空気を吸い込みながら、しばらくの休憩。
高崎「あ、流れ星!」
井川「ほんとかよ」
堤「ぜったいウソじゃん!」
タカちゃんがコーヒーを両手で挟みながら笑う。
タイムスケジュールで区切った綿密な計画なんて最初から存在しない。「間に合わなかったら、それはそれで朝ごはんをおいしく食べよう」と言えるくらいのゆとり。目的地に到達することだけが旅の目的ではなく、夏の夜空の下で意味のない会話を交わしている時間そのものが、僕たちの心を少しずつ解きほぐしていく。
予定がないからこそ、どんな寄り道も、どんな脱線も、すべてが正しい旅の行程になる。コーヒーを飲み干すころには、すっかり身も心もリラックスしていた。
朝靄と富士山。夜と朝の境界線が溶けていく

甲府盆地の街の灯りが目に入り、高速道路を下りる。ナビの指示に従って暗闇に包まれた山道を登っていくと、東の空が白み始めていく。
やがて、「ほったらかし温泉」の素朴な木製の看板が見えてきた。クルマを降り、砂利を踏みしめる音を立てながら露天風呂へ。周囲はまだ深い群青色の闇に包まれていて、澄みきった空気のなかに静かに温泉の湯気が立ち上っていた。
「あぁ……」
だれからともなく感嘆の声が漏れた。温かい湯が全身を包み込み、夜の移動の微かな緊張と身体のコリが、湯のなかに溶け出していく感覚がする。さっきまで車内でワイワイと騒いでいたけれど、お湯に肩まで浸かると、自然とだれも喋らなくなった。

湯面に波紋が広がり、周囲の静寂に身を委ねる。
じっと前を見つめていると、東の空がゆっくりとパープルから鮮やかなオレンジへとグラデーションを描き始めた。闇のなかから徐々に山並みの鋭い輪郭が浮かび上がり、遠くの甲府盆地の街明かりが朝の光に押し流されるように消えていく。そして、うっすらと棚引く雲の向こうに、富士山のシルエットが浮かび上がった。
堤「……やば」
井川「これは、来てよかったね」
高崎「でしょ!」
ぽつりと漏らした言葉のあとに、再び静寂が訪れる。雄大な朝焼けの光を浴びながら、僕たちはただ湯気に包まれ、空が完全に明けていくさまを見つめていた。言葉で飾り立てる必要なんてない。深夜に思い立ってクルマを走らせてきた理由は、もうだれも口にしなくてよかった。
素朴な朝食が、新しい時間の幕を開ける

温泉でしっかりと温まり、火照った体に湯上がりの朝風が心地いい。タオルで髪を拭きながら向かったのは、敷地内にある食堂「気まぐれ屋」だ。
すでに店内やテラス席には、早朝の空気を楽しむお客さんの姿があり、テーブルには食欲をそそる湯気が漂っていた。僕たちは名物の「卵かけごはんセット」を注文し、木のテーブルにトレーを並べた。
ツヤツヤに輝く白いご飯、深みのある色をしたお味噌汁、そして食欲をそそる新鮮な生卵。朝の澄んだ光が、器のなかの黄色い卵黄をきらきらと照らしている。

「いただきます」と手を合わせ、卵の殻を割る。ご飯の真ん中に落とし、軽く醤油を回しかけて、一気にかき込んだ。
堤「……うま」
井川「朝飯って、こんなうまかったっけ」
思わず笑ってしまうほど、シンプルで、圧倒的なうまさだった。出汁の効いた温かい味噌汁が、五臓六腑にしみわたっていく。湯上がりで頭がすっきりとした状態で食べる朝ごはんは、シンプルなのに、やけにぜいたくに思えた。
一口かき込むたびに、深夜から続いていた「昨日の延長」のような感覚が薄れていく。体がじわじわとエネルギーで満たされ、頭と心が完全に目覚めていくのがわかった。
朝ごはんを食べ終えたとき、僕たちのなかで新しく爽やかな「今日」がしっかりと始まった気がした。
朝陽のなかで、始まったばかりの今日を噛みしめる

温泉を出て駐車場に戻り、再びクルマのシートに乗り込む。 窓を少しだけ開けると、山梨の澄んだ朝の空気が勢いよく車内へと滑り込んできた。朝陽を浴びた緑豊かな山々のあいだを、クルマは都内へ向かって走り出す。
バックミラーを見ると、後部座席のコウヨウは湯上がりの温もりと満腹感に包まれて、うとうとと船を漕ぎ始めている。助手席のタカちゃんは、車窓から見える果樹園の風景を静かに眺めていた。

ダッシュボードに目をやる。デジタル時計はまだ朝だった。
ハンドルを握りながら、僕は思わずぽつりと呟いた。
「今日って、まだ始まったばかりなんだよな」
深夜に都内を出発し、高速を走り、山の上の温泉で朝焼けを眺め、おいしい朝ごはんを食べた。これだけの濃密な時間をすごしたというのに、これから東京に戻ってクルマを返しても、目の前にはまだ一日分の自由な時間が残されている。

予定がない夜は、空っぽな時間じゃない。思いつき次第で、少し遠くまで伸ばせる「余白」だ。
だれかを誘い、クルマを借りて、少しだけ遠くへ行ってみる。朝になって街へ帰ってきたとき、昨日までと同じはずの一日が、ほんの少しだけ広く感じられた。
思いつきで、行こう。
オリックスカーシェアで、「#半日冒険」へ出かけよう
オリックスカーシェアでは、思い立ったその日の“半日冒険”を応援するプレゼントキャンペーンを実施中。期間中にオリックスカーシェアを利用すると、利用金額に応じて抽選でプレゼントが当たります。
6時間以内の利用もおトクなので、朝風呂や日帰りドライブなどの短い旅にもぴったり。次の休日、あるいは予定のない夜に。少しだけ遠くへ行きたくなったら、オリックスカーシェアで出かけてみませんか?
ほったらかし温泉
- 〒405-0036 山梨県山梨市矢坪1669−18
- 入浴料:大人¥900、小人¥400
- 営業時間: 日の出1時間前〜22時(最終受付21時半)
- 年中無休
- TEL.0553-23-1526
- BRAND :
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文◉VINAVIS
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VINAVIS 編集部
アウトドアフィールドへ誘うメディア、そして自然のなかにいるような心地よさと冒険心をもって生きる人々を応援する新メディア。厳しい自然環境で磨かれた「機能美」や「哲学」を、都市生活というフィールドにマッチするシーンにを訴求します。またアウトドアで使われる機能やアイテムに触れることで、意識せずに自然とフィールドへと近づいていく気運を醸成します。
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