あの魔法のジャケットが進化した！パタゴニアのナノ・パフシリーズ

PEAKS 編集部

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競合ひしめく化繊インサレーションのなかで独自の存在感をいかんなく発揮するパイオニア。
ロングセラーの実力にいま改めてフォーカスする。

編集◉PEAKS編集部
文◉小川郁代
写真◉熊原美惠

〝ナノ〞と〝マイクロ〞、その違いを知ると本質が見えてくる。

2010年の「ナノ・パフ」の誕生は、インサレーションの歴史に大きな変革をもたらした。それまで、ダウンに比べて保温力や軽さで見劣りする「代替品」にすぎなかった化繊綿の地位を、「独自の価値をもつインサレーション」へと押し上げたのは、この一着がハイアルパインエリアで使える保温着として、たしかな評価を得たからにほかならない。

発売から十年以上の間で、リサイクル素材の採用や製造プロセスの見直しによるCO2排出量の削減など、環境性能を高めるアップデートが重ねられてきた。今シーズンは、フィットの見直しに着手。肩やヒジの立体裁断、フード形状を改良して動きやすさや快適性を向上させた。見た目の変化はほとんどないが、フィールドに出ればすぐに違いが実感できるはずだ。発売当初の姿を守りつつ、ユーザーの声に応える小さな進化はこれからも続いていく。

ナノ・パフが切り開いた化繊インサレーションの分野は、その後急速に広がり、新しい製品が次々と登場した。それでも変わらずロングセラーの場所に居続けるのは、優れた機能や使い勝手、長く使えるコストパフォーマンスを保ち続けていることだけが理由ではない。袖をとおしたときの独特の安心感や柔らかな暖かさ、男女問わず、なぜか人を引き付ける魅力こそが「魔法のジャケット」と呼ばれる理由なのだろう。

そして、同じ軽量化繊インサレーションとして、兄弟のような位置づけにある「ナノ・パフ」と「マイクロ・パフ」。それぞれの特徴と選び方のヒントを、パタゴニアでテクニカル製品を担当する片桐星彦さんに聞いた。

「形や厚みは似ていますが、使用している素材が違います。『ナノ・パフ』は、あらゆる環境でたしかな保温性を確保する『プリマロフト・ゴールド・インサレーション・エコ』の中綿60gを使用。表地は耐久性に優れ修理もしやすい、20Dの生地を使用しています。対して『マイクロ・パフ』の中綿は、羽毛の膨らみを再現した、軽さと圧縮性の高さが特徴の『プルマフィル』65g。表地も超軽量10Dの『パーテックスカンタム』です。

どちらもアルパイン環境に使える十分な機能を備えますが、同じフーディタイプで100gほど重量差があるので、バックカントリーなどで1gでも軽量化したいなら『マイクロ・パフ』、幅広いアクティブシーンで安心して使いたいなら『ナノ・パフ』がおすすめ。それぞれサイズやカラーが豊富でウィメンズも用意しているので、自分に合ったものが見つけられると思います。保温性に振り切った新作のハイロフトモデルにも、ぜひ注目してください」